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仮想通貨botの開発記録#57(2024/2/19)「評価指標研究①:タートル流投資の魔術で学ぶ戦略考案のヒント」

前回の記事に引き続き、今回も仮想通貨botの開発状況をまとめていきます。

今回は「タートル流投資の魔術」を再読してマインドマップを作成しました。

Yodaka

トレード戦略の一つであるトレンドフォロー戦略についての理解を深めるために有益な一冊です。

マインドマップ

Yodaka

作成したマインドマップは以下の通りです。

【1枚目】

【2枚目】

【3枚目】

Yodaka

特に確率論への言及参入/退出シグナルの検出評価指標の考察についてはBot開発に転用できる部分です。

また、ライバルが損失を出すタイミングでそれを自分の利益に変えられるかどうかが重要な要素の一つであり、仮想通貨市場の対戦相手がどんな存在なのかをきちんと定義できることも大切です。

マインドマップを眺めていると、仮想通貨市場で試すことができそうな戦略を考えるヒントになるので、これから一つずつ試していきます。

補足知識

Yodaka

本文中で理解が不十分だった箇所や用語を調べました。

標準偏差

標準偏差は、データセット内の値が平均からどの程度散らばっているかを示す統計的尺度です。数学的には、平均からの偏差(各データポイントと平均との差)の平方平均の平方根として計算されます。これは、データがどの程度ばらついているか、またはデータの一貫性を測るのに役立ちます。

値が大きいほど、データポイントは平均値から広く散らばっています。逆に、小さい値はデータポイントが平均値の近くに集中していることを意味します。

シャープレシオ

シャープレシオは、投資のリスク調整リターンを測る指標で、投資の超過リターン(リスクフリーレートを超えるリターン)を投資の標準偏差で割ったものです。数式で表すと、シャープレシオ = (投資のリターン - リスクフリーレート) / 投資の標準偏差です。

ここで、リスクフリーレートとは、リスクを全く負わない投資から得られる利益率のことで、通常は短期国債の利率が用いられます。

シャープレシオを使用する目的は、リスクを取って得られる追加のリターンを量ることです。この比率が高いほど、投資は単位リスクあたりの高いリターンを提供していると考えられ、投資家にとって魅力的です。逆に、低いシャープレシオは、投資がリスクに見合ったリターンを提供していない可能性があることを示します。

例えば、2つの異なる投資機会があったとします。一つは標準偏差が小さく(つまり、リスクが低く)、もう一つは標準偏差が大きい(つまり、リスクが高い)です。

もし両者が同じ平均リターンを提供するならば、リスクが低い方が高いシャープレシオを持ち、より魅力的な投資と考えられます。これは、同じリターンを得るためにより少ないリスクを負うことができるからです。

MARレシオ

MARレシオ(Minimum Acceptable Returnレシオ)、またはマーレシオは、投資のパフォーマンスを評価するために使用されるリスク調整パフォーマンス指標の一つです。MARレシオは、投資のリターンが特定の最小受け入れ可能リターン(MAR)を超える程度を測定します。

この指標は、投資のリスクを考慮しつつ、投資家が設定した最小のリターン閾値を超える能力を評価するために用いられます。

MARレシオの計算式は以下の通りです。

MARレシオ=(実際のリターン−MAR)/(ダウンサイド偏差)

ここで、

  • 実際のリターンは、投資から得られる実際のリターンを指す
  • MARは、投資家が最低限受け入れ可能と見なすリターンの値である
  • ダウンサイド偏差は、MARを下回るリターンのばらつきを測定しリスクの尺度として機能する。
    →これは、MARを下回るリターンの平均からの偏差の平方平均の平方根として計算される。

MARレシオは、特にヘッジファンドや代替投資のパフォーマンスを評価する際に役立ちます。この指標は、投資家が設定した最小リターンを基準として、リスクを取ってどれだけの追加リターンが得られたかを示します。MARレシオが高いほど、投資はそのリスクに対して高いリターンを提供していると考えられます。

また、MARレシオは、単に平均リターンを比較するだけではなく、投資家が特に避けたいと考える損失のリスクを考慮に入れるため、より包括的なパフォーマンス評価を提供します。

基本的には、MARレシオが高いほど良いとされます。MARレシオは、投資のリターンが投資家が設定した最小受け入れ可能リターン(MAR)をどれだけ超えているか、そしてその超過リターンを得るためにどれだけのリスク(具体的にはダウンサイドリスク)を負ったかを示します。

したがって、MARレシオが高い場合、それは投資が投資家の最小期待リターンを上回るリターンを、比較的低いダウンサイドリスクで提供していることを意味します。

この指標を用いることで、投資家はリスクを適切に管理しながら、自身のリターン目標を超えるパフォーマンスを発揮する投資を識別することができます。つまり、高いMARレシオは、投資がそのリスクを取る価値があることを示しており、投資家にとって魅力的な選択肢であると考えられます。

しかし、MARレシオを評価する際には、その数値だけでなく、投資の全体的なコンテキストや他のパフォーマンス指標との比較も重要です。例えば、異なる市場環境や投資戦略におけるMARレシオの適用性を考慮する必要があります。

また、MARレシオはダウンサイドリスクに焦点を当てていますが、全体的なリスク管理戦略の一環として、他のリスク指標やパフォーマンス指標と併用することが推奨されます。

MARレシオとの組み合わせ

投資の全体的なリスク管理戦略を構築する際に、MARレシオと組み合わせて使用すると有効な他のリスク指標やパフォーマンス指標には以下のようなものがあります。

  • シャープレシオ: 投資の超過リターン(リスクフリーレートを超えるリターン)を標準偏差(全体のリスク)で割ったものです。 シャープレシオは、単位リスク当たりのリターンを評価します。高い値は、リスクを取って得られるリターンが大きいことを示しています。
  • ソルティーノレシオ: 負のリターンのみを考慮した標準偏差(ダウンサイドリスク)で、超過リターンを割ったものです。 この指標は、不利なリスクのみに焦点を当て、ポジティブなリターンの変動は考慮しません。
  • トレイナーレシオ: 超過リターンをベータ(市場リスクに対する投資の感応度)で割ったものです。 この指標は、市場全体の動きに対する投資のリスク調整リターンを評価します。
  • 最大ドローダウン: 一定期間内で投資の価値が最大どの程度減少したかを示します。 最大ドローダウンは、投資の潜在的な損失の大きさを把握するのに役立ちます。
  • ボラティリティ(標準偏差): 投資リターンの変動幅を示します。高いボラティリティは、価格の大きな変動を意味し、リスクが高いと考えられます。
  • ベータ: 投資のリターンが市場全体のリターンの変動にどれだけ敏感かを示します。ベータが1より大きい場合、市場よりもリスクが高いと考えられます。

これらの指標を組み合わせることで、投資のリスクとリターンのプロファイルをより全面的に評価することができます。例えば、MARレシオとシャープレシオを併用することで、ダウンサイドリスクと全体的なリスクの両方に対するリターンの効率性を評価できます。

また、最大ドローダウンやボラティリティを考慮することで、潜在的な損失の大きさや価格の変動性に対する耐性を把握できます。これらの情報を統合することで、投資家は自身のリスク許容度に合った投資選択をより賢明に行うことができるようになります。

AGR(複合年間成長率)

AGR(Compound Annual Growth Rate、複合年間成長率)は、ある期間にわたる投資やビジネスの収益の平均成長率を表す指標です。CAGRは、投資の初期値と最終値をもとに、期間全体を通じた平滑化された年間成長率を計算します。

この指標は、異なる期間や異なる種類の投資のパフォーマンスを比較する際に特に有用です。 最終値は期間の終わりにおける投資の価値です。 初期値は期間の始めにおける投資の価値です。 年数は投資期間を年単位で表したものです。

CAGRの値はパーセンテージで表され、投資の成長率を年平均で示します。この指標により、投資が期間全体でどれだけ成長したか、そしてその成長が毎年一定の割合で発生したと仮定した場合の平均的な年率が明らかになります。

例えば、5年間で投資額が2倍になった場合、CAGRを計算するとその投資の年平均成長率が求められます。CAGRは複雑な成長パターンを持つ投資の成長を理解しやすくするために役立ち、異なる投資機会を公平に比較する際の便利なツールとなります。

ただし、CAGRは平均値を示すため、実際の年間成長率が毎年CAGRと同じであるとは限らず、投資の実際のリスクやボラティリティを直接反映しているわけではありません。

雑感

本書で出てくる「堅固な統計学」を支える概念である「統計学」を学ぶ必要があると感じました。

すでに関連書籍を持っているので、しっかり読み込んで使える指標を自作できるようにします。

【宿題】

まとめ

今回は、トレード戦略への理解を深めるための勉強をすることができました。

本書で語られるトレード戦略は「先物市場でのトレンドフォロー」がメインなので、このまま仮想通貨市場に持ち込んでも有効打になるとは考えにくいです。

しかし、バックテストにおける評価指標の作成やその基礎となる統計学市場を正しくみるための考え方などは、Bot開発において応用が効く内容であると感じるため、この分野はしっかり勉強しながら、実践で試していきます。

Yodaka

この調子で開発と研究を進めていきます。

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