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開発記録#122(2024/11/4)【MLbot開発】「LSTMとマルチタスク学習」

前回の記事に引き続き、今回も仮想通貨botの開発状況をまとめていきます。

今回は「LSTMとマルチタスク学習」を組み合わせたMLbotを作成してみました。

本記事では、マルチタスク学習の解説プログラムのプロトタイプの解説をまとめておきます。

解決したかったこと

・マルチタスク学習について理解する

・LSTMとマルチタスク学習を組み合わせることの優位性を知る

・LSTMとマルチタスク学習を組み合わせることの問題点を知る

・上記の問題点を踏まえて、それらの解決策を調べる

・MLbot開発の引き出しを増やす

マルチタスク学習とは

マルチタスク学習は、機械学習の一手法で、複数の関連するタスクを同時に学習させることで、各タスクのパフォーマンスを向上させることを目指します。この手法は、異なるが関連するタスク間で有用な情報を共有することにより、効率的に学習を進めることができます。

マルチタスク学習の基本概念

1. タスクの共有: マルチタスク学習では、複数のタスクが共通の特徴やパターンを共有することが多いです。たとえば、顔認識と感情認識のタスクでは、どちらも顔の特徴を理解することが基本となりますが、それぞれ異なる情報(顔のアイデンティティや表情)を出力として求めます。

2. モデル構造: 通常、マルチタスク学習では、モデルの初期の層(例えば、畳み込み層やLSTM層など)を複数のタスクで共有し、出力層の近くでタスクごとに分岐させることがあります。共有された層は、複数のタスクに共通する抽象的な特徴を捉え、各タスク専用の層はそれぞれのタスク固有の詳細を学習します。

3. パフォーマンスの向上: タスク間で情報を共有することで、学習データが少ないタスクでも、他のタスクからの情報を活用して、より良い学習結果を得ることができます。これにより、全体としての学習効率が向上し、モデルの一般化能力が高まることが期待されます。

マルチタスク学習のメリット

  • データ効率の向上: 同じデータから複数のタスクを学習することで、データ使用の効率を高めます。
  • 過学習の抑制: タスク間でパラメータを共有することで、モデルが過学習しにくくなることがあります。
  • 学習時間の短縮: 複数のタスクを一緒に学習させることで、個別にモデルを訓練するよりも総学習時間を短縮できます。

マルチタスク学習の応用例

  • 自動運転車: 画像認識で道路の標識を認識しつつ、障害物を検出し、車線を識別する。
  • 音声アシスタント: 音声認識で何を言っているかをテキストに変換しながら、話者の感情や性別も同時に識別する。
  • 健康診断: 医療画像から病気を診断すると同時に、画像のどの部分が診断に重要かを識別する。

マルチタスク学習は、これらのタスクを効率的に同時に処理することで、各タスクの結果を相互に強化し、より正確で堅牢なモデルを作成するのに役立ちます。

アプローチの優位性

LSTMとマルチタスク学習を組み合わせて仮想通貨の価格予測プログラムを構築し、それをシステムトレードに活用することには、いくつかの優位性があります。

1. より包括的な市場理解

マルチタスク学習を利用することで、仮想通貨の価格だけでなく、取引量やその他の市場指標も同時に予測することができます。これにより、市場の動きをより広範囲から捉え、単一の指標に依存するリスクを減らすことができます。

2. データの効率的利用

LSTMは時系列データの特性を捉えるのに適しており、過去の価格変動から未来の価格動向を予測するのに有効です。マルチタスク学習を組み合わせることで、同じデータセットから複数の異なる出力(価格、取引量など)を学習することができ、データの利用効率が向上します。

3. 予測精度の向上

関連する複数のタスクを同時に学習することで、各タスクに対する予測の精度が向上する可能性があります。例えば、取引量の増加が価格の急騰や急落を引き起こす場合、取引量の予測が価格予測の精度を向上させる手助けとなることがあります。

4. 過学習の抑制

マルチタスク学習は、モデルが単一のタスクに過度に特化するのを防ぐ助けとなります。複数のタスクからのフィードバックが学習過程に含まれるため、より一般化された特徴をモデルが学習することを促進します。

5. 効率的なリソース利用

一つのモデルで複数の出力を生成できるため、複数の独立したモデルを訓練・維持するよりも計算資源やメモリを効率的に使用することができます。これは特にリソースが限られる環境やリアルタイム取引システムでの利点となります。

6. 自動取引戦略の改善

価格と取引量の両方の動向を予測する能力は、取引戦略の決定に役立ちます。例えば、価格が上昇すると予測されるが取引量が低い場合、その価格上昇が持続しない可能性が高いと判断できます。このような洞察は、より効果的な売買時期の決定に寄与します。

このように、LSTMとマルチタスク学習の組み合わせは、仮想通貨トレーディングの効率と効果を大幅に向上させる可能性があります。

アプローチの問題点

LSTMとマルチタスク学習を組み合わせたアプローチに対して、数学的・論理的な観点から指摘される批判とその解決策は以下のように考えられます。

批判

  1. パラメータのチューニングが困難: マルチタスク学習では、複数のタスクが共有層から学習するため、各タスクに最適なパラメータのバランスを見つけることが困難になる場合があります。過適合や不足適合が一部のタスクで発生しやすくなります。
  2. タスク間の干渉: 異なるタスクが矛盾する学習信号を生成することがあり、これが一部のタスクの学習を妨げる可能性があります。これはタスク間の競合とも呼ばれ、モデルの一般化能力に悪影響を与えることがある。
  3. 計算コストの増加: 一つのネットワークで複数のタスクを処理する場合、特に大規模なデータセットを扱う際には、計算リソースと処理時間が増加する可能性があります。
  4. 過学習のリスク: モデルが複雑になると、特にデータが限られているタスクで過学習が発生しやすくなります。

解決策

  1. タスク特有の層の導入: 共有層の後に各タスク専用の層を設けることで、タスク固有の特徴をより効果的に学習させることができます。これにより、タスク間の干渉を減少させ、各タスクに対してよりカスタマイズされた特徴抽出が可能になります。
  2. 適応型損失関数の使用: 各タスクの重要度に応じて損失関数の重みを動的に調整することで、重要なタスクにモデルがより焦点を当てるようにします。これにより、パフォーマンスのバランスを取りながら全体の効果を最大化することが可能です。
  3. 正則化技術の適用: 過学習を防ぐために、ドロップアウトやL2正則化などの技術を適用します。これにより、モデルの複雑さを抑えつつ、一般化能力を向上させることができます。
  4. リソース管理の最適化: 計算リソースを効率的に使用するために、GPUやTPUなどのハードウェア加速を利用し、並列計算やバッチ処理を最大化します。

これらの解決策を適切に組み合わせることで、LSTMとマルチタスク学習の組み合わせを使ったアプローチの潜在的な問題点を軽減し、より効果的なシステムトレードモデルを構築することが可能になります。

課題の解決策

開発リソースに制限がある個人開発者が、LSTMとマルチタスク学習を組み合わせた仮想通貨の価格予測プログラムを実装し、システムトレードに活用するための具体的な手法を以下に提案します。

1. シンプルなモデル構造の採用

リソースが限られている場合、非常に複雑なモデルよりも、シンプルで効率的なモデルを選択することが重要です。LSTMの層数やユニット数を最小限に抑えつつ、基本的なマルチタスク学習フレームワークを構築します。

モデルの例:

  • 共有LSTM層: 時系列データから共通の特徴を抽出。
  • タスク固有の出力層: 価格予測と取引量予測のための別々のDense層。

2. オープンソースライブラリの活用

TensorFlowやPyTorchなどのオープンソースライブラリを活用して、開発の労力を削減します。これらのライブラリは、多くの最適化済みの機能を提供し、高度なモデリングも比較的容易に実装できます。

3. 適応型損失関数の実装

各タスクの重要性に基づいて損失関数の重みを動的に調整することが可能です。簡単な実装としては、エポックごとに検証データに対するパフォーマンスを評価し、それに基づいて次のエポックの損失重みを更新する方法が考えられます。

4. ドロップアウトと正則化

過学習を防ぐために、ドロップアウト層をLSTM層の間に挿入します。また、適度なL2正則化を適用することで、モデルの一般化能力を向上させることができます。

5. 効率的なデータ管理

限られたリソースの中で最大限の効率を実現するために、データの前処理と管理に注意を払います。必要なデータのみをメモリにロードし、不要なデータは適宜ディスクに保存することで、メモリ使用量を最適化します。

6. 実験管理ツールの利用

実験のセットアップ、実行、評価を効率的に行うために、MLflowやWeights & Biasesのような実験管理ツールを使用します。これにより、モデルのバージョン管理、パフォーマンス追跡、ハイパーパラメータの最適化が容易になります。

プログラムのプロトタイプ

以下のコードは、指摘された問題点に対処し、効率性と実行可能性を考慮したプログラムです。具体的には、LSTMモデルの層の適正化、ドロップアウトの導入、およびデータ取得とモデル学習の効率化を図っています。

ポイント

  1. LSTM層の簡素化とドロップアウト層の追加: モデルが過学習を防ぐために、LSTM層を1層に簡素化し、ドロップアウト層を追加して一般化性能を向上させます。
  2. 学習率の調整: Adamオプティマイザの学習率を微調整して収束を早めることが期待されます。
  3. リソース効率の向上: データの取得とモデルの更新における計算コストを削減するため、不必要なデータ拡張や変換を削減します。
import os
import numpy as np
import tensorflow as tf
from tensorflow.keras.models import Model
from tensorflow.keras.layers import Input, Dense, LSTM, Dropout
from tensorflow.keras.optimizers import Adam
import ccxt
import matplotlib.pyplot as plt

# APIキーとシークレットを環境変数から取得
api_key = os.getenv('BINANCE_API_KEY')
api_secret = os.getenv('BINANCE_API_SECRET')

binance = ccxt.binance({
    'apiKey': api_key,
    'secret': api_secret,
})

def fetch_binance_data(symbol, timeframe='1m', limit=500):
    try:
        bars = binance.fetch_ohlcv(symbol, timeframe, limit=limit)
        return np.array(bars)
    except Exception as e:
        print(f"Error fetching data: {e}")
        return None

def create_model(input_shape, action_space):
    inputs = Input(shape=input_shape)
    x = LSTM(64)(inputs)
    x = Dropout(0.2)(x)  # 追加されたドロップアウト層
    action_output = Dense(action_space, activation='softmax')(x)
    value_output = Dense(1, activation='linear')(x)
    
    model = Model(inputs=inputs, outputs=[action_output, value_output])
    model.compile(optimizer=Adam(learning_rate=0.0005), loss=['categorical_crossentropy', 'mse'])  # 学習率の調整
    
    return model

def decide_trade_action(model, state):
    # モデルが期待する形状にリシェイプ
    state = np.expand_dims(state, axis=0)
    action_prob, value = model.predict(state)
    action = np.argmax(action_prob[0])
    return action, value[0][0]

def execute_trade(action, amount):
    try:
        if action == 1:
            # order = binance.create_market_buy_order('BTC/USDT', amount)
            print(f"Simulated Buy Order: {amount} BTC")
        elif action == 2:
            # order = binance.create_market_sell_order('BTC/USDT', amount)
            print(f"Simulated Sell Order: {amount} BTC")
        else:
            print("No action taken.")
            return None
        # return order
    except Exception as e:
        print(f"Error executing trade: {e}")
        return None

class TradingEnvironment:
    def __init__(self, data):
        self.data = data
        self.current_step = 0
        self.done = False

    def reset(self):
        self.current_step = 0
        self.done = False
        return self.data[self.current_step, 1:5]

    def step(self, action):
        self.current_step += 1
        if self.current_step >= len(self.data):
            self.done = True
            return None, 0, self.done

        next_state = self.data[self.current_step, 1:5]
        reward = self.calculate_reward(action)
        return next_state, reward, self.done

    def calculate_reward(self, action):
        if action == 1:  # Buy
            return self.data[self.current_step, 3] - self.data[self.current_step - 1, 3]
        elif action == 2:  # Sell
            return self.data[self.current_step - 1, 3] - self.data[self.current_step, 3]
        else:
            return 0

def train_and_trade(model, episodes):
    data = fetch_binance_data('BTC/USDT')
    if data is None:
        return

    env = TradingEnvironment(data)
    rewards_history = []

    for episode in range(episodes):
        state = env.reset()
        total_reward = 0
        while not env.done:
            action, value = decide_trade_action(model, state)
            next_state, reward, done = env.step(action)
            if next_state is None:
                break

            state = next_state
            total_reward += reward
        
        rewards_history.append(total_reward)
        print(f"Episode {episode + 1}: Total Reward: {total_reward}")

    # Plotting the rewards
    plt.plot(rewards_history)
    plt.title('Episode Rewards Over Time')
    plt.xlabel('Episode')
    plt.ylabel('Total Reward')
    plt.show()

input_shape = (1, 4)  # シーケンス長を1に変更してリソース効率を向上
action_space = 3

model = create_model(input_shape, action_space)

# 実行例
train_and_trade(model, episodes=10)

本コードは、TensorFlowとccxtライブラリを使用して、仮想通貨(BTC/USDT)の取引シミュレーション環境を作成し、機械学習モデルを用いて取引戦略をテストするものです。以下にコードの各部分についての詳細な解説を行います。

インポートとAPIキーセットアップ

import os
import numpy as np
import tensorflow as tf
from tensorflow.keras.models import Model
from tensorflow.keras.layers import Input, Dense, LSTM, Dropout
from tensorflow.keras.optimizers import Adam
import ccxt
import matplotlib.pyplot as plt

# APIキーとシークレットを環境変数から取得
api_key = os.getenv('BINANCE_API_KEY')
api_secret = os.getenv('BINANCE_API_SECRET')

binance = ccxt.binance({
    'apiKey': api_key,
    'secret': api_secret,
})
  • ccxtライブラリ を使って仮想通貨取引所BinanceのAPIにアクセスするための設定を行います。
  • 環境変数からAPIキーとシークレットを取得して、BinanceのAPIクライアントを初期化しています。

データ取得関数

def fetch_binance_data(symbol, timeframe='1m', limit=500):
    try:
        bars = binance.fetch_ohlcv(symbol, timeframe, limit=limit)
        return np.array(bars)
    except Exception as e:
        print(f"Error fetching data: {e}")
        return None
  • 指定されたシンボル(例えばBTC/USDT)、時間枠(1mは1分足)、およびデータ点数の制限(デフォルトで500)を引数に取り、BinanceからOHLCVデータを取得します。
  • 取得したデータはNumPy配列に変換されます。

モデル作成関数

def create_model(input_shape, action_space):
    inputs = Input(shape=input_shape)
    x = LSTM(64)(inputs)
    x = Dropout(0.2)(x)
    action_output = Dense(action_space, activation='softmax')(x)
    value_output = Dense(1, activation='linear')(x)
    
    model = Model(inputs=inputs, outputs=[action_output, value_output])
    model.compile(optimizer=Adam(learning_rate=0.0005), loss=['categorical_crossentropy', 'mse'])
    
    return model
  • LSTMネットワークを使い、取引戦略のためのモデルを作成します。モデルは2つの出力を持ちます:一つは取引行動(買う、売る、何もしない)の確率を出力するsoftmax層、もう一つは価値評価を出力する線形層です。
  • モデルはAdamオプティマイザを使用し、学習率は0.0005に設定されています。損失関数として、行動出力にはカテゴリカルクロスエントロピー、価値出力には平均二乗誤差が使用されます。

取引決定関数

def decide_trade_action(model, state):
    state = np.expand_dims(state, axis=0)
    action_prob, value = model.predict(state)
    action = np.argmax(action_prob[0])
    return action, value[0][0]
  • 与えられた状態(市場データ)に基づいてモデルを使って取引行動と価値を予測します。
  • 予測された行動確率から最も高い確率の行動を選択します。

取引実行関数

def execute_trade(action, amount):
    try:
        if action == 1:
            print(f"Simulated Buy Order: {amount} BTC")
        elif action == 2:
            print(f"Simulated Sell Order: {amount} BTC")
        else:
            print("No action taken.")
            return None
    except Exception as e:
        print(f"Error executing trade: {e}")
        return None
  • 決定された行動に基づいて、仮想通貨の買い注文または売り注文をシミュレーションします。実際のAPI呼び出しはコメントアウトされており、単にシミュレーションの結果を表示します。

トレーディング環境クラス

class TradingEnvironment:
    ...
  • 取引データを用いて、取引のシミュレーション環境を提供します。環境はリセット可能で、各ステップごとに次の市場状態と報酬を返します。
  • 報酬は行動に応じて計算され、価格の変動に基づいています。

トレーニングとトレーディング実行関数

def train_and_trade(model, episodes):
    ...
  • 指定されたエピソード数でトレーニングとトレーディングのシミュレーションを実行します。
  • 各エピソードでは環境をリセットし、終了するまでモデルによる行動選択と状態更新を繰り返します。報酬の累積値を記録し、結果をプロットします。

このコードは、機械学習を活用した自動取引システムの概念実証(PoC)として機能しますが、実際の取引にはさらに多くの要素を考慮する必要があります。

宿題(その他のアプローチ)

マルチタスク学習(MTL)は、その柔軟性と広範な応用可能性から多様なアプローチが提案されています。特に、異なるタイプのタスクを統合することでモデルの一般化能力を向上させることができるため、さまざまな方法が研究されています。ここでは、上記のコードに示された基本的なマルチタスクLSTMモデル以外のアプローチをいくつか紹介します。

1. ハードパラメータ共有

最も一般的なマルチタスク学習のアプローチは、複数のタスクでネットワークの下層を共有し、上層をタスク固有のものにする「ハードパラメータ共有」です。これにより、モデルは異なるタスクから抽象的な表現を学び、オーバーフィッティングを減少させることができます。

2. ソフトパラメータ共有

各タスクが独自のモデルパラメータを持ちつつ、それらの間で情報を共有する方法です。例えば、各タスクのパラメータ間に類似性を促進する正則化項を損失関数に加えることが考えられます。これにより、各モデルが他のタスクの情報を間接的に利用することが可能になります。

3. クロススティッチネットワーク

クロススティッチネットワークでは、複数のタスクのための異なるネットワークが並列に配置され、特定の「クロススティッチ」ユニットを通じて特徴マップを交換します。これにより、ネットワークが異なるタスク間で情報をより柔軟に共有することができます。

4. スライスベースの学習

特定のタスクに対して重要なデータの「スライス」に焦点を当て、そのスライスに最適化されたモデルを学習させるアプローチです。タスクに関連する特定のデータ部分に特化することで、そのタスクの性能を向上させます。

5. タスク注意モデル

各タスクに対して異なる注意機構を用意し、入力データからタスク固有の特徴を抽出する方法です。このアプローチでは、各タスクが異なる情報を重視することが可能になります。

6. 補助タスクの利用

主タスクを補助する追加のタスクを設計し、これを同時に学習させることで主タスクのパフォーマンスを向上させる手法です。例えば、自動運転のシナリオで車線検出を主タスクとする場合、道路標識認識を補助タスクとして設定することが考えられます。

これらのアプローチは、それぞれ異なるタイプの学習タスクやデータセットによってその有効性が異なるため、使用する際には問題の性質を考慮することが重要です。また、これらの手法を組み合わせることでさらに高い効果が期待できる場合があります。

Yodaka

仮想通貨のトレーディングにおける収益性を最大化するためにマルチタスク学習アプローチを選択する際には、市場の動的な特性とデータの多様性を活用できる手法が有効です。以下のアプローチが特に有望と考えられます。

期待値が高いアプローチ

1. ソフトパラメータ共有

理由:

  • 独立性と柔軟性のバランス: ソフトパラメータ共有は、各タスクが独自のモデルパラメータを持ちながらも、パラメータ間の相互作用を通じて情報を共有することができます。仮想通貨市場のように急激に変動する環境では、各タスクが適応的である必要があり、このアプローチは各タスクに最適な情報を柔軟に取り入れることができるため、効果的です。
  • 過学習のリスク軽減: ソフトパラメータ共有により、タスク間で情報を共有することが可能となるため、各タスクが他のタスクから学びつつ過学習のリスクを低減できます。

2. タスク注意モデル

理由:

  • データからの情報抽出の最大化: タスク注意モデルでは、各タスクに対して異なる注意機構を用いることで、入力データから最も関連する情報を抽出します。仮想通貨市場では、価格変動に影響を与える要因が多岐にわたるため、このアプローチは特定の市場条件やニュースイベントに対するモデルの感度を高めることができます。
  • リアルタイム性: 注意機構を使用することで、リアルタイムで変動する市場データに対して、モデルが即座に反応しやすくなり、急速に変化する市場状況に迅速に適応することが可能です。

3. 補助タスクの利用

理由:

  • 補完的情報の利用: 主タスクを補助する追加のタスク(例えば、関連する仮想通貨の動向を分析するタスクなど)を設計し、これを同時に学習させることで、主タスクの予測精度を向上させることができます。仮想通貨市場では、異なる通貨間の動きが相関を持つことが多いため、このような情報を統合することが有効です。
  • 市場の複雑性への対応: 補助タスクを用いることで、市場の複雑性に対するモデルの理解を深め、より堅牢な取引戦略を構築することができます。

これらのアプローチは、数学的にも論理的にも仮想通貨のトレーディングにおいて収益性を向上させる可能性が高いと考えられます。各手法は、市場データの複雑さと動的な特性を捉え、モデルの一般化能力を高めることに直接寄与するため、高収益な取引戦略の構築に貢献することが期待されます。

まとめ

今回は「LSTMとマルチタスク学習」についてまとめました。

一言でマルチタスク学習と言っても、そのアプローチには様々なものがあります。

Yodaka

仮想通貨の取引を行う上で最も有効なものを検証して強いbot作りに繋げていきたいです。

今後もこの調子で開発の状況を発信していきます。

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