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開発記録#176(2025/4/14)「オンチェーン監視型ポンジスキーム検知Botを構想してみた話」

こんにちは、よだかです。

前回の記事に引き続き、今回も仮想通貨botの開発状況をまとめていきます。

今回は、ちょっと異色な自動取引Botの構想について記録しておこうと思います。
テーマは――

オンチェーン上で動くポンジ的プロジェクトから、爆益を狙って自動で抜けるBot

……と聞くと、なかなか刺激的なワードが並んでいますが、仕組み自体は意外とロジカルです。

👇思いついたきっかけは以下の記事です。


🎯 目的と背景

暗号資産の世界では、たびたび「ポンジ的構造を持つ新規プロジェクト」が登場します。
参加者が増えることで一時的に価格が膨れ上がり、その後、需給が崩れて崩壊――。

この"儚いバブル"に、誰よりも早く入り、誰よりも早く抜ける
そんな機動力を備えたBotをオンチェーンデータから実現できないか、というのが今回の発想です。


🧠 全体アーキテクチャの構想

今回のBotは以下の5層構成をベースにしています:

1. オンチェーン監視層(新規トークン・LP・ホルダー数の監視)
2. スコアリング層(Ponzi的な特徴をスコア化)
3. 売買判断層(スコア・流動性・トレンドからBuy/Sellを判断)
4. 実行層(Uniswapなどで注文を発行)
5. 通知・記録層(Slack/ログ保存)

モジュール構成(Pythonの場合)

ponzi_bot/
├── collector/            # データ収集
│   ├── contract_scanner.py
│   ├── transfer_monitor.py
├── analyzer/             # スコアリングと判断
│   ├── ponzi_score.py
│   ├── anomaly_detector.py
├── executor/             # 取引実行
│   ├── buyer.py
│   ├── seller.py
├── notifier/             # Slack通知など
├── config.yaml
└── main.py

トリガー例(コード風に)

if ponzi_score > 0.85 and liquidity_added_last_10min > 200_000:
    buy_token(token_address)
    set_exit_conditions(price_x=2.0, liquidity_drop_threshold=0.5)

🧩 実装時の観察指標(チェックポイント)

以下のようなデータをリアルタイムに監視し、スコアリングに使います。

指標内容意図
新規トークンのデプロイ新しいERC-20が発行された瞬間を検知早期参加のため
LP追加量特定トークンのUniswapなどへの流動性追加資金流入の有無
Holderの急増トークンホルダーの急激な増加新規参入者の波を捉える
Mint/Transfer頻度トークンの印刷・移動Ponzi的なインフレ性を判定
Whaleの動きデプロイヤーや大口が売り始めていないか崩壊直前の兆候を察知

⚠️ 戦略の「穴」と反証まとめ

最初は「これイケるのでは?」と思っていた構想にも、いくつかの“穴”や脆弱性が見えてきました。
以下は現時点で整理した弱点とその反証です。

1. 速度の壁(MEV勢との競合)

  • MEV BotやSniper Botはすでにメモリプールレベルで動いており、普通のWeb3 Botでは勝てない
  • → 対策:pending tx監視、自前ノード、必要ならFlashbots活用も検討。

2. LP罠・スリッページトラップ

  • 表面的な価格上昇が、実は流動性ゼロのFake LPで構成されていることもある。
  • → 対策:流動性量・実質価格帯の計算を必須化。

3. スマートコントラクト側の防衛策

  • 取引量制限、Token Lock、Transfer制限などが組み込まれていて即Exit不可の罠がある。
  • → 対策:bytecodeの構造解析・simulatorによる事前検証

4. Exitの集中による滑り

  • 「価格が2倍になったら売る」などの単純条件ではBot同士でExitが被り、滑って利確不能になる
  • → 対策:段階的利確(e.g. 1.5倍、1.7倍、2.0倍)やExitランダム化

🧰 使用予定スタックと技術選定

技術候補
オンチェーン監視web3.py, Infura, Alchemy, 自前ノード
スコアリングpandas, scikit-learn(または独自ルール)
実行層Uniswap V3 SDK, 0x API, ccxt
通知Slack, Discord Webhook
環境管理Docker, Kubernetes(複数Bot化想定)

🧪 今後の実装ステップ(ToDo)

  1. ✅ 新規トークン&LPデプロイ検知スクリプト(EVMチェーン対応)
  2. ✅ Ponziスコアの定義とアノマリー抽出(重みづけ評価)
  3. ✅ Honeypot・Transfer制限・トークンロックの自動検出
  4. ✅ 売買トリガー+段階Exit制御のロジック
  5. ✅ Slack通知+Botの行動ログ保存(BigQuery連携)

🧭 この記録の位置づけと、今後の学習素材として

この記事は単なる「アイデアスケッチ」であり、自分が次にBotを構築する際のチェックリスト兼シミュレーション記録でもあります。
どの段階で何に注意すべきか、失敗しそうな罠はどこか――再学習の教材としても活用できるように設計しました。


✍️ 最後に

利確する者と、資金を置き去りにされる者。
仮想通貨の世界にはいつも、明確な立ち位置の違いがあります。

「Botが戦うフィールドを間違えないこと」
「エッジがあるうちにエントリーし、綺麗に逃げること」

その原則を再確認しながら、次の開発ステップに進もうと思います。


以上、開発記録でした。

今後は「Honeypotトークンの静的解析と回避ロジック」などもまとめてみたいですね。

ではまた!

おまけ:ラジオで話したこと

ポンジスキームに立ち向かう自動取引Bot、開発構想を語る

どうも、よだかです。

前回の放送では、仮想通貨Botのデプロイや運用にまつわるお話をしましたが、今回はちょっと異色なテーマをお届けします。

今回のテーマは――
**「オンチェーン上のポンジ的プロジェクトから、自動で利益を抜けるBot」**です。

うん、なかなかパンチが効いたフレーズですが(笑)、仕組みそのものは至ってロジカルで、冷静な判断の上に成り立っています。


🎯 目的と背景

仮想通貨の世界では、まるで打ち上げ花火のように、一瞬で注目を集めては消えていくプロジェクトが後を絶ちません。

その中でも、ポンジ的構造――つまり、後から参加した人の資金で先に参加した人が利益を得るタイプのものは、バブルと崩壊のスピードが尋常じゃない。(ステッ◯ンとか)

そこで今回は、「誰よりも早く気づき、誰よりも早く抜ける」、そんな機動力を備えたBotを構想してみました。


🧠 全体構成とアーキテクチャ

このBotは、5つの層で構成されています。

  1. オンチェーン監視層:新しいトークンや流動性追加、ホルダー数の変化を監視
  2. スコアリング層:プロジェクトの“怪しさ”をスコア化
  3. 売買判断層:買うべきか、逃げるべきかをロジックで判断
  4. 実行層:Uniswapなどでトレードを実行
  5. 通知・記録層:Slackやログ保存でBotの動きを追跡

これをPythonでモジュール分けしながら組み立てていく感じです。


📊 観察指標とトリガー例

Botは以下のようなデータをリアルタイムで監視します。

  • 新規トークンのデプロイ
  • 流動性の急増
  • トークン保有者の急激な増加
  • Mint・Transferの異常な頻度
  • デプロイヤーや大口の動き

たとえば、スコアが0.85を超えて、直近10分で流動性が20万ドル以上追加されたら購入。
そして「価格が2倍になったら段階的に利確する」――みたいな条件をあらかじめ設定しておきます。


⚠️ 戦略の穴と、その反証

もちろん、うまくいきそうに見えても、甘くはないのがこの世界。

  • 速度の壁:MEV BotやSniper勢には勝てない。 → pendingトランザクションの監視、自前ノード、Flashbots対策が必要。
  • Fake LPの罠:流動性があるように見えて、実は誰も買えないパターン。 → 実効的な価格帯の計算がマスト。
  • スマコンの防衛策:トークンロックや取引制限がある。 → バイトコードの静的解析で事前チェック。
  • Exitの競合:単純な2倍売却ロジックだと、他のBotとバッティングして滑る。 → Exitタイミングの分散化で対策。

🔧 使用技術と環境管理(多分DeFi botter達は当たり前にやっている)

  • データ取得:Web3.py、Alchemy、自前ノード
  • スコアリング:Pandas、scikit-learn
  • 取引実行:Uniswap SDK、0x API、ccxt
  • 通知・記録:Slack、Discord Webhook
  • Bot運用:Docker + Kubernetes(複数Bot想定)

🧪 ToDoと今後の展望

現在、以下の開発ステップに取り組んでいます。

  • ✅ 新規トークンとLPデプロイの検知
  • ✅ Ponziスコアの定義とアノマリー分析
  • ✅ スマートコントラクトの罠検出ロジック
  • ✅ トリガー条件と段階的Exitの設計
  • ✅ Slack通知+BigQueryによる行動ログの保存

📚 このBot構想の位置づけ

これは、私にとって次の開発に向けたシミュレーション兼、再学習用の教材でもあります。

Botがどの段階で判断を誤りそうか?
どのフェーズで技術的な検証が必要か?
自分用のチェックリストとしても、非常に役立ちそうだと感じています。


✍️ 最後に

仮想通貨の世界では、利確できた者だけが“生還者”です。

重要なのは、「Botが戦うフィールドを見極めること」
そして、「優位性があるうちに、綺麗に逃げ切ること」

この原則を忘れずに、今後もBotの設計と改善を進めていきます。

次回は「Honeypot検出と回避ロジック」についてお話しできたらと思っています。

それでは、また次回お会いしましょう!

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