デルタガードDCA戦略(DeltaGuard DCA Strategy) 概要
参考記事:養分モブがビットコインのbotトレードで4500万増やした話
1. 戦略抽出フェーズ1
デルタガードDCA戦略
(現物オンリーの定額積立+デルタ中立ヘッジ+厳格な出口ルールを組み合わせた自動売買)
2. 目的
- ギャンブル的なレバ積立を脱し、リスクをコードで封じた「期待値のあるトレード」へ昇華
- レバレッジ・資金調達料コストを最小化しつつ、中長期的な上昇トレンドを自動で追従
3. エントリー(定額DCA)
- 毎営業日または定時に資本の1%相当を現物BTCで買い増し
- レバレッジは1倍以下に抑制 → 証拠金維持コスト・強制清算リスクをゼロ化
4. 資金調達料(FR)ヘッジ
- FR > 0(Funding Rateがプラス)時:同額分のBTC永久先物をショート建玉 → デルタ中立化
- FR ≤ 0時:ヘッジショートをクローズ
- ヘッジ量は常に現物評価額に同期
5. 損切りルール(ドローダウン制御)
- ポジション全体の含み損が資本比 −15%を超えた瞬間に全クローズ
- 損切り発動後は24時間以上のエントリー禁止 → 感情的介入を排除
6. 利確ルール(部分/全体利確)
- A. 52週高値からの乖離率トリガー
- 現在価格が「52週高値 − Δ%」を下回ったら全ポジション決済
- B. トレーリングストップ(ピーク比20%)
- 最高到達価格から20%下落したら全決済
- 両者併用で、急落・ピーク後の利確機会を逃さない
7. 自動化フロー
- 00:00 JST 前営業日の52週高値をバッチ更新
- 定時買い (資本×1%)
- 毎時チェック:FR取得→ヘッジ建玉/解除
- リアルタイム監視:
- DD15%超 → 損切り発動+24h停止
- 52週乖離 or トレーリング20% → 利確発動
- 通知:Slack/Emailで「買い・ヘッジ・利確・損切り」をリアルタイム報告
8. 特徴・利点
- リスク最小化:現物のみ+自動損切りで大暴落に強い
- コスト制御:FRヘッジで余計な持ち越しコストを抑制
- 感情排除:エントリー・出口ともに明確なルール化&クールダウン機能
- 拡張性:フェーズ毎に「出口ルール→ヘッジ→通知」を段階的に実装可能
この概要をもとに、まずは「定額DCA+DD15%損切り+基本ヘッジ」の核心部分をプロトタイプ化し、安定動作を確認後に52週高値乖離・トレーリングなど出口強化機能を順次追加するのがおすすめです。
(DeltaGuard DCA Strategy:現物オンリーのDCAにデルタ中立ヘッジ+厳格な出口ルールを組み合わせた自動売買)
開発フロー(個人×丸一日コミット想定/約10日)
日数 | フェーズ | 主なタスク |
---|---|---|
Day 1 | プロジェクト立ち上げ・環境構築 | - Git リポジトリ作成、README 整備 - Python 仮想環境(poetry/venv)準備 - 各種ライブラリ(ccxt or pybotters, pandas, asyncio etc.)導入 |
Day 2 | 価格取得&DCA モジュール | - 現物 BTC/USD 過去&リアルタイム価格取得クラス実装 - 毎日資本×1%/資金比率による購入ロジック |
Day 3 | 資金調達料(Funding Rate)ヘッジ | - 1h 毎に FR を取得→プラス時に永久先物ショート建玉、マイナス時に決済 - ヘッジ建玉量を現物評価額に同期 |
Day 4 | 損切り(ドローダウン15%)モニタリング | - P&L 集計エンジン実装(約定取得 → 累積損益計算) - −15%超え時の全ポジション即時クローズ+24h エントリー停止 |
Day 5 | 利確トリガーⅠ:52週高値乖離 | - 過去 52 週高値をバッチ取得&キャッシュ - 日次/定時で乖離率チェック → 全決済 |
Day 6 | 利確トリガーⅡ:トレーリング20% | - リアルタイムピーク記録&20% 下落検出ロジック - 指値+成行フォールバック注文 |
Day 7 | 通知&ログ機能 | - Slack/Email マルチチャネル通知モジュール - 動作ログ(発注・利確・損切り・ヘッジ)をファイル/DB に記録 |
Day 8 | バックテストフレームワーク整備 | - 過去データを使ったフォワード検証スクリプト作成 - マルチシナリオ(急騰・急落・横ばい)の耐性テスト |
Day 9 | 統合テスト&フォワードテスト | - デモアカウントで 1 週間程度稼働させつつ挙動確認 - エッジケース(API エラー・ネットワーク断)を想定したリトライ処理検証 |
Day 10 | 本番デプロイ準備/ドキュメント作成 | - Kubernetes or Docker Compose 用マニフェスト作成 - 運用手順書&パラメータ変更ガイド整備 |
合計:10日(約2週間)
※実運用まで見据えるなら、Day 8–9 をフォワードテストに長めに振り分け(+1–2 週間)すると安心。
優先実装のポイント
- シンプル×堅牢
- まずは DCA+DD15%+基本ヘッジのみで「動くプロトタイプ」を作成
- 段階的追加
- Day 5–6 の “出口ルール” は稼働確認後に組み込むことで、ロジックのバグ源を絞り込む
- 自動監視/自己治癒
- API エラー時は自動再試行+Slack 高優先通知
- 異常時は「一時停止 → 手動レビュー」フローを設ける
まとめ
以下の3要件を最優先に据えた“レバ1倍以下+出口明確化”戦略の骨子です。小規模~中規模資金でも再現性高く動くよう設計しています。
- レバ 1 倍以下に抑え、FR 0 ラインを目安にヘッジ
- ドローダウン 15% 到達で自動クローズ
- 利確トリガーを 52 週高値からの乖離率 or ピークからのトレーリング 20%
抽出戦略原型

以下は改良前の戦略案です。
1. エントリー&ポジション管理
- レバ1倍以下=現物オンリー
- 毎日または定期的に、資本の**1 %**相当を買い増し(例:資本$20,000なら$200/日)
- DCAの効果で高値掴みを薄めつつ、絶対的な証拠金負担・FRはゼロ
2. 資金調達料 (FR) ヘッジ
- FR 0 ラインを基準にショートヘッジ
- 毎時取得するFunding Rateがプラス → 逆サイド永久先物ショートでデルタ中立化
- FRがマイナス時はヘッジをクローズ(ショート決済)
- ヘッジ量
- 現物評価額に対して同額(≒デルタゼロ)
- 例:現物BTC保有100万円 → BTC永久先物ショート100万円分
3. 自動ドローダウン制御(損切り)
- カットルトリガー:ポジション全体で−15 %
- 毎分 P&L 評価 → 資本比15 %を超える含み損が発生したら即時全クローズ
- クローズ後は24 h以上エントリー禁止(“感情介入”防止クールダウン)
4. 利確トリガー(部分/全体利確)
- A. 52週高値からの乖離率
- 現在値 ≤(52週高値 - Δ%) になったら全ポジション決済
- Δ% は例えば 5 %(警戒)~10 %(強気)で調整
- B. ピークからのトレーリング20 %
- 最高到達価格から20 % 下落をトリガーに全ポジション決済
- 両トリガー併用
- 日次/毎時に52週高値乖離を確認
- Tick毎にトレーリングピークを更新/下落を検出
5. 一連の自動化フロー
- 00:00 JST — 前営業日の52週高値をバッチ更新
- 定時(例 09:00) — 資本×1 %を現物買い(レバ≤1担保)
- 毎時チェック
- Funding Rate取得 → プラスなら永久先物ショート建玉/マイナスなら決済
- リアルタイム監視
- P&L モニター → −15 %超えで全クローズ+24 h停止
- 52週乖離 or トレーリング20 % → 全クローズ
- 通知
- Slack/Emailで「買い・ヘッジ/ヘッジ解除・利確/損切り発動」をリアルタイム送信
実装ポイント&注意
- 価格データの信頼性
- 52週高値・トレーリングピークは、複数API or 自前DBでフェイルオーバー
- FRデータ取得頻度
- 1hごとに安定取得できる取引所を選択(Bybit, OKXなど)
- モニタリングの同期化
- P&L・価格・FR・バッチ更新は同一タイムスタンプ基準で処理
- バックテスト
- 過去のFR分布や2017/2021年級の急騰急落を含むマルチシナリオで堅牢性確認
まとめ
- 最小限のレバリスク: 現物のみでFRコントロール
- 出口厳格化: −15 %ドローダウン/52週高値乖離/トレーリング20 %
- 完全自動: 感情排除のためのクールダウン+リアルタイム通知
この3本柱を骨組みに、まずは「現物DCA+15 %ドローカット+基本ヘッジ」のプロトタイプを短期フォワードで試し、順次52週高値乖離・トレーリングを追加していくと、リスクをほぼコードで封じた戦略になります。
「デルタガードDCA戦略」解説🔰初心者向け

初心者の方向けに、用語や流れをかみ砕いて説明します。
この戦略は何をするもの?
「デルタガードDCA戦略」は、ビットコインを少しずつ自動で買いながら、損しにくく、利益を取り逃がしにくいように設計された売買ルールの組み合わせです。
1. どういう名前?
デルタガードDCA戦略
- DCA(ドルコスト平均法)=「毎日決まった金額で買う」
- デルタガード=「資金調達料(=保有コスト)を打ち消すヘッジ」
- これらに「厳しい損切り/利確ルール」を組み合わせたもの、という意味です。
2. 何を目指す?
- 運任せのギャンブルではなく、あらかじめ決めたルール通りに動かし、
- 不要なコストを抑えつつ、上昇相場から利益を得る。
3. 買い方(エントリー)
- 毎日または特定のタイミングで資金の1%を買う
- たとえば資金が10万円なら、1,000円ずつ現物のビットコインを買い増し。
- レバレッジは使わない(1倍以下)
- 「借金して増やす」仕組みを使わず、強制的に大きな損をしない。
4. 保有コスト(FR)を抑える仕組み
- 仮想通貨の先物には「資金調達料」というコストがかかる場合があります。
- 資金調達料が“プラス”のときだけ、同じ額の先物を売り(ショート)建てて差し引きゼロに。
- 資金調達料が“マイナス”のときは、そのショートを決済(手放す)。
- これで現物だけを持ちながら余計なコストをほぼゼロにできます。
5. 損切りルール(ドローダウン15%)
- 含み損が全資金の15%を超えたら、持っているビットコインを全部売却。
- 損切り後は24時間、新規買いをストップ。
- 感情が入ってズルズル持ち続けないようにします。
6. 利確ルール(利益確定)
利益が出たときに売る2つの条件を同時にチェックします:
- 52週高値からの下落幅で売る
- 過去1年間の最高値を調べ、「最高値−〇%」を下回ったら売却。
- ピークからトレーリング20%で売る
- 保有中に更新した最高価格から20%下がったら売却。
どちらかが起きたら、利益を確実に手にします。
7. 自動化の流れ(一例)
- 深夜0時:前日までの1年分の「最高値」を更新・保存
- 毎日決まった時間:資金の1%で現物を買い増し
- 毎時間チェック:資金調達料がプラスならヘッジ、マイナスなら解除
- 常時監視:
- 含み損15%超 → 全部売って24h停止
- 52週高値乖離 or トレーリング20%下落 → 全部売る
- 通知:Slackやメールで「買い増し」「ヘッジ開始/解除」「利確」「損切り」を報告
8. この戦略のメリット
- 大きな損を防ぐ:レバレッジを使わず、自動損切りもある
- コストを抑える:資金調達料をヘッジで相殺する
- 感情を排除:売買タイミングをすべてルール化+クールダウン機能
- 段階的に拡張可能:まずは基本ルールだけで試し、慣れてきたら利確ルールなどを追加できる
まずは「毎日定額DCA+15%損切り+基本ヘッジ」で動く小さなプロトタイプを作り、安定動作を確認してから、利確ルールを順番に組み込むと、ミスを減らしながら完成度を高められます。
「資金調達料(Funding Rate, FR)」解説🔰初心者向け

仮想通貨先物の「資金調達料(Funding Rate, FR)」って何?どうしてヘッジをするの?そしていつ利益が出るの?──を、具体例を交えてやさしく説明します。
資金調達料(Funding Rate)とは?
- 先物特有のコスト
現物(スポット)取引には「買って持っているだけ」のコストは基本ゼロですが、永久先物(Perpetual Futures)では「資金調達料」という名のやり取りが数時間ごとに発生します。 - プラス/マイナスの意味
- FR > 0(プラス):先物のロング(買いポジション)がショート(売りポジション)に資金調達料を支払う
- FR < 0(マイナス):ショートがロングに資金調達料を支払う
ヘッジの仕組み
デルタガードDCA戦略では、現物はずっと持ちつつ、「余計なFR支払い」をキャンセルするために先物をショート建てます。
FRの状態 | 動作 | 結果 |
---|---|---|
FR > 0 | 1. 現物を持つ(ロング) 2. 同額分の先物をショート建て | ・現物ロングはFRなし ・先物ショートはFR受取 → 支払いを相殺して「ほぼゼロコスト」に |
FR ≤ 0 | 1. 先物ショートをクローズ(決済) | ・現物ロングだけ残す → FR受取がそのまま入る |
具体例①:FR がプラスの場合(FR = +0.01%/8h)
- 前提
- 10 BTC 現物保有
- Funding Rate +0.01%(ロング→ショートへ支払い)
- ヘッジ前の状態
- あなたは「ロング10 BTC」を持っているだけ ⇒ FR支払い:0.01%×10 BTC
- ヘッジ後の状態
- 同額(10 BTC 相当)の先物をショート建て
- 先物ショート側は「FR受取:0.01%×10 BTC」
- ロング→ショートへの支払い(あなたの現物分)と、先物ショートでの受取りが相殺
- 結果:FRコストがほぼゼロ
- 価格変動時の損益
- 現物ロングの値上がり分は受け取れる
- 先物ショートの損失分はあるが、それは「価格変動リスク」として計算上の見かけ損益。戦略全体で見ると、価格変動リスクは出口ルールで管理します。
具体例②:FR がマイナスの場合(FR = −0.02%/8h)
- 前提
- 先ほどのヘッジポジションをそのまま持っていたとすると、先物ショートで「−0.02%の支払い」が発生。
- ヘッジを外す
- 先物ショートをクローズ
- 先物での支払い義務が消滅
- 現物ロングだけ残し、マイナスFR(本来ならロングが受け取る分)をそのまま享受
- 利益が出るパターン
- FR > 0 の間: ヘッジでコストゼロ化
- FR < 0 の間: ヘッジ解除して“マイナスFR(実際には受取)”を獲得
いつ、何で儲かるの?
- Funding Rate の受取り
- FR がマイナスに振れた瞬間:現物を持つだけで「先物ショートをクローズして得られる分」が儲かる。
- 相場が落ち着いて FR がマイナスになるタイミングで利益を積み上げるチャンスがあります。
- 価格上昇のキャッチ
- FR > 0 時はコストゼロに抑えつつ、価格が上がったら現物ロングの値上がり利益を享受できます。
- 戦略では “出口ルール”(例:ピーク比−20%や52週高値乖離)で、価格上昇からの利益確定をきちんと行います。
まとめ
- なぜヘッジ? ⇒ FR(持ち越しコスト)を支払わず、逆に受け取れる仕組みを作るため
- いつ儲かる?
- FR がマイナスのときに“その分”を受け取る
- 価格が上がったときに現物ロングの値上がり分を確実に利確
- 出口ルールと組み合わせることで、「いつ買って/いつコストを抑えて/いつ売るか」を全部コード化し、ムダなコストや感情的判断を一切排除します。
この仕組みを理解しておけば、単なる積立以上に「いつコストを抑え、いつ利益をとるか」がクリアになります。
資金調達料(Funding Rate, FR)の2つの要素
1. 金利成分(Interest Rate, I)
- 固定金利として設定されており、たとえばBybitだと「年率0.03%」がデフォルト(8時間ごとの区切りなら0.01%/8h)です。
- 計算式: I=0.03%(1日あたりの資金調達回数) I = \frac{0.03\%}{\text{(1日あたりの資金調達回数)}}I=(1日あたりの資金調達回数)0.03% 例:8時間ごとであれば 0.03%÷3=0.01%0.03\% \div 3 = 0.01\%0.03%÷3=0.01% バイビット
2. プレミアム指数(Average Premium Index, P)
- 先物価格とスポット(指数)価格のズレを表します。
- 過去N時間の「(先物のMark Price ÷ インデックス価格 − 1)」を、時間重み付き平均(TWAP)で算出したものです。
- 先物がスポットより高い→ Pがプラス、安い→ Pがマイナスとなり、市場のロング/ショート需要のアンバランスを反映します バイビット。
資金調達料の算出式
Funding Rate (F)=P + clamp(I−P, +0.05%, −0.05%) \text{Funding Rate (F)} = P \;+\; \mathrm{clamp}\bigl(I - P,\; +0.05\%,\; -0.05\%\bigr)Funding Rate (F)=P+clamp(I−P,+0.05%,−0.05%)
- clamp() は「I−P」が±0.05%を超えないように抑える制限です バイビット。
- 結果として、F がプラスなら「ロング→ショートへ支払い」、マイナスなら「ショート→ロングへ支払い」が発生します。
FRが動く“根本原因”と観測ポイント
- ロング/ショートの需給バランス
- 多くのトレーダーがロングを増やすと先物価格が上がり、 P がプラス→Fもプラス傾向
- ショートが増えるとPがマイナス→Fマイナス傾向
- 観測方法:
- 先物のMark Price とスポット指数価格のリアルタイム差分
- 取引所APIで取得できる「Open Interest(建玉残高)のロング/ショート比率」
- 金利動向
- 金利成分 I は固定ですが、取引所によってデフォルト値が異なる場合も
- 観測方法:
- 取引所のドキュメント(Help Center)やAPIで公開されている「Interest Rate」の確認
リスク低減につながる活用法
- 予兆モニタリング:
- Funding Rate が急上昇(または急下降)する前兆として、Premium Index P が先行して動きます。
- APIで P を頻繁に取得し、Fが極端に振れる前にヘッジを仕込むことで、コスト発生を最小化できます。
- 建玉調整のタイミング最適化:
- FR > 0 のときだけヘッジ、FR ≤ 0 のときだけ解除、という単純ルールではなく、P のトレンドや Open Interest の急変をフィルターに加えると、より効果的です。
まとめ
- FR = 金利成分 (I) + プレミアム指数 (P) + clamp で決まる バイビット
- 根本は「先物とスポット価格のズレ」と「ロング/ショートの需給バランス」
- P やOpen Interestの先行指標をAPIでモニタし、ヘッジタイミングを微調整することで、さらなるリスク低減が可能
この仕組みを押さえると、「いつコストがかかり、いつ得られるか」をより高精度に予測できるようになります。
改訂版:Premium‑Guard DeltaGuard DCA
(プレミアム指数を先行指標に使い、Funding Rate を最適制御するデルタ中立DCA)
全体フローとモジュール構成
- データ収集モジュール
- スポット価格(現物BTC/USD Mark Price)
- 先物価格(永久先物 Mark Price)
- Premium Index P
- 取引所APIで「先物÷指数価格−1」を取得し、TWAPで平均化
- Interest Rate I
- 取引所ドキュメント or APIで固定値取得
- Open Interest(建玉残高の Long/Short 比率)
- P と OI によるヘッジ判断ロジック
- 従来ルール:FR = I + P → FR>0 でヘッジ建玉、FR≤0 で解除
- 拡張① プレエンプティブヘッジ
- P > +0.005% かつ OI_LongRatio > 60% ⇒ 先にヘッジ建玉開始
- 拡張② クイック解除
- P < −0.005% または OI_LongRatio < 40% ⇒ 即時ヘッジ解除
- フィルタ:シグナルが2周期(2h)連続で成立したらアクション
- 定額DCAエントリー(現物のみ)
- 毎営業日09:00 JST:資本の1%を現物買い
- 購入後すぐに P/OI シグナルでヘッジ判定を実行
- 出口ルール
- DD15%カット:リアルタイムP&L モジュールで監視
- 利確① 52週高値乖離:日次バッチで「52w_high − Δ%」をチェック
- 利確② トレーリング20%:リアルタイムピーク更新&下落検出
- 通知&監視
- Slack/Emailで各アクション(買い, ヘッジon/off, 利確, 損切り)
- Grafana ダッシュボードに P, FR, OI, P&L を可視化
具体的なシグナル設計例
シグナル | 条件 | 動作 |
---|---|---|
予備ヘッジ開始 | P > +0.005% & OI_Long > 60% (2周期連続) | 先物ショート建玉開始 |
通常ヘッジ開始 | FR > 0 (2周期連続) | 先物ショート建玉開始 |
迅速ヘッジ解除 | P < −0.005% or OI_Long < 40% (1周期) | 先物ショート全決済 |
損切り発動 | 累積含み損 >15% | 全ポジション即クローズ+24h停止 |
利確① 実行 | スポット価格 ≤ (52w_high − Δ%) | 全ポジション即クローズ |
利確② 実行 | 最高ピーク比 −20% | 全ポジション即クローズ |
モジュール間の連携イメージ
flowchart TD A[価格&P/OI収集] --> B[FR計算 & シグナル判定] B -->|予備ヘッジON| C[先物ショート] B -->|通常ヘッジON| C B -->|ヘッジ解除| D[先物決済] A --> E[DCA買い (現物)] E --> B A --> F[P&L監視] F -->|DD15%超| G[全クローズ & 停止] A --> H[52w高値 / トレール監視] H -->|利確条件| G C & D & E & G --> I[通知発行]
まとめ
- Premium Index (P) と Open Interest (OI) を先行指標に加えることで、Funding Rate の急騰・急落を未然に回避/活用可能に。
- 予備ヘッジルールを置くことで、FR>0の判定より前にコスト抑制を開始。
- 既存の「DCA+DD15%カット+出口ルール」に、新たなヘッジ判定層を積み重ねた三重のリスクガード構造です。
この設計をもとに、まずはPとOIの収集・計算モジュールを組み込み、従来のFR判定と並行テストしてみることをおすすめします。
本戦略の競合まとめ
デルタガードDCA戦略と同じフィールドで“資金調達料の最適化+自動売買”を狙ってくる典型的なプレイヤー(競合)は、大きく以下の5タイプに分けられます。
1. 資金調達料(Funding Rate)アービトラージャー
- 概要:複数取引所間でFunding Rateの差を狙うアルゴリズム。
- 手法:FRが高い取引所でショート、低い取引所でロングを建て、差分を無リスク収益化。
- 競合ポイント:
- FRの急騰前に大量ヘッジを仕込むため、P/OIシグナルが出た瞬間にスリッページや流動性枯渇を招きやすい。
- 高頻度でエントリー/イグジットを繰り返すため、取引コストとAPIレート制限との戦いになる。
2. デルタニュートラル市場メイカー
- 概要:現物⇔先物の両サイドに同時に板を並べ、スプレッドで利ざやを取る。
- 手法:
- 先物ショートと現物ロング(または逆)を一定比率で維持しつつ、板内で高頻度に売買。
- スプレッドを極限まで狭めて薄利多売。
- 競合ポイント:
- あなたの“予備ヘッジ”と同じく常時デルタ調整するため、価格急変時の反応が似通っており、同一方向にポジションが偏ると大口価格変動を誘発しやすい。
- API呼び出し性能・注文速度の差がパフォーマンスに直結。
3. インデックス連動DCAロボ/定時買いボット
- 概要:単純に毎日・毎週定額で現物を積み立てる、いわゆる“怠け者DCA”ボット。
- 手法:
- 時間指定で現物買いのみ(出口ルールなし/手動対応が前提)。
- 取引所提供の自動買付サービスと被ることも多い。
- 競合ポイント:
- あなたと同じ時間帯に大量買いが入りやすく、DCA部のスリッページリスクが増大。
- “出口ルールなし”ゆえに暴落時の投げ売り圧力も同居し、マーケット心理をあおる要因になる。
4. トレンドフォロワー/モメンタム戦略Bot
- 概要:価格のトレンド(移動平均クロスなど)を捕まえてロング・ショートを繰り返す。
- 手法:
- 短期〜中期のトレンド変化を検出してポジションを組む。
- フィルタとしてATRやボラティリティ系を併用することも多い。
- 競合ポイント:
- あなたの出口トリガー(ピーク比20%トレーリングや52週高値乖離)と“利確”のタイミングがぶつかりやすい。
- トレンド逆転局面で同時に利確/損切りが走るため、流動性ひっ迫や約定失敗リスクが上がる。
5. インスティテューショナル/裁量トレーダー
- 概要:機関投資家やプロトレーダーが手動または半自動で大口注文を出す。
- 手法:
- マクロイベントをベースに裁量で方向性を決定(例:経済指標、要人発言)。
- 定量モデルと裁量のハイブリッド運用。
- 競合ポイント:
- あなたの自動損切り(DD15%超)や利確で大量クローズが走るタイミングに、彼らの大口注文が重なると、リバウンド買い/売りで価格が突然跳ねる。
- “クールダウン24h”中に大相場が来ると参加機会を逃しやすい。
まとめと対策
- 流動性監視:同時間帯のマーケットオーダー量やAPI注文量を可視化し、スリッページリスクを事前に察知。
- 注文本数制御:他Botや機関の大口注文にぶつからないように、DCA買い/ヘッジ建玉を細かく分割。
- APIレート分散:主要取引所だけでなくマイナー取引所にも接続し、対抗Botの集中処理によるAPI枯渇を回避。
これらの競合動向を押さえたうえで、Premium‑Guard DeltaGuard DCAの「分割注文」「先行ヘッジ」「柔軟クールダウン」などの機能を磨き込めば、より安定したパフォーマンスが期待できます。
🕳 デルタガードDCA戦略の「穴」や注意点
① 📉 長期下落相場ではドローダウンが繰り返される
説明:
- 含み損15%で損切り → 24時間停止 → その後また買い直し…を繰り返すと、“何度も損切りを繰り返すだけ”の消耗戦になる可能性があります。
想定されるケース:
- 典型的な「下げトレンド」や「バブル崩壊局面」
- ボラティリティが大きく、小リバウンド後に再び落ちるなどの“騙し上げ”
🔧 改善アイデア:
- 移動平均をフィルターにして「上向きのときだけ買う」など、トレンドフィルターを導入する
- マルチシグナルDCA化(複数条件での積立開始/停止)
② 🌀 ボラティリティクラッシュ時の「ヘッジ誤爆」
説明:
- FR(Funding Rate)に反応してショートを建てるものの、
- 直後にFRが逆転したり
- 急上昇相場に入ったり すると、現物ロングと先物ショートの両建てが大きく損失を生む可能性があります。
想定されるケース:
- 急騰フェーズで「FR > 0」となりショートを建てた直後に、FRが反転して「FR < 0」になり、損失確定せずに払い続ける
- ショートが想定以上に踏み上げられる
🔧 改善アイデア:
- FRの安定期間やOpen Interestのトレンドを確認してからヘッジに入る
- ヘッジは 段階的ポジションサイズにする
③ 🔁 トレーリング利確が「急反発を取り逃す」可能性
説明:
- トレーリングストップ(例:最高値から20%下落で利確)は、一時的な調整で売却→その後さらに上昇という局面で、利益を伸ばしきれないことがあります。
想定されるケース:
- BTCのように急騰→−22%→再急騰という価格アクション
🔧 改善アイデア:
- トレーリング幅を変動ボラティリティに応じて動的にする
- 一部利確と段階売却に分けて運用
④ 💸 手数料・スリッページ・資金調達の“ズレ”
説明:
- 戦略上は「コストゼロ」に見えても、実際には…
- 指値が刺さらない(スリッページ)
- 手数料がかかる(テイカー手数料含む)
- FRのラグ/Clamp制限で 完全なゼロ化ができない
🔧 改善アイデア:
- 実測ベースでFRと手数料の差を日々ログ化 → 実コストを加味したシミュレーションを行う
⑤ 🤖 自動化の不備による“暴走”リスク
説明:
- たとえば以下のような自動化トラブル:
- FR取得が失敗して「常にショート解除されない」
- Slack通知が止まっていてトラブルに気づけない
- ロジック分岐ミスで、価格暴落時にロング追加し続けるなど
🔧 改善アイデア:
- フェイルセーフ設計(異常時は強制停止)
- ログ監視&Slack通知強化
- バックテストとステージング環境での定期チェック
✅ まとめ:「戦略の穴」は想定して備える
リスク | 想定ケース | 対策の方向 |
---|---|---|
長期下落相場 | 損切りの繰り返し | トレンドフィルター導入 |
FR誤爆 | FR反転や暴騰 | Open Interestなど併用 |
利確タイミングのずれ | 一時的調整の売却 | 動的なトレーリング幅 |
手数料・FRの実コスト | 完全ゼロ化できない | 実測ログの可視化と反映 |
自動化の不具合 | 誤作動・通知欠損 | 多層監視・フェイルセーフ |
このように、戦略の“穴”は見つけておくほど堅牢化できるんです。
「自動積立+ヘッジ+明確な出口」という思想は非常に美しいですが、実戦ではどこでズレが起こるかを常に疑う視点を持つことで、より完成度の高い戦略になります。
👇ラジオで話したこと
🎙️ 開発記録ラジオ#189|デルタガードDCA戦略を初心者にもわかりやすく解説!資金調達料って何?どう儲けるの?
こんにちは、よだかです。
今日は、仮想通貨Bot戦略のひとつ「デルタガードDCA戦略」について、できるだけやさしい言葉でじっくり解説していきます。
専門用語が出てきたらその都度かみ砕いてお話ししますので、初めての方もどうかご安心を。 後半では、この戦略の肝となる「資金調達料(Funding Rate)」についても、例え話を交えてご紹介します。
🪙 1. デルタガードDCA戦略ってなに?
この戦略は一言で言うと…
📌「ビットコインを毎日ちょっとずつ買っていきながら、損しにくく、利益も逃しにくくする」そんな自動売買のルールです。
名前の意味を分解すると、
- DCA(ドルコスト平均法):毎日同じ金額分だけ買っていく方法。積立に近いですね。
- デルタガード:保有していることで発生するコスト(資金調達料)を、先物を使ってヘッジする仕組みのこと。
そしてこれに、
- 損切りルール
- 利確ルール
この2つを組み合わせて、感情に流されず、コツコツ安定的に資産を増やしていこう、というものです。
📈 2. どうやって買うの?
たとえば資金が10万円あったら、1日あたり1,000円分のビットコインを買っていきます。 レバレッジ(借金で取引を大きくする方法)は使いません。だから「一撃大損」が起きづらい。
🛡 3. なぜ“デルタガード”?
ここがこの戦略の真骨頂です。
仮想通貨には「資金調達料(Funding Rate)」という見えないコストがあります。
これは現物ではなく、先物取引でポジションを持っている人同士が定期的に支払い合う手数料のようなもの。
- FRがプラスの時 → ロングがショートに支払う
- FRがマイナスの時 → ショートがロングに支払う
これをうまく利用して、**「支払わない・むしろ受け取る」**という形にできるのが、この戦略の面白いところなんです。
📊 4. じゃあどうやってそれを実現するの?
こんなふうにやります:
- 現物でビットコインを持ち続ける
- FRがプラスのときだけ、その同じ額を「先物でショート(売り)」しておく
するとどうなるか?
- 先物のショートでFRを受け取る
- その分、現物ロングのFR支払いが相殺されて ほぼコストゼロ
逆に、FRがマイナスのときは?
→ ショートをやめて、現物ロングだけ残しておく。
すると本来もらえるはずのFRをそのままゲットできる、というわけです。
🚨 5. 損切りルールと利確ルールは?
これもシンプルに設計されています。
📉 損切り:ドローダウン15% 資産が15%下がったら、すぐに全部売ります。翌日は一切買いません。
📈 利確:2つの出口ルール
- 52週高値から〇%下落したら売る(トレーリング)
- 保有中の最高値から20%下がったら売る(ピークアウト)
どちらかが来たら、確実に利益を確保します。
🤖 6. 自動化するとどうなる?
たとえばこんな感じです。
- 深夜0時に最高値を更新
- 毎日決まった時間にDCAで買い増し
- 毎時間FRをチェックして、プラスならヘッジ
- 常時、損切り/利確条件を監視
- 条件を満たしたらSlackに通知して、売却を実行
まさに 「自動で働いてくれる金融ロボット」 のような存在ですね。
💡 7. この戦略の魅力はどこ?
- 感情で動かさない
- FRコストを最小限にできる
- もしものときの損切りがある
- 利益を確保するルールもある
「積立以上、トレード未満」とも言える、堅実だけどちゃんと勝てる形を目指した設計なんです。
🧮 8. もうちょっとFRのこと、深掘りしよう
さっき少し話した「Funding Rate」について、具体的に見てみましょう。
FRはこういう要素で決まります:
- 金利成分(I):たとえば Bybit では年0.03%、つまり8時間ごとに0.01%
- プレミアム指数(P):先物価格と現物価格の差
この2つを合わせて、こんな式で計算されます:
F = P + clamp(I − P, ±0.05%)
この“clamp”というのは、金利差が大きくなりすぎないように制限する関数です。
📉 9. いつ利益が出るの?
- FRがマイナスの時 → ヘッジを外してFRを受け取る
- FRがプラスの時 → ヘッジでコストを打ち消して、ほぼゼロコストで保有
つまり、
- 「上がったら利確」
- 「下がったら損切り」
- 「持ってる間のコストはゼロかプラス」
という、とてもバランスの取れた戦略になるわけです。
🛠 10. こんな使い方もできる
最初は、ほんの小さな資金でプロトタイプを動かしてみましょう。
- 1日100円ずつの積立
- 含み損が15%になったら売る
- FRがプラスの時だけ先物ショート
これだけでも十分に学びが多く、ちゃんと利益が出る可能性もあります。
🎯 まとめ
デルタガードDCA戦略は、
- 買い方(DCA)
- 持ち方(ヘッジ)
- 売り方(利確・損切り)
この3つがすべてロジカルに整っていて、「淡々と、でも堅実に勝ちを積み重ねたい人」にとても相性の良い戦略です。
もし「仮想通貨トレードは怖い」「損したくない」と思っている方がいれば、まずこのようなルールベースの仕組みから触れてみると、世界が広がると思います。
以上、今回はデルタガードDCA戦略とFunding Rateの基本をお話ししました。
よだかでした。 ではまた、次回の放送でお会いしましょう。