今週の仮想通貨 Bot 開発・運用まわりの主なアクションまとめです。
1. インフラ & ビルドまわり
botをパッと組めるようになると捨てるのも壊すのも作り変えるのも全く怖くなくなるから、開発や検証の速度が上がる。
ダメなら作り直せば良いのだし、収益が期待できないbotの開発をダラダラ続けていても意味ない。— よだか(夜鷹/yodaka) (@yodakablog) July 18, 2025
| 日付 | ハイライト |
|---|---|
| 7 / 11 | 2 → 3 コンテナ構成の是非を再検討。 「Recorder だけでも分離すべきか？」を議論し、コンテナ分割＝プロセス分離とDocker Compose 上の名前空間の違いを整理。 |
| 7 / 12 | ① Bybit Network Guard の Ping URL 404 を修正（/v5/public/time → 正しいヘルスエンドポイント）。② Docker healthcheck / cron 手直し。 ③ htop で RAM/SWP 分析・チューニング方法を確認。 |
| 7 / 13‑14 | Apple Silicon + PyO3 リンカーエラーを深掘り。libpython 探索パスと maturin develop のビルド手順を整理。 |
| 7 / 15 | ExecutionEngine の引数不一致エラーを追跡。不要イメージ削除（docker system prune）→ 再ビルドしても再発することを確認し、コード側の初期化ロジックに原因が残ると切り分け。 |
| 7 / 17 | Binance Japan Adapter Phase 2 仕様書を作成：アダプター層のみで既存 Runner/OBM/Strategy と統合する方針を確定。 |
2. 取引所 API・権限・接続テスト
| 日付 | ハイライト |
|---|---|
| 7 / 11‑12 | Bitbank / Coincheck コネクタの初期化ログを調査。Coincheck が API キー未設定で沈黙していた可能性を検証。 |
| 7 / 15 | Bybit 本番・テストネットの Ping 診断失敗を修正（上記）。 |
| 7 / 16 | Binance アカウント情報 API で permissions=["TRD_GRP_008"] のみ ⇒ SPOT 権限が無いと判断し、権限不足の仕組みを解説。Testnet 用 UI の所在を確認。 |
| 7 / 17 | IP ホワイトリスト登録手順を整理（グローバル IP の調べ方／固定 IP と家庭用ルータの違い）。 |
3. 戦略ロジック & ドキュメント整備
| 日付 | ハイライト |
|---|---|
| 7 / 11 | FRMM Bot 記事の導入部をリライト（「二重のエッジ」説明をアップデート）。 |
| 7 / 12 | ブログ記事「ビルド地獄からの解放：Recorder → NATS 連携を最速でデバッグする実践ノウハウ」初稿を作成。 |
| 7 / 13‑14 | Apple Silicon × PyO3 最適化メモ、およびパフォーマンス改善 TODO（order‑book delta apply／VWAP・TWAP 等）を書き出し。 |
| 7 / 15 | - MM 戦略の勝ち筋／負け筋を表形式で整理。 - “餌を撒く”ハイブリッド戦略（ミニ埋め草／Rebate Farm 等）を初心者向けに解説し、λ パラメータ＝EWMA と明記。 |
| 7 / 17 | MM‑Snipe 戦略解説（ラジオ原稿形式）を拡充。「Z‑score とは？」など Q&Aにはライトトーンも挿入。 |
【戦略解説】mmbotの勝ち筋 https://t.co/rsuXf8xa23
— よだか(夜鷹/yodaka) (@yodakablog) July 16, 2025
4. 監視・ロギング & オペレーション
| 日付 | ハイライト |
|---|---|
| 7 / 12‑13 | watchdog.sh + cron の二重監視を動作確認。Slack 通知設定を見直し。 |
| 7 / 15 | MMBot.log 解析スクリプトを統合し、spread と notional を PnL データフレームへマージするワークフローを確立。 |
| 7 / 16‑18 | SPOT 権限問題を踏まえ、ネットワーク診断／権限制御を起動時に自動チェックするガード設計を検討。 |
5. ブログ・アウトプット
- 技術記事・ラジオ原稿を随時仕上げ
- コンテナデバッグ記事（7 / 12）
- MM Bot 勝敗分析シリーズ（7 / 15）
- Binance Japan 対応設計ドキュメント（7 / 17）
✍️ 総括・次のフォーカス
- ExecutionEngine 初期化バグの完全解消
- SPOT 権限付与 or 代替アカウント準備
- Binance Japan Adapter の統合テスト
- パフォーマンス改善タスク（Δ適用最適化／VWAP 計算高速化）着手
- 監視レイヤ：Slack 通知 + PnL 自動集計の継続強化
この 1 週間は「インフラの安定化 ➜ 権限制御の可視化 ➜ 戦略ロジックのドキュメント化」まで一気に進展しました。次週は プロダクト稼働テストと実データ検証 に軸足を移しつつ、残タスクを締めに行く予定です。
付録：【上記以外でやっていたことと来週の計画】
・Rust &Pythonのハイブリッド構成でBinance現物(BTC/JPY)のMMbotを作成した(メインネットでテスト運用中)
→来週はRustで高速化した部分も踏まえて作り込む
・FRMMbotはリファクタを進めていたが、システムの実装が複雑になりすぎてリファクタばかりしていた。
→来週からは実データベースで検証した"勝てる構成"のbotを１から作り直す決断をした
・arbbotは監視運用中
→価格の乖離が拾えるかどうかを継続監視。取引機会がない場合は監視範囲や取引戦略を拡張する。いずれにせよ、実際の市場データを元に勝てるロジックを積む。
・オンチェーン清算スナイプbotのrecorder稼働を最適化した(メモリの使用や無駄なログ出力の削減でシステム負荷を抑える)
→清算機会の検知精度を上げる。取引ロジックを積む。DeFi系なのでポジ管理と逃げ道(ブリッジなど)を2種類以上確保しておく。
今週の総合評価 ★ 4.5 / 5.0
（5 = 現状のリソースでほぼ最良、4 = 高水準で並走、3 = 標準進捗）
| 評点軸 | 今週の達成度 | コメント |
|---|---|---|
| ① 戦略ポートフォリオの拡充 | ★★★★★ | MM / FRMM / Arb / On‑chain 清算と、異なるα源を同時に走らせた点は極めて優秀。リスク分散と学習コストのバランスも良い。 |
| ② 実運用シフト & テスト | ★★★★☆ | Binance 現物 MM を メインネット投入し、Recorder/Watcher/Slack 通知まで回ったのは秀逸。FRMM を「一度畳んで再構築」判断を下した決断力も高評価。 |
| ③ 技術的深さ（Rust×Python / インフラ） | ★★★★☆ | PyO3 リンカー課題を解決しつつ、Rust 部分を高速化︱Apple Silicon でも動くビルドチェーンを整えたのは他の個人 Botterと差別化できる強み。 |
| ④ オブザーバビリティ & 運用耐性 | ★★★★☆ | watchdog＋cron、メモリ圧縮、ログ削減、healthcheck 修正など 本番運用前の地ならし が着実。残課題は ExecutionEngine の初期化バグと SPOT 権限ガードの自動化。 |
| ⑤ 学習＆アウトプット | ★★★★☆ | MM 勝ち筋・負け筋、ハイブリッド戦略記事、Binance Japan アダプタ設計書など 技術ドキュメントを形に残した 点が◎。ただし記事校正・図解は来週以降の磨き上げ余地。 |
Bot開発にRustを本格的に導入し始めたので、開発と並行して繰り返し読んでいる。図解での解説が多いのでイメージを掴むのに役立っている。https://t.co/o5tbTtTyFH
— よだか(夜鷹/yodaka) (@yodakablog) July 15, 2025
💪 今週のハイライト（特に優秀だった点）
- “捨てる勇気” を伴う意思決定
- FRMMbot を複雑なコードベースのまま延命せず、勝てる構成を 0→1 で再設計する方針転換。技術的負債を潔く切る判断は上級者ムーブ。
- 実データ起点の検証カルチャー徹底
- MM bot（メインネット）、Arb bot（乖離監視）、清算 Sniper（負荷最適化後のデータ収集）──すべて “モニター→学習→改善” サイクルが走っている。
- Rust ハイブリッドでの性能チューニング
- Order‑book delta patch や VWAP/TWAP 計算の高速化ロードマップを具体化。計測→ボトルネック洗い出し→Rust 化 の流れが明確。
- リスク管理への意識
- On‑chain bot での マルチ逃げ道（2 系統以上のブリッジ） 設計、SPOT 権限チェックの自動化検討など、セキュリティ＆資産保全を先回り。
📝 来週の重点アクション & 改善提案
| 重点 | Todo | 具体的チェックポイント |
|---|---|---|
| A. Binance 現物 MMbot 強化 | Rust 側ロジックの最適化 → latency／fill rate を計測し回帰テスト | - recv_latency_ms, hedge_gap_ticks を時系列プロット- 24 h ごとの PnL vs 手数料を自動レポート |
| B. 新 FRMMbot 0→1 | ‑ Backtest‑first パイプライン構築 ‑ 8 h FR 収益と MM スプレッド収益を分離計測 | - FundingPnL / SpreadPnL ヒートマップ- パラメータ探索は Optuna + Ray Tune で並列化 |
| C. ArbBot 拡張 | 乖離閾値にヒストリカル Vol を組み込み、動的幅アービトラージへ | - 5 分毎 volatiliy で σ スケール閾値 - 機会不足時に自動ペア増殖 |
| D. 清算 Sniper 強化 | Detection 精度 ↑ + Execution ルーター実装 | - precision, recall を擬似ラベルで評価- 逃げ道ブリッジのガスコスト配布ロジック |
| E. オブザーバビリティ統合 | Grafana ダッシュボード v2：MM/FRMM/Arb/Sniper の KPI 1 画面集約 | - Latency・成功率・資金曲線を同スケールで可視化 |
🔍 リスク & ケアポイント
- 多戦線同時展開による認知リソース逼迫
- 週次で 「捨てる or 後回しにする戦線」 を明文化し、Context Switch コストを可視化。
- テスト→本番移行ガード
- Abnormal Guard（ポジ清算・Max DD）を bot 共通ライブラリ 化して重複実装のバグを回避。
- Rust 部分の CI
- Apple Silicon／x86 両方で動く GitHub Actions matrix を早期に整える。
- 資金分散 & API キー管理
- CEX / DeFi それぞれ隔離ウォレット + 余剰証拠金アラートを Slack に統合。
🚀 まとめ
- “実運用 → 計測 → 改善” が全ボットで回り始め、システム化フェーズへ移行できたのが最大の成果。
- 来週は 単体最適化（MM）、新規 0→1（FRMM）、機会創出（Arb / Sniper） と戦線が広い分、タスク整理と KPI 可視化で “集中度” を保つと、さらに「優秀度 ★5」へ近づけます。
このペースで 「計測と意思決定のスピード」×「実装の質」 を両立させながら開発を進めていけば、年末の DeFi 本格参入までに十分“競争優位”の足場を築けるはずです。