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仮想通貨botの開発記録#56(2024/2/16)「高頻度取引(HFT)の一考察:まとめ」

2024年2月16日

前回の記事に引き続き、今回も仮想通貨botの開発状況をまとめていきます。

今回は「高頻度取引の一考察」を読んで、Bot開発に役立ちそうな部分をまとめました。

参考にしたのは以下の2記事です。

Yodaka

どちらもリサーチの土台となる記事でした。

高頻度取引の特徴

Yodaka

高頻度取引の特徴が複数の視点からまとめられています。

高頻度取引とはどのようなものか高頻度取引が市場に対してどのような影響を与えているかという点を含めて検討した内容。

高頻度取引を

①受動的マーケットメイキング戦略
②裁定取引戦略
③構造戦略
④価格指向性戦略

の4つに分けている。

①受動的マーケットメイキング戦略

直ちに約定しない価格で指し値注文を発注し、マーケットに流動性を提供する。

利益は、買い呼び値(bid)と売り呼び値(ask)の差額や取引所からのリベート。
取引所がこの戦略を歓迎しているかどうかが重要。

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②裁定取引戦略

乖離した価格の収斂に基づく取引。

情報の収集・処理・裁定機会の発見→取引の実行→価格が収斂したタイミングで再度取引を行うという過程で高速・高頻度で取引が行われる。
裁定機会を高速で発見し高速で約定できるかどうかがポイント。

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③構造戦略

市場や市場参加者の構造的な脆弱性を利用する。

相場情報の獲得(データへのアクセススピード)や獲得した情報の処理速度などの条件に差がある場合に有効。価格発見への貢献はなく、流動性を消費する。

価格発見とは?

「価格発得」とは、市場で取引される商品やサービスの適正な価格が、買い手と売り手の間の交渉や供給・需要のバランスによって決定されるプロセスのことを指す。株式市場や商品市場などの金融市場では、このプロセスが非常に重要。
価格発見のプロセスは、市場の透明性や参加者の情報の質、市場の流動性に大きく依存している。市場が透明で、参加者が等しく情報にアクセスでき、かつ流動性が高ければ、より効率的な価格発見が行われる。逆に、情報が不足している場合や市場が不透明である場合、価格発見プロセスは歪みやすくなる。
価格発見のメカニズムによって、市場参加者は現在の価格が将来の供給と需要の状況をどのように反映しているかを理解することができる。これにより、投資、生産、消費の意思決定が促進される。
例えば、株式市場では、投資家が利用可能なすべての情報を基に株価を評価し、その評価に基づいて売買を行う。この過程を通じて、個々の株式の「適正な」価格が市場によって発見される。同様に、商品市場では、天候の変化、政治的な出来事、供給の中断などの情報が価格に反映され、価格発見が行われる。
要するに、価格発見は市場経済の基本的な機能の一つであり、適正な価格を通じて資源の最適な配分を促進する役割を果たす。

④価格指向性戦略

価格指向性戦略は以下の3つに分類される。

「基礎的価値戦略(基礎的価値からの乖離が回帰することを予測して取引をする)」
「注文予測戦略(市場の大口購入者の存在を事前に察知して取引をする)」
「モメンタム・イグニッション戦略(急速な価格変動を引き起こすために一連の注文や取引を行う≒相場操縦)」

「相場操縦規制についての見解」

高頻度取引で用いられる戦略は相場を変動させるべき一連の売買取引に該当する要素はないとの指摘がある。 プログラムの内容を見たところで、その意図を把握することは難しい。コンピュータによる相場操縦「的」取引の規制には、既存のものとは異なる規制が必要。

「アルゴリズム取引の悪性」

アルゴリズム取引の中には、その執行において株価の変動率を高める戦略がある。投資家は、一般的にリスク回避傾向があるため、株価の変動率が高めること自体が、株式の価値の減少要因となる。

特に、株価が下落した後、投資家が強制的に証券を売却させられ、それに伴う損失により市場から退出させられる場合、株価の過度の変動は、当該投資家に回復不能な損害を与えることになる。

「規制の難しさ」

合法的なアルゴリズムの組み合わせが、株価の変動を多くする場合がある。例えば、ストップ・ロスの設定を多くの投資家がする場合、株価がその価格を下回ると大量の売り注文が出て価格が下落する。また、その状況下では、売りが売りを呼び価格の下落がさらに加速することになる。

ストップ・ロス自体は価格の変動を促進することになるが、保有する証券の価格が一時下落した後、損失を限定するために保有する証券を売価めが区して損失を限定的なものにする行為自体は合法的であるため、投資行動としての一定の合理性が認められるはずである。

アルゴリズム戦略の各要素は合法的だが、それらが複数組み合わせられることによって起こる株価の変動を直接抑制するような規制を導入することは難しい。
→本当にそうなのか?近年の研究などもリサーチする

「統合取引追跡システム」

高頻度取引における注文や執行を再構成し、注文が誰のものかを把握することを可能にするシステム。 特に、分断された各市場の情報を統合して把握することで全体像を把握することに貢献する。

全米市場システム(NMS: National Market System)におけるすべての市場における顧客及び注文に関する情報を、 その発生から、回送(routing)、キャンセル、変更および執行にいたるまで一つの統合されたデータとして記録、保管する。

「示唆と気づき」

・値幅制限が存在することにより、価格の急変が一定限度に制限されており、それで問題ないと言い切れるか
値幅制限がない市場では、アルゴリズム取引の自由度は高まり、執行戦略の幅も広がる
→法規制に抵触しないように注意する
記録する情報とその他の情報の関連性を考察する

「高頻度取引の難しさ」

  • 規制すべき取引と規制されるべきでない取引の線引きが難しい
  • 規制されるべき対象と規制されるべきでない対象の線引きが難しい
  • 高頻度取引による社会的損失の定義が難しい

高頻度取引自体は、流通市場での取引であるから、もっぱらゼロ・サム・ゲームであるという考えに基づく。株主間の利益移転が生じても社会厚生が減少しない。つまり、一方の株主が得る利益は、他方の株主の損失に等しいということ。

この観点からは、株主間で資産の所有権が移転しても、社会全体の資産の量は変わらないため、社会厚生の総量には影響を与えないとされる。 具体的には、株式投資である株主が利益を得るためには、別の株主がその株を売り、その取引において損失を被ることがある。

例えば、株価が上昇したときに利益を得る投資家がいれば、その上昇を予測できなかった別の投資家が損失を被ることがある。しかし、このような取引は市場における情報の効率的な配分に寄与し、価格発見のメカニズムを通じて経済全体の効率性を高める可能性がある。

ただし、この考え方には限界もある。例えば、市場の非効率性や不完全性、情報の非対称性などが存在する場合、株式市場の取引が社会厚生にネガティブな影響を与える可能性もある。また、株主間の利益移転が企業経営への影響を通じて、従業員や消費者、地域社会に悪影響を及ぼす場合も考えられる。

結局のところ、株主間の利益移転が社会厚生に与える影響は、市場の条件や取引の性質、経済の他の部分との相互作用など、多くの要因に依存する。 経済学では、このような複雑な相互作用を解析し、理解するために、様々な理論やモデルが提案されている。

【宿題】

経済学を学べる本や論文を読んでその概要を理解する

「社会厚生に与える影響」

  • 高頻度取引によって、情報の価格への反映が効率的になり、資源配分が効率化される
    →一部の高頻度取引は、効率性を改善している面があるが、これによる資源配分への効率化の寄与は限定的でもある。
  • 高頻度取引等は、ビッド・オファー・スプレッドの低減により、社会厚生を増加させる
    →ビッド・オファー・スプレッドを低減させるために費やす費用が別途負担されているか埋没費用になっている場合は、全体で見たときに社会厚生が増加しているとは言い難いという点には留意する必要がある。
  • 高頻度取引は、流動性を供給する受動的マーケット・メーキングだけでなく、流動性を消費する戦略を取る場合もある。
    →高頻度取引の 5 割以上が流動性を消費する取引であると指摘する研究が存在し、必ずしも流動性の供給のみを行うものではない。
    最新の研究結果を調査するとともに自分でも検証する
  • 高頻度取引が価格の変動やノイズを高めるという指摘もある
    →マシンが行う数々の注文情報や取引情報が市場に混乱を招く可能性がある。
    この点も最新の研究結果を調べてみる。

【参考になりそうなもの】

【宿題】

参考記事をAIに要約させてBot開発に転用する
評価指標入門を読む

まとめ

今回は、高頻度取引に関する考察をまとめました。

自分自身が高頻度取引をどう捉えているのかを改めて考えるきっかけになりました。

また、グーグルスカラーを使って先行研究を調べることの良さも知ることができました。

Yodaka

この調子で勉強と実践を繰り返していきます。

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