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開発記録#124(2024/11/14)【ML bot開発】「GRUを用いた価格予測プログラム」

2024年11月14日

前回の記事に引き続き、今回も仮想通貨botの開発状況をまとめていきます。

今回は「GRUを用いた価格予測プログラム」についてまとめました。

Yodaka

MLbot開発の備忘録です。

以下のポストをきっかけにChatGPTに解説をさせてみたことが開発のきっかけです。

AIによる分析結果

ここで行われていることを説明すると、以下のような内容です:

  1. 使用しているモデル
    • GRU(Gated Recurrent Unit)を使用してドル円(USD/JPY)の為替相場における自動売買(アルゴリズムトレード)を行っています。
    • GRUは、リカレントニューラルネットワーク(RNN)の一種で、時間系列データのモデリングに適しており、金融市場での価格予測にも利用されます。
  2. 複数モデルのアプローチ
    • グラフでは複数のエージェント(Agent1〜Agent30)がそれぞれ個別の予測モデルを持っています。
    • 各エージェントのシミュレーション結果がオレンジ色の線で示されており、エージェントごとに異なる予測をしています。
    • 赤色の太い線は、これら複数のモデルの予測結果の「平均」を取った結果です。この平均は、複数モデルを統合してリスクを分散させたり、安定性を高める効果を狙っていると考えられます。
  3. シミュレーション結果
    • 縦軸はおそらく累積利益や収益(単位は円やドル)、横軸は時間(2024年1月2日〜1月4日)を示しています。
    • エージェントごとに結果がばらついていますが、平均を取った結果(赤線)は比較的安定した上昇傾向を示しています。
  4. 並列処理
    • シミュレーションには時間がかかることが記載されています。ただし、並列化による計算高速化が行われているため、同時に複数のエージェントのシミュレーションを実行して計算時間を短縮しているようです。
  5. 目的
    • 複数モデルを使ったアンサンブル手法で、為替の自動売買におけるパフォーマンス向上とリスク分散を目的としている可能性があります。

全体的に、時間系列予測を活用した自動売買システムの構築・評価を行っている様子がうかがえます。シミュレーションの結果から、どの程度戦略が有効かを確認している段階のようです。

Yodaka

続いて、上記の処理を実行するコードをChatGPTに書かせてみました。

以下は、GRUを用いてドル円の自動売買をシミュレーションし、複数モデルを平均化するコードの例です。このコードは、Pythonと主要ライブラリ(TensorFlow/Keras、NumPy、Pandas、Matplotlib)を使用して構築されています。

import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
from tensorflow.keras.models import Sequential
from tensorflow.keras.layers import GRU, Dense
from sklearn.preprocessing import MinMaxScaler
from concurrent.futures import ThreadPoolExecutor

# 1. データの準備(ドル円為替データの例)
def generate_synthetic_data():
    np.random.seed(42)
    time = np.arange(0, 1000)
    price = 100 + np.sin(time * 0.01) * 2 + np.random.normal(0, 0.5, len(time))
    return pd.DataFrame({"time": time, "price": price})

data = generate_synthetic_data()

# 2. データのスケーリング
scaler = MinMaxScaler()
data["scaled_price"] = scaler.fit_transform(data["price"].values.reshape(-1, 1))

# 3. 時系列データの作成
def create_sequences(data, seq_length):
    sequences, targets = [], []
    for i in range(len(data) - seq_length):
        sequences.append(data[i:i + seq_length])
        targets.append(data[i + seq_length])
    return np.array(sequences), np.array(targets)

SEQ_LENGTH = 50
X, y = create_sequences(data["scaled_price"].values, SEQ_LENGTH)
X = X.reshape((X.shape[0], X.shape[1], 1))  # GRU用の形状に変換

# 4. GRUモデルの作成
def build_gru_model():
    model = Sequential([
        GRU(50, activation='relu', input_shape=(SEQ_LENGTH, 1)),
        Dense(1)
    ])
    model.compile(optimizer='adam', loss='mse')
    return model

# 5. 複数モデルのトレーニング
def train_model(seed):
    np.random.seed(seed)
    model = build_gru_model()
    model.fit(X, y, epochs=10, batch_size=32, verbose=0)
    return model

NUM_MODELS = 30
models = []

with ThreadPoolExecutor() as executor:
    models = list(executor.map(train_model, range(NUM_MODELS)))

# 6. シミュレーションの実行
def simulate(model):
    predictions = model.predict(X, verbose=0)
    return scaler.inverse_transform(predictions).flatten()

simulations = []

with ThreadPoolExecutor() as executor:
    simulations = list(executor.map(simulate, models))

# 7. 結果のプロット
simulations = np.array(simulations)
average_simulation = simulations.mean(axis=0)

plt.figure(figsize=(12, 6))
for i, simulation in enumerate(simulations):
    plt.plot(data["time"][SEQ_LENGTH:], simulation, alpha=0.3, label=f"Agent{i+1}" if i < 1 else "")

plt.plot(data["time"][SEQ_LENGTH:], average_simulation, color='red', linewidth=2, label="Average")
plt.legend(loc='upper left', fontsize=10, ncol=2)
plt.title("GRU Forex Simulation")
plt.xlabel("Time")
plt.ylabel("Price")
plt.show()

このコードは以下を実行します:

  1. データ生成: シミュレーション用に簡易的なドル円価格データを作成。
  2. シーケンスの作成: GRUモデル用の時系列データを準備。
  3. モデル構築: GRUを使用したシンプルなニューラルネットワークを構築。
  4. 並列処理: ThreadPoolExecutorで複数モデルをトレーニング。
  5. シミュレーション: 各モデルの予測結果を取得。
  6. プロット: 複数のシミュレーション結果とその平均をプロット。

シミュレーション結果が似た形でプロットされるはずです。このコードをもとに、データソースやモデル設定を調整することで、さらに現実的な取引システムを構築できます。

GRUとは

GRU(Gated Recurrent Unit)は、人工知能や機械学習で使われるニューラルネットワークの一種で、特に時間に沿ったデータ(時間系列データ)の解析や予測に適しています。ここではプログラミング初学者でも分かるように、GRUの基本を説明します。


1. GRUは何に使うの?

GRUは、時間に沿ったデータを扱うのが得意です。以下のようなデータに使われます:

  • 株価や為替の予測(例えば、明日のドル円の値動き)
  • 音声認識(話し声がどう進むかを解析)
  • テキスト生成(次に何の単語がくるかを予測)
  • 天気予報(未来の気温や降水量の予測)

2. GRUの仕組みをざっくり説明

GRUは、時間の流れを覚える機能を持つ脳のようなものです。普通のニューラルネットワークは現在のデータだけで判断しますが、GRUは「過去の情報も考慮」します。

具体例:

  • 今日の天気が「曇り」だったら、明日は「雨」が降りそうだと予想できる。
  • 過去の株価の動きが右肩上がりなら、明日も上がるかもしれないと予測する。

GRUは「何を覚えておくべきか」「何を忘れるべきか」を自分で判断しながら、過去と現在を組み合わせて未来を予測します。


3. GRUのポイント

GRUには、覚えるための便利な「ゲート」と呼ばれる仕組みがあります。これを使って、必要な情報を選んだり、不要な情報を捨てたりします。

  • 更新ゲート(Update Gate): 何を「覚えておくか」を決める。
  • リセットゲート(Reset Gate): 何を「忘れるか」を決める。

これにより、長期的な情報(昔のこと)も短期的な情報(最近のこと)もバランスよく使えるのです。


4. 初心者向けイメージ

GRUをイメージするなら、賢いメモ帳みたいなものです。

  • メモ帳のルール:
    • 必要な情報だけをメモに残す(重要な情報を「更新ゲート」で覚える)。
    • もういらない情報は捨てる(古い情報を「リセットゲート」で忘れる)。
    • 過去のメモと今のメモを合わせて、新しい結論を出す。

5. GRUのメリット

  • シンプル: よく似たLSTM(別のモデル)より計算が軽いので、学習が速い。
  • 効率的: 長いデータ(時間の流れが長いデータ)にも対応できる。
  • 実用的: 多くの時間系列タスクで優れた性能を発揮する。

6. プログラミング初学者へのアドバイス

GRUを実際に使うときは、自分で細かい仕組みを作らなくても、ライブラリ(例:TensorFlowやPyTorch)がすべて用意してくれています。以下のようにシンプルなコードで使えます。

from tensorflow.keras.models import Sequential
from tensorflow.keras.layers import GRU, Dense

# モデルの構築
model = Sequential([
    GRU(50, activation='relu', input_shape=(50, 1)),  # GRU層
    Dense(1)  # 出力層
])
model.compile(optimizer='adam', loss='mse')

print(model.summary())  # モデルの概要を表示

7. まとめ

  • GRUは、時間に沿ったデータを解析するための賢いモデル。
  • 必要な情報を覚え、不必要な情報を忘れることで、未来を予測する。
  • プログラミング初心者でも、ライブラリを使えば簡単に活用できる。

プログラムのプロトタイプ

Yodaka

仮想通貨の価格予測をするプログラムのプロトタイプを作成してみました。

【GRUを使って仮想通貨(BTC)の価格予測を行うプログラムのプロトタイプ】

import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
from tensorflow.keras.models import Sequential
from tensorflow.keras.layers import GRU, Dense
from sklearn.preprocessing import MinMaxScaler
from sklearn.model_selection import train_test_split

# 1. データの準備(仮想通貨の価格データを読み込む)
def load_data():
    # デモ用にシミュレーションデータを生成
    # 実際にはCSVファイルやAPIからデータを取得してください
    np.random.seed(42)
    time = np.arange(0, 1000)
    price = 30000 + np.sin(time * 0.01) * 500 + np.random.normal(0, 50, len(time))
    return pd.DataFrame({"time": time, "price": price})

data = load_data()

# 2. データの前処理
scaler = MinMaxScaler()
data["scaled_price"] = scaler.fit_transform(data["price"].values.reshape(-1, 1))

# 時系列データをシーケンスに変換
def create_sequences(data, seq_length):
    sequences, targets = [], []
    for i in range(len(data) - seq_length):
        sequences.append(data[i:i + seq_length])
        targets.append(data[i + seq_length])
    return np.array(sequences), np.array(targets)

SEQ_LENGTH = 50
X, y = create_sequences(data["scaled_price"].values, SEQ_LENGTH)
X = X.reshape((X.shape[0], X.shape[1], 1))

# データを訓練データとテストデータに分割
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)

# 3. GRUモデルの構築
model = Sequential([
    GRU(50, activation='relu', input_shape=(SEQ_LENGTH, 1)),
    Dense(1)
])

model.compile(optimizer='adam', loss='mse')

# 4. モデルの学習
history = model.fit(X_train, y_train, epochs=20, batch_size=32, validation_data=(X_test, y_test), verbose=1)

# 5. テストデータでの予測
predictions = model.predict(X_test)
predicted_prices = scaler.inverse_transform(predictions)
actual_prices = scaler.inverse_transform(y_test.reshape(-1, 1))

# 6. 結果のプロット
plt.figure(figsize=(12, 6))
plt.plot(actual_prices, label="Actual Price")
plt.plot(predicted_prices, label="Predicted Price")
plt.title("BTC Price Prediction with GRU")
plt.xlabel("Time")
plt.ylabel("Price (USD)")
plt.legend()
plt.show()

このコードは、以下を行います:

  1. データ生成: 仮想的なBTC価格データを生成します(実際にはAPIやCSVファイルからデータを取得してください)。
  2. 前処理: データを正規化し、時系列シーケンスを生成します。
  3. モデル構築: GRUを用いたシンプルな予測モデルを構築します。
  4. モデル学習: 訓練データでモデルを学習させます。
  5. 予測: テストデータで価格予測を行い、実際の価格と比較します。
  6. 可視化: 実際の価格と予測価格をプロットして結果を確認します。

このコードをベースに、実際のBTC価格データやパラメータの調整を行えば、より現実的な予測モデルを構築できます。

アプローチの利点

GRU(Gated Recurrent Unit)を用いて仮想通貨の価格予測を行い、それを自動取引ボットの運用に組み込む利点は以下の通りです:


1. 時間依存性を考慮できる

  • 利点: GRUは時系列データを扱うのが得意で、過去の価格変動やトレンドをモデル内で学習できます。
  • 効果: 仮想通貨市場のように短期的な変動が激しい市場では、直近の価格動向を考慮して将来の価格を予測することが重要です。

2. 高い計算効率

  • GRUはLSTM(Long Short-Term Memory)と似ていますが、内部構造が簡素化されているため、計算負荷が軽くなるというメリットがあります。
  • 効果: 自動取引ボットに組み込む場合、リアルタイムの予測処理が高速化され、即座に売買判断を下すことができます。

3. 長期・短期記憶のバランス

  • GRUは、どの情報を「覚える」か、「忘れる」かを自動で学習し、価格予測に必要な情報だけを選別します。
  • 効果: 長期的なトレンドや短期的な急激な価格変動の両方を考慮できるため、取引戦略が柔軟に対応可能になります。

4. 適応性の高い予測精度

  • GRUを用いることで、価格のトレンドや変動パターンを高度にモデリングできるため、予測精度が向上します。
  • 効果: 精度の高い予測に基づいた売買判断を行うことで、取引の成功率を高めることが期待できます。

5. リアルタイム対応

  • 学習済みのGRUモデルは、リアルタイムで次の価格を予測することが可能です。
  • 効果: 自動取引ボットが市場の変化に即応でき、損失を抑えつつ利益を最大化できる取引戦略を実現できます。

6. リスク管理

  • 複数のGRUモデルを構築してアンサンブル学習を行うことで、価格予測のリスク分散が可能になります。
  • 効果: 過剰適合(オーバーフィッティング)のリスクを減らし、安定した取引結果を得られるようになります。

7. 非線形データへの対応

  • 仮想通貨の価格変動は多くの場合、非線形的(直線では説明できない)な挙動をします。GRUはこのようなデータにも適応できます。
  • 効果: 複雑な市場動向をより的確に捉え、従来の統計的手法よりも優れたパフォーマンスを発揮します。

8. 自動化による効率化

  • GRUを使った価格予測モデルを自動取引ボットに統合することで、取引判断が完全に自動化されます。
  • 効果: 人間の感情や主観に左右されることなく、効率的かつ一貫した取引を実現できます。

自動取引ボットへの実装例

  • GRUで価格予測を行い、一定の閾値を超えた場合に「買い」「売り」の指令を出します。
  • : 予測値が現在値より5%以上高い場合に買い、5%低い場合に売る。

結論

GRUを仮想通貨価格予測に用いることは、高い計算効率、正確性、リアルタイム性を活かして、自動取引ボットの運用を効率化・高度化する効果が期待できます。これにより、利益の最大化とリスクの最小化を両立することが可能になります。

アプローチの欠点と対策

GRUを用いて仮想通貨の価格予測を行い、自動取引ボットに利用する際の欠点と、それに対する対策を以下に示します。


1. 過剰適合(オーバーフィッティング)

欠点:

  • GRUモデルが訓練データに過剰に適応しすぎると、未知のデータ(テストデータや実際の市場データ)でのパフォーマンスが低下することがあります。
  • 仮想通貨市場はノイズ(ランダムな変動)が多く、これをモデルが重要な情報と誤解してしまうリスクがあります。

対策:

  • データ分割: 訓練データとテストデータを厳密に分ける。
  • 正則化: Dropout層をGRUモデルに追加して、過剰適合を防ぐ。
  • 早期終了: 訓練中に検証データの損失が増加した時点で学習を停止する。
  • アンサンブル学習: 複数のモデルを組み合わせて予測結果を平均化し、過剰適合の影響を減らす。

2. 短期的な予測に偏りやすい

欠点:

  • GRUは長期的な情報を記憶する能力が限定的で、直近のデータに依存しすぎる可能性があります。
  • 仮想通貨市場では、短期的なスパイクやクラッシュに対応するだけでなく、長期的なトレンドも重要です。

対策:

  • データの工夫: 入力データに異なる時間スケール(短期、中期、長期)の特徴量を組み込む。
  • ハイブリッドモデル: 長期的なトレンド予測にはLSTMを、短期的な動きにはGRUを併用する。
  • 窓幅の調整: 時系列シーケンスの長さを試行錯誤して適切な値を選ぶ(例:50ステップから100ステップに増やす)。

3. 市場の非効率性や急激な変化への対応不足

欠点:

  • 仮想通貨市場では、ニュース、政策、ハッキングなど予測困難なイベントが価格に大きく影響を与えます。GRUはこれらの外部要因を直接考慮できません。
  • 例えば、大量の売買が急激に行われるフラッシュクラッシュのような現象は捉えにくい。

対策:

  • 外部データの統合: ニュースやソーシャルメディアのデータを追加の特徴量としてモデルに組み込む。
  • アラートシステム: 異常値や急変動を検出する別のアルゴリズムを組み合わせる(例:異常検知モデル)。
  • リスク管理ルール: ボットに「サーキットブレーカー機能」を組み込むことで、急激な変動時に取引を停止する。

4. 非効率なハイパーパラメータ調整

欠点:

  • GRUモデルの層の数、ニューロン数、学習率などのハイパーパラメータを最適化するには多くの試行錯誤が必要で、時間と計算リソースを消費します。

対策:

  • ハイパーパラメータ探索: Grid SearchやBayesian Optimizationなどを使用して効率的に最適値を見つける。
  • 事前訓練済みモデル: 他の類似市場で訓練済みのモデルを初期値として利用する(Transfer Learning)。
  • クラウドリソースの活用: 訓練をAWSやGCPのようなクラウド環境で並列処理する。

5. ノイズへの感度

欠点:

  • 仮想通貨市場の価格データにはノイズが多く含まれています。GRUモデルがノイズに過剰反応すると、予測の安定性が低下します。
  • 例:短期間のランダムな値動きを「トレンド」と誤認識。

対策:

  • 平滑化: データの移動平均や中央値フィルタを適用してノイズを軽減する。
  • 特徴量選択: ボラティリティや取引量などの特徴量を追加し、ノイズの影響を相対的に小さくする。
  • エラー分析: モデルの予測エラーを詳細に分析し、ノイズに過剰反応している部分を特定して改善。

6. 計算コスト

欠点:

  • 特に大規模なデータセットを扱う場合、モデルのトレーニングや推論に時間がかかります。
  • 取引ボットのリアルタイム性が失われる可能性があります。

対策:

  • モデルの軽量化: GRUのユニット数や層の数を減らし、計算コストを削減する。
  • 分散処理: 並列処理やGPUを活用して計算を高速化する。
  • データの圧縮: 必要な特徴量だけを抽出し、モデルに与えるデータ量を減らす。

7. 一貫性の欠如(データの非静的特性)

欠点:

  • 仮想通貨市場は非常に動的であり、モデルが学習した期間のデータが、将来にそのまま適用できる保証はありません。

対策:

  • モデルの再訓練: 新しいデータを一定期間ごとに追加し、モデルを更新する。
  • オンライン学習: 新しいデータが入手されるたびにリアルタイムでモデルを微調整する。
  • 複数の期間モデルの併用: 長期・中期・短期のデータでそれぞれ別のモデルを訓練し、結果を統合する。

結論

GRUは仮想通貨の価格予測に強力なツールですが、特定の課題が存在します。これらの課題に対して適切な対策を講じることで、予測精度と運用の効率を向上させることができます。また、モデルの性能だけでなく、運用上のリスク管理も併せて考慮することが重要です。

GRUとの有効な組み合わせ

GRUを用いた仮想通貨の価格予測プログラムにおいて、GRUの強みを最大限に活かし、予測精度を向上させるためのアプローチを以下に提案します。機械学習に限らず、他の分野のアプローチも含めています。


1. アンサンブル学習との組み合わせ

概要:

  • 複数のモデルを組み合わせて予測結果を統合する手法です。
  • GRUの出力を他のモデル(例えば、ランダムフォレストや勾配ブースティング)と組み合わせることで、予測の精度と安定性を向上させます。

優位性:

  • GRUは時間依存性を捉えるのが得意ですが、他のモデルでノイズの削減や補完が可能。
  • 強化された予測安定性。

具体例:

  • スタッキング: GRUの出力をメタモデル(例: XGBoost)に入力して最終予測を行う。
  • ブースティング: GRUをアンサンブルの一部として使用し、他のモデルと相互補完。

2. Attention Mechanism(アテンション機構)との統合

概要:

  • GRUにアテンション機構を追加することで、過去のどの部分が現在の予測に重要かをモデルに学習させます。

優位性:

  • 価格変動パターンの中で重要なタイムステップを選択し、予測に活用できる。
  • 長期依存性の捉え方が向上。

具体例:

  • GRU層の上にアテンション層を追加し、特徴量の重みを動的に学習。

3. ハイブリッドモデル(GRU + CNN)

概要:

  • 時間系列データのローカルパターンを捉えるために畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を組み合わせます。

優位性:

  • CNNで短期的な特徴を抽出し、GRUで長期依存性を学習。
  • ローカルおよびグローバルパターンを同時に考慮できる。

具体例:

  • CNNでローリングウィンドウから特徴を抽出し、その出力をGRUに渡して予測を行う。

4. 強化学習(Reinforcement Learning, RL)との統合

概要:

  • GRUで価格予測を行い、その予測を強化学習のエージェントが使用して最適な売買戦略を学習します。

優位性:

  • GRUが短期的な予測を行い、強化学習エージェントが市場の不確実性を考慮して行動を最適化。
  • 長期的な利益最大化を目指す。

具体例:

  • GRUで予測された価格データを状態として強化学習エージェントに渡し、報酬関数を通じて売買戦略を学習。

5. マルチモーダルデータとの組み合わせ

概要:

  • 価格データに加えて、ニュース、ソーシャルメディアの感情分析データ(例: ツイッター)、取引量などの非数値データも組み込みます。

優位性:

  • 仮想通貨市場は外部要因(例: 規制ニュース)に大きく影響されるため、GRUがこれらのデータを活用できる。
  • 異種データの統合により予測精度が向上。

具体例:

  • NLPモデルで感情スコアを計算し、そのスコアをGRUの入力データとして追加。

6. ボラティリティモデリングの併用

概要:

  • GRUで価格予測を行う一方で、GARCH(Generalized Autoregressive Conditional Heteroskedasticity)モデルでボラティリティを予測し、リスク管理に活用します。

優位性:

  • GRUの予測にリスク指標を追加し、より堅牢な売買判断を可能に。
  • 急激な価格変動への耐性が向上。

具体例:

  • GRUの価格予測に基づき、GARCHモデルで予測されたボラティリティを閾値として設定し、取引を制限。

7. ドメイン知識を活かした特徴量エンジニアリング

概要:

  • テクニカル指標(例: RSI、MACD、移動平均)をGRUの入力データとして追加します。

優位性:

  • 仮想通貨市場の特徴を明示的にモデルに組み込むことで、予測精度が向上。
  • モデルの学習が加速。

具体例:

  • RSIや移動平均を計算し、それらをGRUへの入力として組み込む。

8. トレンド予測とイベント検出の併用

概要:

  • GRUで価格トレンドを予測し、異常検知モデル(例: Isolation Forest)を併用して市場の異常イベントを検出。

優位性:

  • トレンドと異常イベントを同時に考慮した、より安定的な取引戦略を構築可能。
  • リスク管理を強化。

具体例:

  • GRUで予測した価格に異常検知を適用し、異常が検出された場合は取引を一時停止。

9. 転移学習(Transfer Learning)の応用

概要:

  • 他の市場(例: 株式市場や類似する仮想通貨)で学習したGRUモデルをベースに、新しいデータで微調整(ファインチューニング)を行います。

優位性:

  • 少量のデータでも効果的なモデルを構築可能。
  • 異なる市場間の知識を活用。

具体例:

  • ビットコイン(BTC)の学習済みモデルを使い、イーサリアム(ETH)の価格予測に適用。

10. データ拡張(Data Augmentation)

概要:

  • 仮想通貨価格データにノイズを加えたり、データを平滑化してデータセットを拡張。

優位性:

  • GRUモデルがノイズ耐性を持ち、一般化能力が向上。
  • データ量が少ない場合でもモデルの性能を向上可能。

具体例:

  • 価格データにランダムな小さな変動を加えたり、逆方向のシーケンスを作成してデータセットを拡張。

結論

GRUを最大限活用するためには、その強みである「時間依存性のモデリング」に特化しつつ、他の手法を補助的に組み合わせるのが有効です。特にアンサンブル学習、アテンション機構、強化学習、外部データの統合などはGRUの性能をさらに引き出すアプローチとして有望です。これらを段階的に試し、精度向上と運用効率化を目指すのが理想的です。

まとめ

今回は「GRUを用いた価格予測プログラム」についてまとめました。

Yodaka

機械学習系botのアプローチの一つとして、学習と開発を進めていきたいです。

今後もこの調子で開発の状況を発信していきます。

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