こんにちは、ぼっちbotterよだかです。
今回は multi_market_probe のリードラグ研究について、binance_perp だけを見るのではなく、複数の先行市場候補を fact ベースで並べて比較し始めた話です。研究を進めるうえで重要なのは、「何か先に動いていそうだ」と感じることではなく、どの市場を先行情報として採用するのが妥当なのかを事実で見ていくことだと思っています。そこで今回は、先行市場候補を同じ土俵で比較できるように土台を整え、6時間ほど観測を回しました。すると、弱そうな候補と残りそうな候補が少しずつ分かれてきた一方で、海外主要市場どうしはかなり似た動き方も見せていました。今日は、その途中経過と、そこから考えたことをまとめます。

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🛠️開発記録#495(2026/3/27)multi_market_probe開発ログ ― リードラグの先行市場候補を、fact ベースで並べて見始めた話
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1. リードラグ研究の本質を、先行市場候補の比較として捉え直した
今回あらためて整理してみて、私はリードラグ研究の本質を少し捉え直しました。
それは、「binance_perp に先行性があるのか」を細かく掘ることではなく、bf_fx に対して何を先行情報として採用するのが妥当なのかを比較することです。
これまでは、まず代表的な海外市場として binance_perp を見ていました。
これは出発点としては自然だったと思います。流動性も大きいですし、BTC の価格形成を考えるうえで外せない候補だからです。実際、mid ベースではリードラグっぽい反応も多少見えていて、「完全に何もない」という感じではありませんでした。
ただ、そこからさらに考えると、問いの立て方が少しズレていた気がしました。
本当に知りたいのは、binance_perp が偉い市場かどうかではありません。私が欲しいのは、自分の主戦場である bf_fx に対して、どの情報源が実際に意味のある先行情報になるのかです。言い換えると、リードラグ研究の中心は「一つの市場の深掘り」ではなく、lead source の比較と選別にあるはずです。
この認識は、かなり重要でした。
というのも、binance_perp だけを見ていると、「この構造をもっと細かく読めば何か出るのではないか」という方向に進みやすいからです。でも、研究初期のいま本当に必要なのは、そこではありません。先にやるべきなのは、候補市場を同じ土俵に並べて、どれが残りそうで、どれが弱そうかを fact ベースで切ることだと思いました。
ここで大事なのは、「世界で一番大きい市場を探すこと」でもありません。
私が見たいのは、bf_fx に対して近すぎず遠すぎず、まだ価格形成の連続性を保ちながら、少し先に動く市場です。近すぎると結局 HFT 的な速さの問題に寄ってしまうし、遠すぎると途中でノイズや別要因が混ざりやすくなる。だから、リードラグ研究では「どの市場が一番偉いか」よりも、「どの市場が自分の主戦場に対してちょうどよい距離感を持つか」の方が重要になります。
そう考えると、binance_perp だけを掘り続けるのは少し早い。
むしろ最初にやるべきなのは、bybit_perp や coinbase_spot、binance_spot、bf_spot のような候補も含めて並べてみて、どの市場群に先行らしさがあり、どの市場は弱いのかを比較することです。そこが見えて初めて、「ではこの市場をさらに掘る価値があるのか」「個別差に意味があるのか」「それとも海外主要市場群としてまとめて捉えるべきなのか」という次の問いに進めます。
つまり今回の出発点は、binance_perp の続きを書くことではありませんでした。
リードラグ研究そのものを、先行市場候補を比較し、選び直す研究として捉え直したこと。ここがいちばん大きな前提変更だったと思っています。
2. まずは fact ベースで並べて見られる土台を作った
前章で書いた通り、今回の目的は binance_perp をもっと細かく読むことではなく、先行市場候補を同じ土俵で比較できる状態を作ることでした。
なので今回やったことも、ロジックを大きく増やすというより、まずは比較のための土台を整えることに寄せました。


具体的には、リードラグの先行市場候補として
- binance_perp
- bybit_perp
- binance_spot
- coinbase_spot
- bf_spot
を並べて、同じ lag 市場である bf_fx に対して、同じ horizon、同じ形式の fact を見られるようにしました。
つまり、「それぞれの市場で lead イベントが起きたあと、bf_fx 側がどう動いたか」を、同じ基準で比較できる状態を作ったわけです。
ここで意識したのは、なるべく早い段階で解釈ではなく事実を並べることでした。
研究を始めたばかりの段階で、いきなり複雑な判定器や条件分岐を増やしてしまうと、どこで差が出ているのかが見えにくくなります。今回はまず、各市場について
- samples がどれくらい積まれているか
- mean return がどれくらいあるか
- win rate がどう見えるか
という、ごく基本的な事実を同じフォーマットで並べて見ることにしました。
言い換えると、「何が一番強いか」を即断する前に、まず比較可能な観測面を揃えたという感じです。
そのために、ダッシュボードのスコープもかなり絞りました。
以前のように母集団や条件をいろいろ分けて読む前に、今回は [FACT] Future Samples / Mean Return / Win Rate の3パネルを中心にして、lead_market を切り替えたり並べたりしながら、first-pass の比較ができるようにしました。最初から全部を細かく見るのではなく、「まず並べて、傾向が見えるかどうか」を優先した形です。
また、Grafana 上で見えたことを後から裏どりできるように、fact snapshot のログも出すようにしました。
これは地味ですがかなり重要で、ダッシュボードでたまたま見えた山や傾向を、その場の印象だけで語らずに済むようにするためです。先行市場候補を比較する研究で大事なのは、「今この瞬間はこう見える」ではなく、後から振り返っても同じことが言えるかなので、その意味でも今回の土台作りは必要でした。
今回の実装でやりたかったのは、要するに比較の公正さを揃えることです。
同じ lag 市場、同じ horizon、同じ種類の fact を使って、複数の先行市場候補を横に並べる。これができないままだと、「binance_perp は強そう」「coinbase_spot はどうなんだろう」と個別の印象だけが増えていきます。でも今回のように並べて見られるようになると、少なくとも
- 弱そうな候補
- 残りそうな候補
- まだ判定しづらい候補
を、感覚ではなく観測事実として分け始めることができます。
つまり今回は、新しいエッジを作ったというより、何を残し、何を落とすかを判断するための土台を作ったという方が正確です。
リードラグ研究を進めるうえで、これはかなり大事な一歩だったと思っています。
3. 6時間観測して、bf_spot と海外主要市場の差が見えてきた
土台を整えたうえで、実際に6時間ほど観測を回してみると、まずかなり素直に見えてきたことがありました。
それは、bf_spot は先行市場候補としてかなり弱そうで、海外主要市場は少なくとも候補として残りそうだということです。





今回、同じ bf_fx を lag 市場に置いたまま、binance_perp / bybit_perp / binance_spot / coinbase_spot / bf_spot を同じ fact パネルで並べて見ていきました。すると、ぱっと見の印象だけでも、bf_spot は他の候補とはかなり違って見えました。samples 自体はそれなりに積んでいるのですが、mean return の厚みがかなり薄い。win rate も、他候補に比べると特別強い感じはありませんでした。
この時点で少なくとも言えそうなのは、bf_spot を先行市場として強く期待する理由は、現状ではあまりないということです。
もちろん、これだけで完全に切ると言い切るのはまだ少し早いかもしれません。でも、first-pass の比較として見るなら、bf_spot は一段落ちる候補に見えました。これは今回の観測でかなり大きかったポイントです。候補を並べて初めて、「これは残す」「これは弱そう」と言える材料が出てきたからです。
その一方で、海外主要市場の方はかなり印象が違いました。
binance_perp、bybit_perp、binance_spot、coinbase_spot の4つは、少なくとも bf_spot に比べれば明確に先行らしさが残っていました。samples も積み上がり、mean return も bf_spot より厚い。win rate もそれなりに揃っていて、「何もない」というよりは、bf_fx に対して何かしらの先行情報を持っていそうな候補として見えました。
ここで重要なのは、今回の段階ではまだ「どれが最強か」を決めたかったわけではないことです。
むしろ今回やりたかったのは、候補の中で明らかに弱いものを落とし、残りそうなものを絞ることでした。その意味で言えば、6時間観測の時点ですでに一定の成果はありました。bf_spot はかなり弱そうだと見えたし、海外主要市場は少なくとも比較対象として残してよさそうだと分かったからです。
これは、binance_perp 単体を見ていたときには得にくかった感触でした。
単体で見ていると、「それっぽい気もする」「でも薄いかもしれない」といった曖昧な印象に留まりやすい。でも、同じ基準で横に並べると、相対的な強弱がかなりはっきりします。今回の観測で見えてきたのはまさにそこでした。つまり、「リードラグがあるかないか」という抽象的な問いから少し前進して、どの市場は相対的に弱く、どの市場は少なくとも残すに値するかを事実ベースで言い始められる段階に入ったわけです。
今回の6時間観測は、まだ長期の結論ではありません。
ただ、研究初期の first-pass としては十分意味がありました。少なくとも、bf_spot と海外主要市場を同じ先行市場候補として並べたとき、両者の見え方にはかなり差があった。この差が見えたことで、次にどこを残し、どこを一旦落とすかを考えるための土台が少し現実的になったと思っています。
4. ただし、海外主要市場どうしはかなり似て見えた
ただ、ここで話が単純に終わらなかったのも今回の面白いところでした。
bf_spot と海外主要市場の差はかなり見えた一方で、残った海外主要市場どうしは、思っていた以上に似た動き方をしていたからです。
最初は、binance_perp、bybit_perp、binance_spot、coinbase_spot を並べれば、それぞれにもう少し違う個性が見えてくるかもしれないと思っていました。
たとえば、perp の方が現物より強いのか、あるいは Binance と Coinbase で参加者層の違いが出るのか、といったことです。実際、研究を始める前の頭の中では、「どの市場が一番強いのか」を比較して、そのまま序列化していくイメージも少しありました。
でも、実際に同じパネルで並べて見ると、少なくとも今回の6時間観測では、4市場の形がかなり似ていました。
samples の積み上がり方も大きくは外れていませんし、mean return の山や落ち方、win rate の変動も、全体としてかなり近いリズムで動いているように見えました。もちろん細部では差がありますし、瞬間的には上下もあります。ただ、first-pass の比較として見る限り、「この市場だけまったく別物」という感じはあまりない。むしろ、「海外主要BTC市場群が、かなり共通した先行性を bf_fx に対して持っている」と読んだ方が自然でした。
この点は、今回かなり重要な気づきでした。
なぜなら、リードラグ研究を「個別市場の勝ち抜き戦」みたいに考えると、どうしても「どれが一番強いか」をすぐ決めたくなるからです。でも、実際に並べて見えたのは、そこまで単純な構図ではありませんでした。少なくとも現時点では、binance_perp と bybit_perp と binance_spot と coinbase_spot が、それぞれ独立にまったく違う情報を持っているというより、海外主要市場群としてかなり近いものを見ているように感じられます。
この認識は、次の研究の進め方にも関わってきます。
もし海外主要市場どうしがかなり似ているなら、いま無理に「最強市場」を一つ決めにいくのは少し早いかもしれません。なぜなら、その差が本質的な個別差なのか、単に同じ共通因子を少し違う形で見ているだけなのかが、まだはっきりしていないからです。ここを急いで序列化してしまうと、本当は共通構造として捉えるべきものを、無理に個別比較へ持ち込んでしまう危険があります。
もちろん、今後さらに観測を重ねれば、市場ごとの差はもっと見えてくるかもしれません。
時間帯によって片方だけ強いとか、特定 horizon で現物と perp の差が出るとか、そういうことは十分ありえます。ただ、今回の6時間観測だけを事実ベースで受け取るなら、少なくとも今見えているのは、海外主要市場どうしの細かな優劣よりも、海外主要市場群と bf_fx のあいだにある大きな先行・追随関係の方です。
つまり今回の比較で分かったのは、「bf_spot はかなり弱そうだ」ということだけではありません。
もう一つ大きかったのは、残った海外主要市場どうしは、思ったより差が小さく、かなり似た構造を見せていたということです。ここをどう読むかで、次の問いも変わってきます。個別市場をさらに序列化する方向へ進むのか、それともまずは海外主要市場群として共通して見えている構造を捉えにいくのか。少なくとも今の私には、後者の方が自然に見えています。
5. 今日の結論:一番を決める前に、共通して見えている構造を読む
今回の観測を通して、今日の結論はかなりシンプルになりました。
それは、いまの段階で無理に「どの先行市場が一番強いか」を決めにいくより、まずは海外主要市場群が bf_fx に対して共通して先行している、という構造そのものを読む方が自然だということです。
今回、binance_perp、bybit_perp、binance_spot、coinbase_spot、bf_spot を同じ土俵で並べて見たことで、少なくとも一つはかなりはっきりしました。
bf_spot は現状ではかなり弱そうで、海外主要市場は候補として残る。ここまでは、事実ベースでかなり言ってよさそうです。問題はその先でした。残った海外主要市場どうしを見たとき、「この市場だけが圧倒的に強い」と言い切れるほどの差は、現時点ではまだ見えていませんでした。
むしろ今回印象的だったのは、4市場が思っていた以上に似た形で動いていたことです。
mean return も win rate も、山や谷のタイミングがかなり近い。もちろん細かな差はありますし、今後もっと長く観測すれば違いも見えてくるかもしれません。ただ、少なくとも今回の6時間観測から素直に読むなら、いま見えているのは「個別市場の優劣」よりも、海外主要市場群が全体として bf_fx に先行しているという大きな構造の方だと思いました。
この認識は、次の進め方にもかなり影響します。
研究をしていると、どうしても「どれが一番か」を決めたくなります。実際、私も最初はそのつもりで候補市場を並べていました。でも、事実をそのまま受け取るなら、いまやるべきなのは早い序列化ではない。むしろ、共通して見えている構造をまず事実として認識し、そのうえで個別差に意味があるのかをあとから確認する方が順番として正しいと思いました。
これは、リードラグ研究の進め方としてもかなり大事なポイントだと思っています。
最初から「この市場が本命だ」と決め打ちしてしまうと、見えているものまでその前提に引っ張られやすくなります。でも今回のように、複数候補を同じ fact パネルで並べてみると、強いものと弱いものの差だけでなく、残った候補どうしがどれくらい似ているのかも見えてきます。そこまで含めて事実として受け取るなら、いまは「一番探し」より、「何が共通して起きているのか」を読む段階だと考えた方が自然です。
だから今日の結論は、かなり落ち着いたものになりました。
bf_spot は一段落ちそうだし、海外主要市場は候補として残りそう。ただし、その残った候補の中で誰が一番強いかを、いま急いで決める必要はない。むしろまずは、海外主要市場群と bf_fx のあいだに見えている先行・追随の構造そのものを、もう少し事実ベースで掴みにいくべきだと思っています。
今回の内容を一言でまとめるなら、
リードラグ研究を「一番強い市場探し」ではなく、「どの市場群に先行性があり、そこにどんな共通構造があるのかを読む研究」として捉え直し始めた
ということになると思います。
今日は、新しいシグナルを作った日ではありませんでした。
でも、先行市場候補を同じ基準で並べ、弱いものを落とし、残ったものの共通性まで見始められたという意味では、かなり大きな前進だったと思っています。