Bot CEX 思考ログ 開発ログ

🛠️開発記録#540(2026/5/11)取引執行における優位性を掘っている話

こんにちは、ぼっちbotterよだかです。

今日からしっかり潜って開発フェーズに入っているので、今後しばらくはポエム系の記事が中心になると思います。

というのも、きちんと記事をまとめようとすると具体的なパラメータの話をしなければならず、ひいてはエッジ漏えいになってしまうリスクがあるので、いわゆる”雰囲気系”の内容になるよってことです。(こんな辺境のブログでも読んでいる人はしっかり読んでいるっぽいので、仕方ないね)

ということで、雑に前置きしつつ、今日やったことや考えていることをまとめていきます。

前回の話
🛠️開発記録#539(2026/5/9)リードラグ研究を一段分解し直す必要を感じた話

続きを見る

1、リードラグ戦略自体を引きで見ている

これはどういうことかというと、リードラグという視点に強くこだわるのを一旦緩めているということです。

この1ヶ月くらいは、トレードという行為そのものに多くの手法やアプローチがあることを知りながらも「リードラグ」という構造自体にこだわって研究と開発を進めてきました。つまり、他の要素にエッジがありそうでもメモなどに止めて深く掘るのは一旦保留にしていたということです。

理由は、とてもシンプルで「一つのことにじっくり取り組むことで深く理解したかったから」です。

「なんだ、そんなことか」
「で、深く理解できたんか?」
などとツッコミをされそうですが、深く理解できたとまで言えなくとも、そこそこの粒度で理解はできたのかなという印象です。

そもそもリードラグとは、超ざっくり言うと「特定の市場や状況に対して、別の情報源から何らかの要素が遅れて伝播することがある。もしくは、一部の情報は伝播するが、他の情報は伝播しないことがある」と定義できます。

もっとシンプルに言うと「Bybit perpでの価格情報がBinance JAPANに対して先行する」みたいな感じです。当然ですが、市場ではそんな単純なリードラグはほとんど存在しませんし、あったとしてもインフラつよつよbotがあっという間に掻っ攫っていきます。(同取引所内の現物とperpとかだとそれをかなりわかりやすく観測できます。そのため、そういう構造が崩れているところは、明確にエッジですね)

これを前提とすると、自分よりも高速で取引を行うことを通せるプレイヤーとの戦いは避ける必要があります。これも少しつっこんで言うと、ms単位での勝負はジリ貧で負けてしまうことが多いので、そことの殴り合いは避けつつ、中期〜長期(少なくとも10sとか30s以降の時間窓)での勝負をする必要があります。

で、リードラグの話に戻るのですが、自分が取引したい市場に対して先行情報になるものは何なのかという定義から考える必要があるわけですね。
私の場合は、公開されていない内部情報を吸い上げることとかはできないので、基本的には公開情報をもとにトレードすることになるのですが、ここで競合に対してに優位性を保つためには、煎じ詰めれば"情報の非対称性で優位に立つ"のが最短経路である必要があります。その上で、同じ公開情報をどう収集し、どう整理し、どの市場で、どの時間軸で、どの条件なら取引するのかまで含めて設計する必要があります。

情報の非対称性というのは、これまたざっくり言うと「他のプレイヤーよりも多くの情報を持っていることや他のプレイヤーと同じ情報を見ても、それらをより粒度高く解釈する力がある(bot文脈で言うなら、データの収集・整理・加工・解釈・代理変数に落とし込む設計力など)」みたいな感じですね。ここんとこが具体的に定義できればできるほど、botterとしてはトレードにせよアビトラにせよ、あるいは他のさまざまな戦略執行にせよ、優位に立てる可能性が高くなります。(当たり前っちゃ当たり前ですね)

そのため、現在メインで行なっていることは、「自分が取引をする市場に対して執行に優位性をもたらす情報のスクリーニングと探索」です。

なんだか、昨年の中盤にひたすら自分に優位な戦場探しをしていた頃のことを思い出しますが、やっていることはそれと同じですね。
その頃との違いは、効率くらいなもんで、結局は自分で調べてAPIエンドポイント叩いて、レスポンス見てプロトコルの癖とかを実態でもって掴んで、分類して...みたいな作業ですね。はい、超絶地味です。

ただし、この作業無くして何が執行優位をもたらす情報になるのかとか、そもそも観測したい対象の市場が本当に執行における先行優位をもたらす市場として接続しているのかとか、そもそもそれって見せかけの因果であって、構造的に情報が伝播していると説明できるのかとか、再現性を掘り出すと一生終わらないです。だから、ある程度それっぽいものが見えたらそこから深掘りして、自分のbotに効くかもしれない指標の一つとして蓄積しているってのが現状です。使えそうなものがあったりなかったりなかったりなかったりします。これがフツーですが、ここの過程をマシンにやらせると、人力でやるよりも幾分かマシです。あーあ、最初から精度高く当たりをつけられる人になりたいけど、それはまだ当分先の話でしょう。

2、perp/derivative市場は先行情報になるのか?

で、今日やっていたことの一部だけちょろっと書いておくと、「永久先物をはじめとするデリバティブ系のマーケット情報は現物市場にどの程度先行優位性を示すのか」を見て、これからがっつり観測する準備を整えてデータ集めを始めましたって感じです。

やったこと自体は非常にシンプルで、現物市場のリストアップと私が利用可能な市場および今後も利用可能な条件と各市場の構造や取引制限や現状を調べて、上位の数個に絞り込み、perp市場として存在するものをリストアップして、これまた代表的なものをいくつかの基準をベースに並び替えて上位数個に絞り込み、それらのAPIエンドポイントを叩いて、定期実行する中で、どのような情報がどれくらいの頻度で取れるのかを見れるようにした(流動性、APIで取得できる情報の種類、データ更新頻度、今後の検証に使いやすいかどうか、という観点で代表的な市場をいくつかに絞った)。そのくらいです。実際に数日間連続で叩き続けてみないとプロトコルの癖とかは掴めないので、ここから1週間くらいは継続監視して、使える情報ソースを絞り込んでいく予定です。

望ましい条件などは人それぞれだし、自分がどのような戦略を実行したいのかにもよるので、一概には言えませんが、少なくともbid/ask、mid、basis、funding、volumeなど最低限の情報を集めるのはマストだし、その過程で市場ごとに微妙に解釈や表現の形式が違っていて、データの仕分けが若干面倒だなとは思いました。公式Docsでも把握はしていましたが、いざフルに集めてみると意外と面倒だなと思ったのが、今日の正直な感想ですね。ある程度同じ意味のものや、私自身が解釈・加工したい方向性で雑にまとめてしまっても良いかも、とちらっと思いましたが、後で解釈が濁るのが嫌なので、とりあえずrawのまま蓄積しています。

あとは、市場ごとに更新速度が結構異なるので、割と大きい市場だなと思っていたところであっても、データ収集の途中では相対的に結構な差が開くこともあって、それも実際にデータを高頻度で集めつつその過程を観測しなければわからなかったことだなと思います。こういうわずかな遅延とかって、後々間接的なエッジのアイデアに化けることもあるのでメモメモ。

3、なぜperpを見ているのか?

取引執行に対して先行優位をもたらす情報という定義はとてもふわっとしていて、玄人でなくてもかなりの量の定義や意味づけなどができるでしょうし、それこそbotの実装においては、ほぼ無限のレパートリーがあります。

で、私がperpを今日の研究の開始地点に置いた理由はシンプルで「取引規模が大きくて、少なくともBTC市場全体の価格形成やリスク管理の文脈で無視しにくい情報源である可能性が高い」からです。

超雑にいうと、他のマーケットでの価格形成や取引判断の材料として織り込まれるであろう公開情報の中でもそこそこメジャーな類のもののひとつとパッと思いついたからです。

自分で書いていて何ですが、なんか頭悪そうな理由だな、と。
誰でも思いつくんじゃね?と。

で、わたしも全部が全部効く情報だとは思っていないので、そもそも伝播しているのか、それとも同じ外部要因への同時反応なのか、伝播しているとして何が伝播しているのか、伝播していない情報や遅れて伝播する情報はあるだろうか、遅れるとしてそれらの差はどれくらいのものか、そういった構造に再現性はあるか、私が拾えるトレードエッジになるか、そういった情報を統合して取引執行に優位性をもたらすファンダメンタルな価値を算出することに接続できないだろうか、などをこれからはっきりさせていく予定です。

こういうことは、有料データでバックテストできる範囲もあるので、一旦整理ができたら、空き時間でどんどんバックテストにも手をつけていきたいなーと思う反面、フォワードテストをすることで機会損失は減らせるよなーとか思ったり思わなかったり。データで優位性が出るのと実際にトレード執行するのとではかなーり違う世界の話なので。あと、最速で執行まで持っていって、現場でクルクル回しながらbotを作り込むという方法も嫌いじゃないので、またそのうちそういうアプローチをするかも。実際、高頻度系のbotはそういうアプローチが効くことも多かったりするし。

まぁ、取引が盛んで流動性が厚い市場ほど、多くの参加者の注文や情報が集まりやすく、市場全体の基準価格に近いものとして扱われやすい傾向はあると思います。もちろん、それが常に正しい価格という意味ではありませんが、自分なりのベンチマークを作る上では無視できない材料です。

4、次にやること

具体的に書くとキリがないので、ここでは抽象的な方針だけ。

「ひとまず雑に置いた仮説をぶつけながら、足りない部分やよくわかっていない部分を明確にしつつ、現場感覚での開発フェーズを再開している」ってのが現状なので、「取引における先行優位をもたらす可能性のある情報へのアクセスや探索、そしてそれらの取得・加工・解釈を作っていくこと」が目標ですね。

先日、「市場と取引」を読み終えてから、bot開発における解像度は確かに上がっているなと感じます。

これって再現性のある構造なのか?
きちんと接続していると言えるのか?
何を見ていて、何を見ていないのか?
私が見ているつもりになっている可能性があるとしたらどこか?

などなど、開発中によぎる様々な疑問にも割と早いスピードで答えを出せているので、否定も早いが進むのも早いですね。

裏を返せば「これ、いけるかも?」と感じた思いつきが一瞬で死んでいくので、それが続くと気が滅入ってくるような気もしないでもないですが、そんなのは結局は気持ちの問題だし、まだやってないことがたくさんあるのも事実だし、今やれることをどんどんやっていきます。悩みを気にしている暇がないってのは良いことです。

それでは、また。

-Bot, CEX, 思考ログ, 開発ログ