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🛠️開発記録#541(2026/5/31)「金融読本」1章&2章のまとめと気づき「金利・デリバティブ・資金需要をどう読むか」

こんにちは。よだかです。

戦場を探しつつ、botを作っては改良する毎日ですが、最近、相場が冷え気味なので、緊急のタスク自体は減っています。

こういう時はジタバタしても仕方ないので、上流の部分から勉強しておこうかなと思って「金融読本」を熟読しています。少しずつ読み進めながら、本書の内容やそれを踏まえて考えたことなどをアウトプット&更新していきます。

1. なぜ今、金融の基礎を読み直すのか

「金融読本」を読み始めた理由はシンプルで、いま見ている市場の上流にあるものを、もう一度整理しておきたかったからです。

普段はbotを作りながら、板、約定、価格差、Funding Rate、basis、流動性などを見ています。

この取引所では価格が少し高い。
この市場では板が薄い。
このperpではFunding Rateが偏っている。
このチェーンでは資金が抜けている。
このDEXには流動性があるけれど、実際に流すとすぐ滑る。

こういう現象は、データとしては観測できます。

ただ、それをどう読むかは別問題です。

価格差があるからといって、すぐに裁定機会があるわけではありません。
Funding Rateが高いからといって、単純にロング需要が強いだけとも限りません。
basisが広がっているからといって、それだけで市場参加者が将来価格を高く見ているとも言い切れません。

そこには、資金需要、ヘッジ需要、担保制約、送金制約、流動性の薄さ、マーケットメイカーの在庫、清算リスク、手数料、規制、取引所ごとの参加者の違いなど、いろいろなものが混ざっています。

つまり、botterとして見ている数字は、単なる数字ではなく、金融機能のどこかに生じた偏りの表面なのだと思います。

だからこそ、金融の基礎に戻っておきたいと思いました。

金融とは何か。
金利とは何か。
銀行は何をしているのか。
証券市場は何をしているのか。
デリバティブは何を分解し、何を移転しているのか。
金融機関はどこで収益を得ているのか。

こういう話を読み直したからといって、明日すぐに儲かるbotができるわけではありません。

ただ、市場を見るときの解像度は上がるはずです。

どの価格差には意味があり、どの価格差はただのノイズなのか。
どの歪みは構造的で、どの歪みは一瞬で消えるのか。
どの指標を集めれば、市場参加者の行動を少しでも推測できるのか。

そのあたりの問いを立てるためには、やはり金融の基礎が必要になります。

金融の基本はかなり地味です。

資金を集める。
資金を貸す。
決済する。
リスクを移す。
証券化する。
手数料を取る。
利ざやを取る。

でも、その地味な仕組みの上に、現物市場、先物市場、perp、DEX、レンディング、ステーブルコイン、クロスチェーンの資金移動などが乗っています。

派手な価格変動だけを見ていると忘れがちですが、市場の歪みは、こういう地味な金融機能の隙間から生まれているのかもしれません。

その確認のために、いま金融の基礎を読み直しています。

2. 金融の基本は「資金の融通」である

金融読本の序盤でまず確認されるのは、金融とは「資金の融通」である、という基本です。

お金が余っている人がいる。
お金を必要としている人がいる。
その間で資金を移動させる。

かなり素朴に言えば、これが金融の出発点です。

もちろん、実際の金融システムはもっと複雑です。
銀行があり、証券市場があり、保険があり、信託があり、デリバティブがあります。中央銀行、金融政策、決済システム、信用創造なども絡んできます。

ただ、最初の骨格はかなりシンプルです。

資金を余らせている主体から、資金を必要としている主体へ、時間・信用・リスク・流動性などを調整しながら資金を動かす。
その仕組みが金融なのだと思います。

この見方をすると、金利の意味も少し整理しやすくなります。

金利は、資金を使うための価格です。
お金を借りる側から見ると、資金を使うためのコストです。
お金を貸す側から見ると、資金を一定期間手放すことへの対価です。

だから、資金需要が強くなれば金利は上がりやすくなります。
逆に、資金需要が弱くなれば金利は下がりやすくなります。

この理解自体は、基本として大きく外れていないと思います。

ただ、ここで止めると少し危ないとも感じました。

実際の金利は、資金需要だけで決まるわけではありません。
中央銀行の金融政策、信用不安、インフレ期待、リスクプレミアム、担保の質、市場の流動性など、いろいろな要素が混ざります。

好景気だから金利が上がる。
不景気だから金利が下がる。

教科書的にはそう整理しやすいのですが、現実にはもう少し複雑です。

不景気でも信用不安が強ければ、資金調達コストが上がることがあります。
好景気でも、金融緩和や過剰流動性によって金利が抑えられることがあります。

つまり、金利は「資金需要の温度計」ではあるけれど、資金需要そのものではありません。
ここは、botterとしても注意したいところです。

仮想通貨市場を見ていても、似たようなことがあります。

Funding Rateが高い。
basisが広がっている。
レンディング金利が上がっている。
ステーブルコインの貸出需要が増えている。
あるチェーンに資金が流入している。
あるDEXの流動性が急に厚くなっている。

こういう数字を見ると、つい「需要が強い」とまとめたくなります。

でも、そこに出ているのは需要だけではないはずです。

レバレッジ需要。
ヘッジ需要。
担保制約。
清算リスク。
送金制約。
取引所ごとの参加者の違い。
マーケットメイカーの在庫。
インセンティブ設計。
単なる一時的な流動性の偏り。

そういうものが混ざった結果として、Funding Rateやbasisや価格差が表に出ているのだと思います。

このあたりは、まだ自分の中でも整理中です。

金融読本もまだ1章、2章を読んだ段階なので、今後読み進める中で理解や仮説は変わるかもしれません。
ただ、少なくとも現時点では、金融を「資金の融通」として捉えることは、botで見ている市場現象を整理するうえでかなり役に立つと感じています。

価格差を見る。
金利差を見る。
Funding Rateを見る。
流動性を見る。
資金の流入出を見る。

これらは全部、突き詰めると「資金がどこからどこへ動こうとしているのか」を見る作業なのかもしれません。

もちろん、それだけで勝てるわけではありません。
観測した数字を、そのまま収益機会と見なすのは危険です。

ただ、数字の裏にある資金の流れを想像できるようになると、少なくとも「何を見るべきか」は少しずつ絞れてくる気がします。

金融の基本は、資金の融通です。

この当たり前の言葉を、botterとしてもう少し実務寄りに言い換えるなら、

「市場の歪みは、資金の移動・制約・リスク移転のどこかに生まれる」

ということなのかもしれません。

まだ仮説です。
でも、この仮説を持って読むだけでも、金融の基礎はかなり面白くなります。

3. 直接金融と間接金融:誰がリスクを持つのか

金融には、大きく分けて直接金融と間接金融があります。

直接金融は、資金を必要としている主体が、資金を持っている主体から直接お金を集める仕組みです。
たとえば、企業が株式や債券を発行して、投資家から資金を集める形です。

間接金融は、銀行などの金融機関を間に挟む仕組みです。
預金者が銀行にお金を預け、銀行がその資金を企業や個人に貸し出します。

教科書的には、このように整理できます。

ただ、botter視点で読むなら、ここで大事なのは「誰がリスクを持っているのか」だと思いました。

直接金融では、投資家が比較的はっきりリスクを取ります。

企業の株式を買えば、その企業の価値変動リスクを持ちます。
債券を買えば、発行体が返済できなくなるリスクを持ちます。
もちろん、証券会社や市場インフラは間にありますが、基本的には資金を出した投資家が、投資対象のリスクを引き受けます。

一方で、間接金融では、銀行がリスクの変換装置になります。

預金者から見ると、銀行預金はかなり安全な資産に見えます。
いつでも引き出せる。
元本もかなり安定している。
普通預金なら、価格が日々上下するわけでもありません。

しかし、銀行の先には貸出があります。

企業への融資。
住宅ローン。
設備資金。
運転資金。
さまざまな貸出先があります。

つまり、預金者が直接リスクを見ているわけではなく、銀行が間に入り、信用リスクや期間の違いを引き受けています。

短期で引き出される可能性のある預金を集めて、より長期の貸出に回す。
安全に見える預金の裏側で、銀行は信用リスク、流動性リスク、金利リスクを管理する。

これが間接金融の重要な機能なのだと思います。

ここで、自分の中では少し見方が変わりました。

金融は単に「お金を余っているところから足りないところへ流す仕組み」ではあります。
ただ、それだけではなく、リスクの形を変える仕組みでもあります。

誰かにとって扱いやすい形にして、別の誰かに渡す。
短期の資金を長期の資金に変える。
流動性の高い預金を、流動性の低い貸出に変える。
個別の信用リスクを、金融機関の審査や分散によってまとめて扱う。

この「変換」の部分が、かなり重要なのだと思います。

仮想通貨市場でも、似たようなことがあります。

CEXに資金を置く。
ステーブルコインをレンディングに出す。
DEXに流動性を供給する。
perpでヘッジする。
ブリッジで別チェーンに資金を移す。

表面上は、どれも「資金を置いている」だけに見えます。

でも実際には、それぞれ違うリスクを持っています。

取引所リスク。
スマートコントラクトリスク。
流動性リスク。
価格変動リスク。
清算リスク。
ブリッジリスク。
担保リスク。
運営主体への信用リスク。

こうしたリスクが、サービスや市場構造の中で別の形に変換されています。

だから、金融を読むときは「利回りが高い」「価格差がある」「資金が集まっている」だけでは足りません。

その利回りは、何のリスクの対価なのか。
その価格差は、どの制約から生まれているのか。
その資金流入は、本当の需要なのか、インセンティブで一時的に作られたものなのか。
その市場では、最終的に誰がリスクを持っているのか。

ここまで見る必要があります。

直接金融と間接金融の違いは、かなり基礎的な話です。
ただ、そこから「誰がリスクを持つのか」という視点に広げると、botで見る市場にもつながってきます。

価格差や金利差は、表面です。
その裏には、資金の流れとリスクの持ち手があります。

まだ金融読本の序盤を読んでいる段階なので、この見方も今後変わるかもしれません。
ただ、現時点では、直接金融と間接金融を「資金の通り道の違い」としてだけでなく、「リスクの持ち手の違い」として読むと、かなり実務に接続しやすいと感じています。

4. 預金・貸出・為替・証券業務を市場構造として読む

金融読本の2章では、金融業務の主な内容として、預金業務、貸出業務、為替業務、金融商品の販売、有価証券投資、信託業務、証券業務などが整理されています。

かなり基礎的な内容ですが、改めて読むと、金融機関が何をしているのかが少し見えやすくなります。

まず、預金業務です。

銀行は、預金者からお金を預かります。
普通預金、定期預金、当座預金など、預金にもいくつか種類があります。

預金者から見ると、銀行預金は「お金を安全に置いておく場所」に見えます。
必要なときに引き出せる。
振込や口座振替にも使える。
大きな取引でも、現金を直接やり取りしなくてよい。

つまり、預金は単にお金を保管するだけではなく、決済の土台にもなっています。

ここは、普段あまり意識しない部分です。
でも、市場を見るうえではかなり重要だと思いました。

金融において、お金があることと、そのお金を実際に動かせることは同じではありません。

資金がある。
決済できる。
必要なタイミングで移動できる。
信用された形で受け取ってもらえる。

このあたりが揃って、ようやく資金は実際に使えるものになります。

次に、貸出業務です。

金融読本では、証書貸付、手形貸付、手形割引、当座貸越などが紹介されています。

証書貸付は、借用証書を取り交わして貸し出す形です。
住宅ローンや設備資金の貸付など、比較的長期の資金に使われます。

手形貸付は、借り手が手形を振り出して資金を借りる形です。
短期資金の融資に使われるものとして整理されています。

手形割引は、将来支払われる予定の手形を、支払期日前に銀行が買い取る形です。
その際、利息分などを差し引いた金額が支払われます。

当座貸越は、一定の範囲内で、預金残高を超えて小切手などの支払いができる仕組みです。
資金繰りに柔軟性を持たせる機能だと理解しました。

こうして見ると、貸出業務は単に「お金を貸す」だけではありません。

長期資金を出す。
短期資金をつなぐ。
将来受け取る予定のお金を、今使えるお金に変える。
一時的な資金不足を吸収する。

それぞれ、時間のズレや資金繰りのズレを調整する機能を持っています。

ここは、botterとしても少し引っかかりました。

市場の歪みは、価格そのものからだけ生まれるわけではありません。
資金を動かせるタイミングの違い。
資金を置いている場所の違い。
使える資金と、すぐには使えない資金の違い。
こういうところからも、歪みは生まれるのかもしれません。

次に、為替業務です。

ここでいう為替は、現金を直接やり取りせずに、金融機関を通じて資金を移動させる仕組みです。
送金、振込、口座振替などがこれにあたります。

この説明はシンプルですが、かなり重要です。

資金は、ただ存在しているだけでは意味がありません。
必要な相手に、必要なタイミングで、必要な形で届く必要があります。

金融機関は、その移動を支える役割を持っています。

このあたりは、仮想通貨市場を見ていても感覚的には近いものがあります。
資金がどこにあるのか。
どこへ移動できるのか。
移動にどれくらい時間がかかるのか。
その間に価格やリスクが変わらないか。

そういう条件によって、同じ価格差でも、取れるものと取れないものが分かれます。

最後に、証券業務です。

証券業務では、株式や債券などの売買、発行、引受、仲介などが関わってきます。
資金を必要とする側と、資金を出す側を市場でつなぐ機能です。

ここまで見てくると、預金、貸出、為替、証券業務は別々の業務に見えますが、根っこではつながっているように感じます。

資金を集める。
資金を貸す。
資金を移動させる。
資金調達の場を作る。
取引を成立させる。
その過程で、信用、時間、流動性、リスクを調整する。

これが金融機関の基本的な仕事なのだと思います。

そして、botterとして市場を見るときも、結局はここに戻ってくる気がします。

価格差だけを見るのではなく、
なぜその価格差が残っているのか。
資金は移動できるのか。
決済は間に合うのか。
流動性は十分なのか。
誰がそのリスクを引き受けているのか。

こういう問いを立てないと、表面上の数字に引っ張られます。

もちろん、この段階ではまだ金融読本の1章、2章を読んだ範囲での整理です。
今後読み進める中で、見方は変わるかもしれません。

ただ、現時点では、金融業務を「銀行や証券会社の仕事」として読むだけではなく、市場の構造を支える機能として読むと、かなり実務に接続しやすいと感じています。

預金は、資金を集め、決済の土台になります。
貸出は、資金需要に応じて、時間や信用のズレを調整します。
為替は、資金の移動を支えます。
証券業務は、資金調達と投資の場を作ります。

金融業務は地味ですが、市場の裏側ではかなり重要な役割を持っています。

価格差や金利差を見る前に、その市場では資金がどう集まり、どう動き、どこで止まり、誰がリスクを持っているのか。

そこを見ることが、botterとしての市場理解にもつながるのだと思います。

5. 金融機関の収益源:利ざや、手数料、有価証券売買

金融読本の2章では、金融機関の収益源についても整理されています。

大きく見ると、金融機関の収益源は、

利ざや。
手数料収入。
有価証券売買。

このあたりに分けられます。

まず、利ざやです。

これは、かなり銀行らしい収益源です。
預金などで資金を集め、その資金を貸し出す。
そのとき、資金を集めるために支払う金利よりも、貸し出すときに受け取る金利の方が高ければ、その差が収益になります。

安く集めて、高く貸す。

かなり単純に言えば、これが利ざやです。

もちろん、実際にはそんなに単純ではありません。
貸した資金が返ってこないリスクもあります。
金利が変動するリスクもあります。
預金が引き出されるリスクもあります。
貸出先の信用力も見なければいけません。

なので、利ざやは単なる金利差ではなく、信用リスクや期間のズレを引き受けた対価でもあるのだと思います。

次に、手数料収入です。

振込、送金、口座振替、金融商品の販売、証券売買の仲介など、金融機関はさまざまな場面で手数料を取ります。

ここで大事なのは、金融機関が「取引の通路」になることで収益を得ている、という点です。

資金を動かす。
商品を売買する。
決済する。
取引を仲介する。

その通路を提供することで、手数料が発生します。

これはかなり地味ですが、金融の中では重要な収益源です。

そして、有価証券売買です。

金融機関は、貸出だけでなく、債券や株式などの有価証券にも投資します。
その価格変動や利息・配当などから収益を得ます。

ここには、市場リスクが伴います。
価格が上がれば利益になりますが、下がれば損失になります。
金利の変動、信用リスク、市場全体の環境にも影響を受けます。

こうして見ると、金融機関の収益は、かなり大きく三つに分けられそうです。

資金を安く集めて、高く運用する。
取引や決済の通路になって、手数料を取る。
有価証券を売買・保有して、市場から収益を得る。

この整理は、botterとして市場を見るうえでも使いやすいと思いました。

というのも、仮想通貨市場を見ていても、収益源の形はそこまで大きく変わらないからです。

価格差を取る。
手数料を取る。
金利差を取る。
流動性を提供する。
資金を置く場所を変える。
リスクを引き受ける。

もちろん、銀行業務とbotの運用をそのまま同じものとして扱うのは雑です。
制度も違いますし、リスクの種類も違います。
規制も違います。
参加者も違います。

ただ、収益の発生源を抽象化すると、かなり近い部分があります。

たとえば、CEX同士の価格差を見るときは、単に「価格が違う」と見るだけでは足りません。
その価格差は、なぜ残っているのか。
資金移動に時間がかかるからなのか。
手数料を引くと消える差なのか。
板が薄くて、実際にはその価格で約定できないのか。
参加者や流動性が偏っているのか。

つまり、価格差そのものよりも、その価格差を収益に変えるための通路と制約を見る必要があります。

金利差も同じです。

Funding Rateやレンディング金利が高く見えても、それがそのまま利益になるとは限りません。
そこには価格変動リスク、清算リスク、担保制約、資金拘束、取引所リスクなどが混ざります。

手数料も同じです。

botを動かす側から見ると、手数料はコストです。
しかし、取引所や仲介する側から見ると、手数料は収益です。

この立場の違いはかなり重要です。

自分が市場のどこに立っているのか。
誰が通路を持っているのか。
誰が手数料を取っているのか。
誰がリスクを引き受けているのか。
誰が在庫を抱えているのか。

ここを見ないと、表面上の利回りや価格差に引っ張られます。

金融機関の収益源を読むと、金融業務はかなり現実的な商売なのだと分かります。

資金を集めるにもコストがかかる。
貸し出すには審査が必要になる。
決済や送金にはインフラが必要になる。
証券を持てば価格変動リスクを負う。
取引を仲介すれば、そこに手数料収入が生まれる。

派手な理論というより、かなり泥臭い構造です。

でも、この泥臭さはbotにもつながる気がします。

botも、突き詰めれば「どこで収益が発生しているのか」を探す作業です。

価格差なのか。
金利差なのか。
手数料構造の違いなのか。
流動性の偏りなのか。
資金移動の遅さなのか。
参加者の制約なのか。

そのどこかに、収益の種があるかもしれません。

まだ金融読本の序盤を読んでいる段階なので、この見方も仮置きです。
ただ、金融機関の収益源を「利ざや・手数料・有価証券売買」として整理すると、市場を見るときの問いは少し鋭くなります。

この市場では、誰が何で儲けているのか。
その収益は、どのリスクの対価なのか。
その収益構造は、持続するのか。
それとも、一時的な歪みにすぎないのか。

これらの問いを頭の中に入れておく必要があるということですね。

6. 金利は資金需要だけで決まるわけではない

金融読本を読んでいて、改めて整理しておきたいと思ったのが金利です。

金利は、資金を使うための価格です。
借り手から見れば、資金調達のコストです。
貸し手から見れば、資金を一定期間手放すことへの対価です。

この前提に立つと、金利は資金需要とかなり強く結びついています。

資金を借りたい人が増えれば、金利は上がりやすくなります。
資金を借りたい人が減れば、金利は下がりやすくなります。

好景気では、企業の売上が伸び、生産や設備投資が増えます。
その結果、運転資金や設備資金への需要も増えやすくなります。

逆に、不景気では、売上が落ち、生産が減り、投資も控えられます。
その結果、資金需要は弱くなりやすくなります。

この整理は、基本形としては分かりやすいです。

ただ、ここで金利を「資金需要の反映」とだけ見てしまうと、少し単純化しすぎになります。

実際の金利には、資金需要以外の要素も混ざります。

金融政策。
資金供給量。
信用不安。
インフレ期待。
リスクプレミアム。
担保の質。
市場の流動性。
貸し手側のリスク許容度。

これらによって、同じ資金需要でも金利の出方は変わります。

たとえば、不景気だからといって、必ず金利が下がるとは限りません。
信用不安が強ければ、貸し手は高い利回りを求めます。
資金を借りたい側の信用力が低いと判断されれば、資金調達コストは上がります。

逆に、景気が強くても、金融緩和や過剰な流動性があれば、金利が抑えられることもあります。

つまり、金利は資金需要だけではなく、「資金を貸してもよいと判断する条件」も反映しています。

ここは、仮想通貨市場を見るときにもそのまま接続できます。

Funding Rateが高い。
レンディング金利が高い。
basisが広がっている。
ステーブルコインの貸出需要が増えている。

こういう数字を見ると、資金需要が強いと考えたくなります。

ただ、それだけでは足りません。

その金利やレートには、レバレッジ需要だけでなく、ヘッジ需要、担保制約、清算リスク、取引所リスク、流動性の薄さ、参加者の偏りなども混ざります。

Funding Rateが高いから、単純にロング需要が強い。
basisが広がっているから、単純に将来価格が高く見られている。
レンディング金利が高いから、単純に資金需要が強い。

こう断定すると、見落とすものが出ます。

観測値として出ているのは、需要そのものではありません。
需要、制約、リスク、流動性、参加者構造が混ざった結果です。

ここで一度、金融読本の基本に戻ると整理しやすくなります。

金利は、資金の価格です。
ただし、その価格は資金需要だけで決まるわけではありません。
貸し倒れの可能性、期間の長さ、資金の出し手の都合、市場全体の流動性、金融政策なども入ります。

仮想通貨市場で見ているFunding Rateやbasisも、似たようなものとして扱えそうです。

それらは、資金需要のサインではあります。
しかし、資金需要そのものではありません。

この違いは分けておきたいです。

需要が強いから歪みが出ているのか。
資金移動が難しいから歪みが残っているのか。
担保や証拠金の制約で裁定が効きにくいのか。
流動性が薄く、見かけのレートだけが高くなっているのか。
清算リスクや価格変動リスクの対価として高くなっているのか。

金利やレートを見るときは、この分解が必要になります。

今の段階で置いておくなら、金利は次のように見た方がよさそうです。

金利は、資金需要の温度計です。
しかし、温度計に映っているのは需要だけではありません。
信用、期間、流動性、政策、リスクも混ざっています。

botで観測しているFunding Rate、basis、レンディング金利なども同じです。

それらは、市場参加者の行動を読むための入口にはなります。
ただし、数字をそのまま需要や収益機会に変換すると危ない。

金利は、資金の価格です。
そして資金の価格には、需要だけでなく、制約とリスクも含まれています。

7. デリバティブはリスクを分解し、移転し、再配分する

金融読本を読みながら、特に引っかかったのがデリバティブです。

普段、仮想通貨botを作っていると、現物価格、先物価格、perp、Funding Rate、basisなどを見る機会が多くなります。
そのため、デリバティブはかなり身近な存在です。

ただ、身近だからこそ、雑に理解している部分もありました。

最初は、デリバティブを「異時点間の価値ズレを補正するもの」として捉えていました。
先物であれば、将来の価格を現在決める。
オプションであれば、将来の一定条件で売買する権利を扱う。
perpであれば、現物価格とのズレをFunding Rateなどで調整する。

この見方自体は、完全に外れているわけではないと思います。

ただ、それだけだとそれは少し狭い見方だと思います。

そもそもデリバティブとは、原資産から派生した金融商品です。
株式、債券、金利、為替、商品、指数など、何らかの原資産や指標をもとに価値が決まります。

そして、その役割を広めに見るなら、リスクを分解し、移転し、再配分する仕組みです。

価格変動リスクを移す。
金利変動リスクを移す。
為替変動リスクを移す。
将来価格の不確実性を、現在の取引条件に落とし込む。
特定の方向のリスクだけを取り出す。
逆に、持っているリスクを別の形で打ち消す。

そう考えると、デリバティブは単なる投機商品ではありません。

もちろん、投機にも使われます。
価格が上がると思えばロングする。
下がると思えばショートする。
レバレッジをかけて、大きく取りにいく。

ただ、それだけではなく、ヘッジにも使われます。
現物を持ちながら先物で売る。
将来の価格変動を避ける。
持っているポジションの一部のリスクだけを消す。

同じ商品でも、使う人によって意味が変わります。

ある人にとっては、リスクを取りにいく道具です。
別の人にとっては、リスクを減らす道具です。
さらに別の人にとっては、価格差や需給の偏りを取引する道具です。

ここが面白いところです。

仮想通貨市場でperpを見るときも、同じことが言えそうです。

perpの価格が現物からズレる。
Funding Rateがプラスになる。
ある市場ではロングが多く、別の市場では偏りが小さい。
basisが広がる。
先物と現物の価格差が変わる。

これらは、単に「みんなが上がると思っている」だけでは説明しきれません。

レバレッジをかけたい参加者がいる。
現物を持ちながらヘッジしたい参加者がいる。
資金を効率よく使いたい参加者がいる。
価格差を裁定しようとする参加者がいる。
取引所ごとに担保、流動性、参加者、手数料が違う。

その結果として、perp、先物、現物のあいだにズレが出ます。

デリバティブを「未来価格を当てるための商品」とだけ見ると、この構造を見落とします。

本当に見たいのは、価格の予想だけではありません。
どのリスクが切り出されているのか。
誰がそのリスクを取りたがっているのか。
誰がそのリスクを手放したがっているのか。
その偏りが、どのレートや価格差として表れているのか。

この視点で見ると、Funding Rateやbasisも少し違って見えます。

Funding Rateは、perp価格を現物価格に近づけるための仕組みです。
ただし、そこに出ている数値は、単なる調整弁ではありません。

レバレッジ需要。
現物との裁定。
ヘッジ需要。
取引所ごとの資金制約。
ポジションの偏り。
流動性の厚さ。
清算リスク。

こうしたものが混ざった結果として、Funding Rateが出ています。

basisも同じです。

先物価格と現物価格の差は、将来価格への期待だけではなく、資金コスト、ヘッジ需要、需給、裁定のしやすさなどを含んでいます。

つまり、デリバティブを見るときは、価格差そのものよりも、その価格差が何のリスクや制約を反映しているのかを分解する必要があります。

デリバティブは、リスクを見えやすくする一方で、分かりにくくもします。

現物だけなら、価格が上がるか下がるかという話に見えます。
しかし、デリバティブが入ると、そこに時間、金利、レバレッジ、ヘッジ、担保、清算、流動性が重なります。

だからこそ、表面上の数字だけを見ると危ない。

Funding Rateが高い。
basisが広い。
先物が現物より高い。
perpが現物からズレている。

これらは入口であって、結論ではありません。

デリバティブは、異時点間の価値ズレを扱う道具ではあります。
ただ、それ以上に、リスクを分解し、移転し、再配分する仕組みです。

この理解に置き直すと、botで見るべきものも少し変わります。

単に価格差を見るのではなく、
その価格差がどのリスクから生まれているのかを見る。

単にFunding Rateを見るのではなく、
そのレートがどの参加者の偏りから出ているのかを見る。

単にbasisを見るのではなく、
そこに資金コスト、ヘッジ需要、流動性制約がどれくらい混ざっているのかを見る。

デリバティブを読むことは、市場参加者がどのリスクを持ち、どのリスクを手放したがっているのかを読むことに近いのかもしれません。

8. Funding Rateとbasisを「資金需要の表れ」とだけ読む危うさ

仮想通貨botを作っていると、Funding Rateやbasisを見る機会が多くなります。

Funding Rateが高い。
先物と現物のbasisが広がっている。
取引所ごとにperp価格のズレがある。
現物とデリバティブの価格差が出ている。

こういう数字を見ると、つい「資金需要が強い」「ロング需要が強い」「市場が上方向に傾いている」と読みたくなります。

この読み方は、入口としては分かりやすいです。
ただ、それだけで固定すると危ないです。

Funding Rateは、perp価格を現物価格に近づけるための調整機能です。
perp価格が現物より高くなりやすいときは、ロング側がショート側に支払う形になりやすい。
逆に、perp価格が現物より低くなりやすいときは、ショート側がロング側に支払う形になりやすい。

この仕組みだけを見ると、Funding Rateはポジションの偏りを映しているように見えます。

実際、それは一部正しいと思います。
ロングに偏っている。
ショートに偏っている。
レバレッジ需要が強い。
ヘッジ需要が強い。

そうした要素は、Funding Rateに出ます。

ただし、Funding Rateに出ているのは、それだけではありません。

取引所ごとの参加者の違い。
担保として使える資産の違い。
手数料の違い。
板の厚さ。
清算されやすさ。
資金移動のしやすさ。
マーケットメイカーの在庫。
裁定に使える資金の量。

こういう条件も混ざります。

たとえば、ある取引所でFunding Rateが高いとしても、それが単純に「市場全体のロング需要が強い」ことを意味するとは限りません。

その取引所だけ参加者が偏っているのかもしれません。
ショート側の資金が足りないのかもしれません。
裁定したくても、担保や資金移動の制約で入りにくいのかもしれません。
板が薄く、実際に大きなサイズで入るとすぐ価格が動くのかもしれません。

つまり、Funding Rateは需要のサインではありますが、需要そのものではありません。

basisも同じです。

先物価格が現物価格より高い。
現物価格に対して、先物やperpがズレている。
この差を見ると、将来価格への期待を読みたくなります。

しかし、basisには期待だけでなく、資金コスト、ヘッジ需要、裁定のしやすさ、流動性、ポジションの偏りも入ります。

現物を持って先物を売る。
先物を買って現物を売る。
perpと現物でヘッジする。
取引所間で価格差を見る。

こうした取引が簡単にできるなら、basisや価格差は縮まりやすくなります。

逆に、それが難しければ、差は残ります。

手数料が高い。
資金移動に時間がかかる。
板が薄い。
担保の置き方に制約がある。
ポジション上限がある。
清算リスクが高い。
取引所ごとに参加者が違う。

こうした制約があると、理論上は裁定できそうに見える差でも、実際には取りにくくなります。

ここで重要なのは、「価格差があること」と「取れる価格差であること」は必ずしも正の相関を示すわけではない、という点です。

画面上では差が見える。
計算上は利益が出そうに見える。
でも、実際に注文を出すと滑る。
約定しない。
手数料で消える。
資金移動が間に合わない。
片側だけ約定する。
清算リスクを抱える。

こういうことは普通に起こります。

その意味で、Funding Rateやbasisは、そのまま収益機会を示すものではありません。
市場のどこかに偏りや制約があることを示す観測値です。

見るべきなのは、数字そのものではなく、その数字が残っている理由です。

なぜこのFunding Rateが続いているのか。
なぜこのbasisが縮まらないのか。
なぜ裁定が入っていないのか。
なぜ片側の資金だけが集まっているのか。
なぜこの市場では板が薄いのか。
なぜこの価格差は消えずに残っているのか。

この問いを挟まないと、表面上の高いレートや広い価格差に引っ張られます。

自分の中では、Funding Rateやbasisは「資金需要の表れ」というより、「市場参加者の偏りと制約が表に出たもの」と捉えた方がしっくりきます。

資金需要は、その一部です。
レバレッジ需要も、その一部です。
ヘッジ需要も、その一部です。
流動性制約も、その一部です。
取引所ごとの構造差も、その一部です。

それらが混ざって、ひとつのレートや価格差として表示されている。

だから、Funding Rateやbasisを見るときは、まず分解する必要があります。

需要なのか。
制約なのか。
流動性なのか。
在庫なのか。
手数料なのか。
参加者の偏りなのか。
一時的なノイズなのか。

この分解なしに、数字だけを見て「うまそう」と判断すると危ないです。

Funding Rateもbasisも、かなり便利な指標です。
ただし、便利な指標ほど、雑に意味づけしやすい。

高いFunding Rate。
広いbasis。
見かけ上の価格差。

これらは、結論ではなく入口です。

入口として観測し、その後に制約、流動性、手数料、資金移動、約定可能性まで見ていく。

そこまで見て、ようやく「取れるかもしれない歪み」と「見えているだけの歪み」を分けられるようになるのだと思います。

9. 価格差には、需要・流動性・在庫・制約・リスクが混ざっている

botを作っていると、価格差はかなり目につきます。

ある取引所では少し高い。
別の取引所では少し安い。
現物とperpでズレている。
先物と現物でbasisがある。
DEX上では価格が違う。
板の上では利益が出そうに見える。

こういう差を見ると、最初は「裁定できるのでは」と考えます。

もちろん、価格差は入口として重要です。
価格差がなければ、そもそも裁定の候補にはなりません。

ただ、価格差があることと、実際に取れることは別です。

画面上の価格差は、あくまで表面です。
その裏には、需要、流動性、在庫、制約、リスクが混ざっています。

まず、需要です。

買いたい人が多い市場では価格が上がりやすくなります。
売りたい人が多い市場では価格が下がりやすくなります。
perpでロングが偏れば、Funding Rateにも影響が出ます。
現物を欲しがる人が多ければ、現物価格にも影響します。

この意味では、価格差は需要の偏りを映します。

ただし、需要だけで説明すると単純化しすぎになります。

次に、流動性です。

同じ価格差でも、板が厚い市場と薄い市場では意味が違います。
板が厚ければ、ある程度のサイズを入れても価格が動きにくい。
板が薄ければ、少し注文を出しただけで滑ります。

DEXでも同じです。

見かけ上の価格は良くても、実際に流すとすぐ滑ることがあります。
プールの流動性が薄ければ、表示されている価格と実際の約定価格はかなり変わります。

つまり、価格差を見るときは、価格だけでなく「その価格でどれだけ取れるのか」を見る必要があります。

次に、在庫です。

マーケットメイカーや参加者の在庫が偏ると、価格にも影響が出ます。
ある市場で特定方向のポジションが積み上がっている。
片側の板が薄くなっている。
特定の取引所だけ買い手や売り手が偏っている。

こういう状態では、価格差が出やすくなります。

ただ、その価格差は、単に市場全体の方向感を示しているとは限りません。
特定の場所で在庫やポジションが偏っているだけかもしれません。

次に、制約です。

価格差があるのに消えない場合、そこには何らかの制約がある可能性があります。

資金移動に時間がかかる。
送金コストが高い。
手数料を引くと利益が消える。
片側の市場で十分なサイズが入らない。
注文を出しても約定しない。
ポジション上限がある。
担保の置き方に制限がある。

こういう制約があると、理論上は裁定できそうに見えても、実際には取りにくくなります。

価格差が残っているのは、誰も気づいていないからではなく、取るための条件が悪いからかもしれません。

最後に、リスクです。

裁定に見える取引でも、実際にはリスクがあります。

片側だけ約定するリスク。
注文を出している間に価格が動くリスク。
資金移動中に相場が変わるリスク。
清算リスク。
取引所リスク。
流動性が急に消えるリスク。

これらを含めると、見かけ上の価格差は一気に小さくなります。
場合によっては、プラスに見えていたものが、実際にはマイナスになります。

ここで、金融読本の話に戻ると、金融は資金の融通であり、同時に信用、時間、流動性、リスクを調整する仕組みでもあります。

価格差も、それと同じように見ることができます。

単に「高い市場」と「安い市場」があるのではありません。
そこには、資金を動かす時間、決済のしやすさ、流動性、信用、リスク、参加者の偏りが入っています。

だから、価格差はひとつの数字に見えて、実際には複数の要素が圧縮された結果です。

需要の差。
流動性の差。
在庫の差。
制約の差。
リスクの差。

これらが混ざって、画面上の価格差として出てきます。

botで扱う場合、この分解をしないと危ないです。

価格差だけを見ると、取れそうに見えます。
しかし、流動性を見ると取れない。
手数料を見ると消える。
約定可能性を見ると怪しい。
資金移動を見ると間に合わない。
リスクを見ると割に合わない。

こういう候補は普通にあります。

逆に、見かけ上の価格差は小さくても、構造的に繰り返し出る歪みなら観測対象になります。
大きな差を一回取るより、小さな差がどの条件で出るのかを追う方が意味を持つ場合もあります。

このあたりは、金融の基礎を読んだことで少し整理しやすくなりました。

価格差は、単なるズレではありません。
資金の移動、流動性、信用、時間、リスクのどこかに摩擦があるから残ります。

その摩擦が一時的なものなのか。
構造的なものなのか。
手数料やスリッページを超えて残るものなのか。
実際に執行できるものなのか。

価格差を見るというより、価格差が残る条件を見る。

この方が、今の自分の作業には近い気がしています。

10. bot開発における金融読本の効用

ここまで、金融読本の1章、2章を読みながら考えたことをまとめてきました。

金融とは、資金の融通である。
資金を余らせている主体から、資金を必要としている主体へ動かす仕組みである。
その過程で、信用、時間、流動性、リスクが調整される。

かなり基礎的な話です。

ただ、botを作っている立場から読むと、この基礎がそのまま市場の見方につながってきます。

価格差を見る。
Funding Rateを見る。
basisを見る。
流動性を見る。
資金の流入出を見る。
取引所ごとの価格の違いを見る。
DEXのプールや板の厚さを見る。

これらは、表面上は別々の観測対象です。

しかし、少し抽象化すると、どれも資金の流れ、リスクの移転、制約、流動性の偏りを見ているとも言えます。

価格差は、単なるズレではありません。
そこには、需要、流動性、在庫、制約、リスクが混ざっています。

Funding Rateも、単なるロング需要の強さではありません。
レバレッジ需要、ヘッジ需要、担保制約、参加者の偏り、裁定のしやすさなどが混ざっています。

basisも、単なる将来価格への期待ではありません。
資金コスト、ヘッジ需要、流動性、裁定制約などが重なっています。

金融読本を読むことで、このあたりを少し整理しやすくなりました。

bot開発では、どうしても「取れる価格差はどこか」「儲かる歪みはどこか」という問いに寄りがちです。

もちろん、最終的にはそこを見ます。
ただ、その前に、もう少し手前の問いがあります。

なぜ、その価格差が残っているのか。
なぜ、そのFunding Rateが続いているのか。
なぜ、そのbasisが縮まらないのか。
なぜ、そこに流動性があるのか。
なぜ、別の市場には流動性がないのか。
なぜ、裁定が効いていないのか。
なぜ、その取引は見えているのに取りにくいのか。

この「なぜ」を分解するときに、金融の基礎は役に立ちます。

資金がどこにあるのか。
誰が資金を必要としているのか。
誰がリスクを取っているのか。
誰がリスクを避けているのか。
どこで手数料が発生しているのか。
どこで資金移動が詰まっているのか。
どこで流動性が薄くなっているのか。

こういう見方をすると、単なる価格差の観測から、市場構造の観測に少し近づきます。

一方で、今回の整理には大きな前提があります。

それは、市場に十分な流動性があることです。

どれだけ理屈の上で価格差があっても、流動性がなければ取引は成立しません。
どれだけFunding Rateが高くても、十分なサイズで入れなければ意味がありません。
どれだけbasisが広くても、現物と先物の両方を実際に建てられなければ取れません。
どれだけDEX上で価格差が見えても、プールが薄ければ、少し流しただけで価格が崩れます。

流動性がない市場では、価格はあっても、実行可能な価格とは限りません。

板の上にある価格。
チャートに表示される価格。
APIから取れる価格。
計算上の価格差。

これらは、実際に約定できる価格とは別です。

市場として成立するには、売り手と買い手がいて、一定のサイズで取引できて、決済できて、継続的に価格が形成される必要があります。

その前提が弱い市場では、価格差や金利差を読んでも、かなり不安定になります。

つまり、これまで書いてきた仮説は、「市場に最低限の厚みがある」ことを前提にしています。

十分な流動性があるから、価格差に意味が出る。
十分な流動性があるから、Funding Rateやbasisを観測対象にできる。
十分な流動性があるから、需要や制約やリスクの偏りを数字として読める。

逆に、流動性がなければ、それは市場の歪みというより、単に市場が薄いだけかもしれません。

これは、DeFiやマイナー市場を見るときに特に注意が必要です。

見かけ上の価格差は大きい。
でも、流せるサイズが小さい。
表示価格と実行価格が大きく違う。
数回の取引で歪みが消える。
そもそも継続的な参加者がいない。

この場合、そこにあるのは構造的な裁定機会ではなく、流動性不足のノイズかもしれません。

金融の基礎を読むことで、市場を見る入口は増えました。
ただし、入口が増えるほど、前提条件も確認する必要があります。

資金需要を見る。
リスク移転を見る。
制約を見る。
価格差を見る。
Funding Rateを見る。
basisを見る。

その前に、その市場は十分に取引できる市場なのか。

ここを外すと、理屈だけが先に走ります。

今回の読書メモで一番整理できたのは、金融とは派手な価格変動の話ではなく、資金、信用、時間、流動性、リスクをどう扱うかという話だということです。

botで見ている数字も、そのどこかに接続しています。

ただし、数字が出ていることと、取引できることは違います。
価格差があることと、取れることは違います。
市場が存在することと、十分な流動性があることも違います。

まずは、金融の基礎に戻る。
次に、市場の構造を見る。
最後に、実行可能なサイズとコストで確認する。

この順番で考えると、表面上の歪みに振り回されにくくなりそうです。

金融読本は、まだ読み始めたばかりです。
今後読み進めながら、今回の仮説も更新していきます。

それでは、また。

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