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🛠️開発記録#526(2026/4/26)「ズレたら戻る」で済ませないために、市場構造を学び直している

こんにちは、ぼっちbotterよだかです。

今日は大きな実装を進めた日ではなく、『市場と取引』を読みながら、市場構造の理解をbot研究にどう接続するかを考えた日でした。読んだ範囲は、注文駆動型市場とブローカーについての章です。

読んでいて特に気になったのは、情報を持っていることと、それを実際の取引で使えることは別だという点です。これは現在進めているリードラグ研究だけでなく、以前いったん凍結した歪み回帰系の研究にもつながる話だと感じました。

今回は、今日読んだ内容とAIとの壁打ちを通して整理したことを、開発記録として残しておきます。

前回の話
🛠️開発記録#524(2026/4/25)リードラグ研究DAY17 — EV表示の誤読をきっかけに、構造判定と取引候補を分け直した話

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1. 今日は『市場と取引』を読みながら、注文駆動型市場とブローカーについて考えた

今日は大きな実装を進めた日ではありません。

主にやったことは、『市場と取引』の一部を読み、注文駆動型市場とブローカーについてメモを取り、その内容を現在のbot研究と接続して整理することでした。

読んだ範囲は、注文駆動型市場とブローカーについての章です。
板、注文、仲介者、情報、執行、手数料、最良執行、利益相反といった話が出てきます。

このあたりは、単なる金融市場の制度説明として読むこともできます。
ただ、自分の現在地から見ると、もう少し実務寄りの話として読めます。

具体的には、次のような問いにつながります。

  • 情報を持っていることと、それを取引で使えることは同じなのか
  • 市場ごとに、どのような流動性が存在しているのか
  • 価格差や歪みは、なぜ発生し、なぜ戻るのか
  • ある市場の情報は、なぜ別の市場へ遅れて伝わるのか
  • ブローカーや取引所の構造は、執行品質にどう影響するのか
  • 自分が公開している開発記録は、情報管理の観点から問題になり得るのか

今日の中心は、実装ではなく、このあたりの問いを整理することでした。

現在進めているリードラグ研究では、単に「ある市場が先に動き、別の市場が遅れて動くか」を見るだけでは不十分です。
その構造があったとしても、自分の取引可能市場で、手数料・スプレッド・スリッページを跨いで取れなければ意味がありません。

これは以前いったん凍結した歪み回帰系の研究にもつながります。

歪み回帰についても、単に「ズレたから戻るはず」と考えるだけでは弱い。
本来は、

  • 誰がその歪みに気づくのか
  • 誰が戻す方向に取引するのか
  • その取引はコストを払っても成立するのか
  • 必要な流動性はあるのか
  • ヘッジ先はあるのか
  • そもそもそれは歪みなのか、新情報の価格反映なのか

を考える必要があります。

今日の読書で、すぐに新しい勝ち筋が見えたわけではありません。
ただ、リードラグや歪み回帰を雑に信じないための言葉は少し増えました。

今日の作業を短くまとめると、以下です。

  • 『市場と取引』の注文駆動型市場・ブローカーの章を読んだ
  • 読書メモをもとに、bot研究との接続を壁打ちした
  • 情報優位と執行優位は別だと再確認した
  • 流動性を一つの言葉で扱うのは危ないと整理した
  • リードラグだけでなく、歪み回帰にもつながる内容だと感じた
  • ただし、市場構造を学べばすぐ勝てるわけではないとも確認した

今日の位置づけとしては、開発を進めた日というより、開発判断の前提になる市場構造理解を整理した日です。
派手な進捗ではありませんが、今後の仮説の立て方や、観測結果の読み方には効いてくる内容だと思います。

2. 情報を持つことと、それを取引で使えることは別

今日の読書メモでまず残しておきたいのは、情報を持つことと、それを取引で使えることは別だという点です。

これはかなり当たり前の話に見えます。
ただ、bot研究を進めていると、意外とここを混ぜて考えそうになります。

たとえば、ある情報が市場に先行していそうに見える。
ある指標が、あとから価格やOIやfundingに効いていそうに見える。
ある市場が、別の市場よりも先に動いていそうに見える。

これらは研究対象としては重要です。
ただし、それだけではまだ取引優位ではありません。

実際には、少なくとも次の段階を通る必要があります。

  • その情報を取得できる
  • 取得した情報の時刻や鮮度が信頼できる
  • 使える形に加工できる
  • ノイズと意味のある変化を分けられる
  • どの市場にどう反映されるか解釈できる
  • 注文条件に変換できる
  • 手数料・スプレッド・スリッページを跨げる
  • 自分のサイズで約定できる
  • exitまで含めて期待値が残る

このどこかで崩れると、情報はあっても取引にはならない。

今やっているリードラグ研究でも、これは何度も出てきた話です。
先行市場らしきものがあっても、それが自分の取引可能市場に届くまでに消えるなら取れません。
構造が見えても、スプレッドや手数料を引いたら残らないなら、執行対象にはできません。

DeFi側の研究でも同じです。
Ethena側の供給ショックがHyperliquid側のOIに先行しているように見えても、その時点ではまだ「構造候補」です。
そこから実際に取引するには、情報の取得タイミング、反応までの時間、対象市場、注文方法、期待値の残り方を別に見る必要があります。

今日の整理では、この部分を次のように分けて考えることにしました。

  • 情報優位
    他の参加者より早く、正確に、または意味のある形で情報を取得・加工できること
  • 解釈優位
    その情報がどの市場参加者の行動にどうつながるかを、より正しく読めること
  • 執行優位
    その読みを、手数料・スプレッド・スリッページ・約定確率を踏まえて実際の取引に変換できること

この3つはつながっていますが、同じものではありません。

特に今の自分に必要なのは、情報優位だけを見て満足しないことです。
データを取れた、先行していそう、説明がつきそう、という段階で止まると危ない。
そこから先に、執行できるかどうかの別判定が必要になります。

一方で、情報優位がなければ始まらないのも事実です。
だから、情報取得・加工・解釈の研究自体は意味があります。
ただし、それはあくまで取引優位の一部であって、完成形ではありません。

今日の時点での整理はこうです。

  • 情報があるだけでは勝てない
  • 情報を取引に変換するまでに複数の段階がある
  • その段階ごとに失敗要因がある
  • リードラグも歪み回帰もDeFi研究も、この分解が必要
  • 構造候補と執行可能性を混ぜると、勝てそうに見えるだけの仮説になりやすい

これは新しい発見というより、これまでの研究で何度も見てきたことを、市場構造の文脈から言い直したものです。

ただ、言い直せたことには意味があります。
今後、何か面白そうな情報源や先行指標を見つけたときにも、すぐに「これは使える」と判断するのではなく、

取得できる情報なのか。
加工できる情報なのか。
解釈できる情報なのか。
執行できる情報なのか。

を分けて確認する必要があります。

3. ブログ公開と情報管理について考えた

今日の読書メモで少し引っかかったのが、情報を隠して取引を執行するという発想と、自分が開発進捗をブログで公開していることの関係です。

市場参加者は、自分の意図や注文情報をできるだけ隠そうとします。
特に、取引の優位性が情報の取得・加工・解釈・執行にあるなら、その過程をどこまで外に出すかは本来かなり重要です。

その意味では、bot開発の進捗をブログで公開していることは、情報管理の観点からは少し危うさもあります。

ただし、現時点では、ブログ公開をすぐにやめる必要はないと考えています。

理由は、今のブログが主に以下の役割を持っているからです。

  • 思考整理
  • 開発ログ
  • 判断理由のアーカイブ
  • 読書メモ
  • 仮説の言語化
  • 否定結果の記録
  • 後から自分で見返すための材料

まだ、安定して稼げるエッジを公開しているわけではありません。
むしろ多くは、取れなかったこと、保留していること、構造と執行を分けて考えたこと、判断できなかったことの記録です。

この段階では、エッジ漏出のリスクよりも、思考を外に出して整理し、後から検証できる形に残すメリットの方が大きいと見ています。

ただし、この判断は今後もずっと同じではありません。

もし実際に、

  • 継続的にEV>0が見える
  • 実弾運用に近づく
  • 取引可能な市場が具体的に絞れる
  • horizonや閾値が固まる
  • 方向性が明確になる
  • 他人が読んで再現できる粒度になる

という段階に入ったら、公開する内容は変える必要があります。

特に危ないのは、次のような情報がセットで出てしまうことです。

  • 市場名
  • 取引対象
  • 情報ソース
  • horizon
  • 閾値
  • 方向
  • コスト前提
  • positive EVが見えている条件
  • 実行ロジック

ここまで揃うと、単なる開発記録ではなく、かなり再現性のある戦略情報に近づきます。

現時点で公開してよいものと、将来的にぼかすべきものは分けておきたいです。

公開してよいものは、たとえば以下です。

  • 学習内容
  • 市場構造の一般的な理解
  • 失敗した仮説
  • 否定結果
  • 抽象化した設計思想
  • 判断の振り返り
  • まだ取引対象になっていない研究過程

一方で、非公開に寄せるべきものは以下です。

  • positive EVが見えた具体条件
  • 市場名 × horizon × 閾値 × 方向の組み合わせ
  • 実運用パラメータ
  • 具体的なsignal条件
  • 執行ロジック
  • サイズ感
  • 実際の収益源に近い情報

今のところ、自分にとってブログはかなり重要な作業道具です。
特に、一人でbot研究を進めている以上、自分の判断を外部化して、後から見返せる状態にしておく価値は大きい。

ただし、ブログはあくまで公開ログです。
今後は、公開してよい研究ログと、非公開にすべき実運用メモを分ける必要が出てくると思います。

今日の時点での整理は、次の通りです。

  • 現時点ではブログ公開のメリットが大きい
  • ただし、情報管理の観点では無条件に安全ではない
  • 稼げる条件が見え始めたら、公開粒度を落とす
  • 公開ログと非公開ログを分ける発想が必要
  • 「思考整理」と「戦略情報の漏出」は別物として扱う

この論点は、今すぐ何かを変更する話ではありません。
ただ、今後botが実運用に近づいたときに、かなり重要になるはずです。

4. 流動性は一つの言葉で雑に扱えない

もう一つ整理しておきたいのが、流動性についてです。

これまでも、手数料、スプレッド、板の厚み、約定可能性といったものは見てきました。
ただ、今日の読書メモを通して、あらためて「流動性」という言葉を一つの意味で雑に使うのは危ないと感じました。

流動性といっても、実際にはいくつかの種類があります。

たとえば、共通して見やすいものだけでも、次のようなものがあります。

  • スプレッドの狭さ
  • best bid / ask 付近の板の厚み
  • 数段先まで含めたdepth
  • 出来高
  • 約定頻度
  • 成行で叩いたときのslippage
  • 指値を置いたときの約定確率
  • 板が食われた後の回復
  • quoteの更新頻度
  • 価格が飛ばずに連続して動くか

これらは全部「流動性」に関係します。
ただし、見ているものは同じではありません。

スプレッドが狭くても、板が薄ければサイズは入りません。
板が厚く見えても、実際に叩くとすぐ引かれるかもしれません。
出来高が多くても、自分が入りたい瞬間に必要な方向の流動性があるとは限りません。
指値で待てばコストは下がるかもしれませんが、約定しないまま機会を逃す可能性もあります。

つまり、流動性は単に「ある/ない」ではなく、何をしたいときの流動性なのかを分ける必要があります。

特にbot研究では、次の区別が重要になりそうです。

  • 成行で今すぐ入るための流動性
  • 指値で待つための流動性
  • 一定サイズを入れても滑らない流動性
  • signalが消える前に約定できる流動性
  • exitまで含めて逃げられる流動性
  • ヘッジ先として使える流動性
  • 資金移動や在庫調整まで含めた流動性

ここを分けないと、見た目の板や出来高だけで「取れそう」と判断してしまいます。

市場ごとにも、流動性の意味は変わります。

たとえば、Binance JapanのBTC/JPY現物で見る流動性と、Hyperliquidのperpで見る流動性は同じではありません。
ETFやCMEのように取引時間がある市場では、セッションの内外でそもそも見える流動性が変わります。
DeFiでは、板ではなくpool depth、routing、gas、MEV、block timeのような要素も関わります。

ざっくり分けると、次のようになります。

市場流動性を見るときに気にするもの
CEX現物spread、板厚、約定頻度、slippage、入出金制約
Perp / 先物spread、板厚、OI、funding、清算、証拠金
ETF取引時間、出来高、session、primary/secondary market
CMEsession、限月、basis、先物流動性
DeFipool depth、price impact、gas、MEV、routing、block time

もちろん、この表はまだかなり粗いです。
ただ、少なくとも「流動性」という言葉を一つで済ませるよりはましです。

今後やりたいのは、各市場について、

  • どの流動性は共通指標で見られるのか
  • どの流動性は市場個別に定義すべきなのか
  • 自分のbotが必要としている流動性はどれなのか
  • その流動性は観測機で測れているのか

を分けることです。

これはリードラグ研究にも関係します。

たとえば、あるリードシグナルが出たとしても、取引可能市場側にその瞬間の流動性がなければ取れません。
逆に、構造としては弱くても、流動性が厚く、コストが安く、約定確率が高いなら、別の見方ができるかもしれません。

歪み回帰系の研究にも関係します。

歪みが回帰するには、誰かが戻す方向に取引する必要があります。
そのためには、その人たちが使える流動性が必要です。
もし流動性が薄い、ヘッジ先がない、コストが高い、在庫制約がある、という状態なら、歪みが見えていてもすぐには戻らないかもしれません。

今日の時点での整理はこうです。

  • 流動性は一つの言葉で扱うと雑になる
  • spread、depth、volume、slippage、約定確率はそれぞれ違う
  • 市場ごとに流動性の意味は変わる
  • 共通指標で見られる部分と、個別定義が必要な部分を分けたい
  • リードラグでも歪み回帰でも、流動性は「取れるか」を決める重要な条件になる

今後は、各市場ごとの流動性をもう少し具体的に整理したいです。
特に、Binance Japan、Hyperliquid、ETF、CME、DeFiについては、自分の研究対象として触る可能性があるので、共通の表にして見比べられるようにしておきたいです。

5. リードラグだけでなく、歪み回帰にもつながる話だった

今日読んだ内容は、最初はリードラグ研究との接続で考えていました。

情報がどの市場に先に出るのか。
どの市場が遅れて反応するのか。
その反応が自分の取引可能市場まで残るのか。

このあたりは、現在進めているリードラグ研究にそのまま関係します。

ただ、AIと壁打ちしながら整理していくと、これはリードラグだけの話ではありませんでした。
以前研究対象にしていて、今はいったん凍結している歪み回帰系の研究にもかなりつながる内容です。

歪み回帰について、以前はどうしても、

ズレたものが戻るかどうか

という見方になりがちでした。

もちろん、観測機としてはそれで見る必要があります。
実際に、一定以上の歪みが出たあと、何秒後・何分後にどの程度戻ったのかを見ること自体は重要です。

ただ、それだけだと少し足りない。

本来は、

なぜその歪みが構造的に戻るはずなのか

を説明できる必要があります。

たとえば、歪み回帰が起こると考えるなら、最低限以下のような問いが出てきます。

  • 誰がその歪みに気づくのか
  • 誰が戻す方向に取引するのか
  • その参加者はなぜ取引するのか
  • その取引は手数料・スプレッド・slippageを跨げるのか
  • ヘッジ先はあるのか
  • 必要な流動性はあるのか
  • 在庫や証拠金の制約はないのか
  • 回帰までの時間軸はどれくらいか
  • そもそもそれは歪みなのか、新情報の価格反映なのか

ここを考えずに「ズレたから戻る」と見ると、かなり雑になります。

回帰が起きた場合でも、それが本当に構造的な回帰なのか、たまたま戻っただけなのかが曖昧になります。
回帰が起きなかった場合も、単に「外れた」で終わってしまいます。

市場構造の理解が入ると、少なくとも回帰しなかった理由の候補は増えます。

たとえば、次のように分けられます。

  • 見えていたズレが、実は取引可能な歪みではなかった
  • 片方の市場が新情報を先に織り込んでいただけだった
  • 裁定者にとってコストを跨げなかった
  • 取引可能な流動性が足りなかった
  • ヘッジ先が弱かった
  • 市場時間やセッションの違いで同時に動けなかった
  • 流動性供給者が板を引いていた
  • 回帰するには観測していたhorizonが短すぎた
  • 逆に、回帰が起きる前に他の情報で上書きされた

もちろん、これらはまだ仮説です。
市場構造を学んだからといって、回帰しなかった理由が自動でわかるわけではありません。

ただ、少なくとも「何が足りなかったのか」を考える入口にはなります。

今後、歪み回帰系の研究を再開するなら、以前と同じようにいきなり観測定義を走らせるのではなく、先に構造条件を整理したいです。

現時点では、次のようなメモを作るのがよさそうです。

見る項目問い
歪みの性質それは一時的な需給のズレか、新情報の反映か
観測可能性誰がその歪みに気づけるか
取引可能性誰がその歪みを実際に取引できるか
コスト手数料・スプレッド・slippageを跨げるか
流動性必要サイズで入れるか、出られるか
ヘッジ反対側や代替市場でヘッジできるか
制約在庫・証拠金・資金移動の制約はあるか
時間軸どのhorizonで戻ると考えるのか
反証何が見えたら「回帰仮説ではない」と判断するか

この表はまだ粗いですが、少なくとも以前よりは見方を分解できます。

リードラグと歪み回帰は、見ている現象自体は違います。

リードラグは、ある情報や市場の動きが別の市場に遅れて伝わるかを見るものです。
歪み回帰は、一時的にズレた価格関係が戻るかを見るものです。

ただし、根っこには共通する部分があります。

  • 誰が情報を持っているのか
  • 誰が先に動くのか
  • 誰が遅れて動くのか
  • 誰がズレを修正するのか
  • その行動に必要な流動性はあるのか
  • コストを払っても取引する理由があるのか
  • 制約があるときに価格はどう歪むのか

このあたりは、どちらの研究にも関係します。

今日の時点での整理はこうです。

  • 注文駆動型市場やブローカーの話は、リードラグだけでなく歪み回帰にもつながる
  • 歪み回帰は「ズレたから戻る」では弱い
  • 誰が戻すのか、なぜ戻すのか、どのコストを跨げるのかを考える必要がある
  • 回帰しなかった場合も、何が不足していたのかを仮説化できるようにしたい
  • ただし、市場構造を学べば回帰理由が自動でわかるわけではない

今後、凍結中の歪み回帰研究を再開するなら、単に過去の定義を復活させるのではなく、歪みが戻るための構造条件を先に書くところから始めたいです。

6. ただし、市場構造を学べば勝てるわけではない

ここまで整理すると、少し綺麗にまとまりすぎる感覚もありました。

市場構造を学ぶ。
情報優位と執行優位を分ける。
流動性を分解する。
リードラグだけでなく歪み回帰にも接続する。

こう書くと、かなり筋の良い進歩に見えます。

実際、方向性としては悪くないと思います。
ただし、ここで勘違いしてはいけないのは、市場構造を学べば、そのまま勝てる仮説が見つかるわけではないということです。

今日の読書で得られたものは、勝ち筋そのものではありません。
どちらかといえば、雑な納得を減らすための道具です。

たとえば、以前なら、

  • ズレたから戻るはず
  • 先に動いた市場があるから、あとから別市場も動くはず
  • この情報は価格に効きそうだから使えるはず
  • 出来高があるから流動性もあるはず

と考えてしまう可能性がありました。

もちろん、これらが完全に間違いとは限りません。
ただ、そのままだと粗い。

今後は、そこで一段止まって考える必要があります。

  • そのズレは本当に取引可能な歪みなのか
  • 誰がそれを戻すのか
  • その人たちはコストを払っても動くのか
  • その先行情報は自分が取得できるのか
  • 取得した情報は、まだ市場に織り込まれていないのか
  • その市場には自分が入れる流動性があるのか
  • 見えている板は、実際に叩ける板なのか
  • それは構造なのか、一時的なノイズなのか

この問いを増やせることが、現時点での市場構造理解の効能だと思います。

ただし、問いが増えることと、答えが出ることは別です。

たとえば、歪み回帰が起きなかったときに、考えられる理由は増えます。

  • 新情報の反映だった
  • コストを跨げなかった
  • 流動性が足りなかった
  • ヘッジ先が弱かった
  • 裁定者が動ける状態ではなかった
  • horizonが違った
  • 板が引かれていた
  • そもそも観測していた価格がstaleだった

こういう候補は出せるようになります。
でも、実際にどれが効いていたのかは、読書だけではわかりません。

そこは結局、観測設計とデータで確認する必要があります。

なので、今日の時点での位置づけはこうです。

  • 市場構造の勉強は、直接の勝ち筋ではない
  • ただし、雑な仮説を疑うためには役に立つ
  • 回帰やリードラグを説明する言葉は増える
  • しかし、その説明が正しいかは別途検証が必要
  • 「説明できた気になること」には注意が必要

特に、自分の場合は、言葉で整理できると少し納得してしまいやすいところがあります。
これは良い面もありますが、危ない面もあります。

綺麗な説明ができたからといって、それが市場で機能するとは限りません。
市場構造の勉強は、仮説を強くするための材料にはなりますが、仮説の正しさを保証するものではありません。

だから今後も、整理するときは次のように分けたいです。

区分内容
わかったこと読書や観測から、ある程度言えること
推測していることまだ仮説段階のこと
わかっていないこと判断材料が足りないこと
確認すべきこと観測機や追加分析で見るべきこと

この分け方をしないと、構造理解が進んだことと、収益性が見えたことを混同しやすいです。

今日の整理で一番大事なのは、たぶんここです。

市場構造を学ぶことで、勝てる仮説がすぐ増えるわけではない。
ただし、勝てそうに見えるだけの仮説を、前より疑いやすくなる。

これは地味ですが、かなり重要だと思います。

bot研究では、派手な発見よりも、間違った仮説を早く捨てる力の方が効く場面があります。
構造理解は、そのための補助線になる。

現時点では、そのくらいの位置づけにしておくのがちょうどよさそうです。

7. 来週は毎日1回、読書メモを壁打ちして構造理解を深める

今日の整理を踏まえて、明日からも『市場と取引』を読み進めながら、毎日1回は読書メモを壁打ちする予定です。

今週の主目的は、実装量を増やすことではありません。
もちろん、既存の観測機の状態確認は続けます。
ただし、メインに置くのは、市場構造の理解を深めて、リードラグ・歪み回帰・DeFi研究に接続できる言葉を増やすことです。

やることはシンプルです。

  • 『市場と取引』を読み進める
  • 読んだ範囲についてメモを書く
  • 毎日1回、壁打ちする
  • わかったことと、わかっていないことを分ける
  • bot研究に接続できる点を整理する
  • すぐ実装すべきことと、まだ考えるだけでよいことを分ける

特に意識したいのは、読書を「わかった気」製造機にしないことです。

市場構造を読むと、いろいろな現象に説明がつきそうに見えます。
しかし、説明が作れることと、実際に市場で機能することは別です。

そのため、毎日のメモでは以下の形を意識します。

区分書くこと
わかったこと読書や既存の観測から比較的言えること
わかっていないことまだ判断材料が足りないこと
bot研究への接続リードラグ、歪み回帰、DeFi研究に関係しそうな点
違和感綺麗に説明しすぎていないか、引っかかる点
次に確認すること観測や追加メモで見るべきこと

この形にしておけば、読書内容をそのまま信じるのではなく、自分の研究に使える形に変換しやすくなります。

来週、特に整理したいテーマは次のあたりです。

  • 各市場にどんな種類の流動性があるのか
  • どこまで共通フレームワークで見られるのか
  • どこから市場個別の定義に分けるべきか
  • 歪み回帰が起こるための構造条件は何か
  • リードラグにおいて、誰が先に見て、誰が遅れて動くのか
  • DeFi側の情報がHyperliquidなどの市場行動にどう出る可能性があるのか
  • 公開してよい研究ログと、非公開にすべき実運用情報の境界はどこか

今の自分にとって必要なのは、すぐに新しいbotを増やすことではなく、仮説を立てる前の解像度を上げることだと思っています。

これまでの研究で、構造がありそうに見えても、取引コストや流動性を通すと取れないケースを何度も見てきました。
そのたびに、単に「惜しかった」と捉えるのではなく、なぜ取れなかったのか、そもそも取れる構造だったのか、どの条件が足りなかったのかを見直す必要があります。

市場構造の勉強は、そのための道具になります。

ただし、繰り返しになりますが、これは勝ち筋そのものではありません。
勝てる仮説を直接くれるものではなく、勝てそうに見える仮説を雑に信じないための道具です。

来週は、その前提で進めます。

最後に、今週の方針を短く固定しておきます。

  • 実装量より、構造理解を優先する
  • 毎日1回、読書メモを壁打ちする
  • わかったことと、わかっていないことを分ける
  • リードラグ、歪み回帰、DeFi研究への接続を考える
  • ただし、綺麗な説明を作っただけで納得しない
  • 既存観測機のチェックは軽く継続する
  • 実装する場合も、まず「何を測るべきか」を決めてからにする

来週は、市場構造の勉強をメインタスクにします。
今すぐ大きな判断を作る週ではなく、今後の判断の土台を作る週として扱います。

それでは、また。

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