🛠️開発記録#469(2026/3/2)メトリクスを削ったら、戦略が前に進んだ話
multi_market_probe_v1 の開発を進める中で、ある問題に直面しました。 メトリクスは揃っている。WS化も完了し、一次情報の整合性も確認済み。ダッシュボードは充実していて、状態はすべて緑。 それでも、戦略は前に進んでいませんでした。 原因は単純でした。 観測はできているが、解釈できていなかった。 他市場観測の目的は、主戦場(bf_fx)における歪みや乖離を定義し、トレードシグナルに接続することです。しかし、メトリクスが増えすぎたことで、何を優先して見るべきかが曖昧になっていました。 そこで ...
🛠️開発記録#467(2026/2/28)「裁定は取らない ― 世界価格を“状態量”に変えるまで」
王道の裁定はやらない。以前にCEX間のシンプルな裁定を試そうとした時、個人で戦うには執行コストが重たいということがすでにわかっていたからです。そこで今回は、最初から、他市場の価格を“抜く”のではなく、主戦場である国内市場の理解に使うつもりで開発を始めました。 また、単一市場の板や約定データを掘り続けても、どうしても残る違和感もありました。歪みは見える。状態も観測できる。しかし、時間幅を伸ばして観測していくに従って、それが「市場全体の動き」なのか、「その市場固有の偏り」なのかが分かりにくくなります。内側だけ ...
🛠️開発記録#466(2026/2/25)相場を読むな。歪みを測れ。
「どちらに動くのか」を当てようとして、疲れていませんか。 秒足、分足、5分足。インジケーターを重ね、ロジックを組み替え、検証を繰り返す。それでも最終的に残るのは、思ったほど伸びない損益曲線と、「もう少しで掴めそうだった」という感覚かもしれません。 私も同じところで何度も立ち止まりました。 バックテストでは優位に見える構造も、実際に約定可能な価格(executable)を前提にすると、スプレッドやスリッページに削られ、静かに消えていきます。 そこで、発想を転換しました。 問題は「読む力」が足りないことではな ...
🛠️開発記録#465(2026/2/24)「エッジは方向にあらず?7日間の否定と、+3bpsの誘惑」
7日間分のデータで、徹底的に否定しました。 秒スケールの continuation、exhaustion、高時間軸への拡張。どれも OOS では一貫してマイナス。閾値をいじっても、フィルタを足しても、時間軸を変えても、持続的な正の期待値は確認できませんでした。 「方向を当てる」という前提そのものが、この市場では無理筋なのかもしれない。 そう考えて執行構造に目を向け、maker前提の検証に切り替えたところ、はじめて符号が変わりました。楽観条件では +3.18bps、PF 1.66。しかし、fill率を現実寄 ...
🛠️開発記録#464(2026/2/24)「歪みを探す前に地図を作ろう — マルチチェーンDeFi経路モデリングの実装記録」
DeFiアービトラージという言葉を聞くと、多くの人は「価格差を見つけること」が出発点だと思うかもしれません。私も最初はそうでした。しかし実際にボットを組み、マルチチェーンで探索を始めてすぐに気づいたのは、価格差よりも前に確認すべきことがあるという事実です。それは、「その経路は本当に存在するのか」という問いでした。 価格が歪んでいるように見えても、トークンの接続関係が閉じていなければ実行は不可能です。閉路があっても、サイズを流せばスリッページで崩壊します。さらに、静的に成立していても、それが時間的に持続しな ...
🛠️開発記録#461(2026/2/23)EVを確定せよ:DeFiアービトラージ探索の設計論
DeFiアービトラージに、本当にエッジは存在するのでしょうか。 価格差を見つければ儲かる――。そう考えてボットを走らせた経験は、多くのbotterが持っているはずです。しかし現実はそれほど単純ではありません。ガス代、スリッページ、MEV、ブロック遅延。理論上はプラスに見えた差分が、実行段階であっさりと消えていきます。 それでも私たちは、「どこかに非効率はあるはずだ」と考え続けます。ただし、その思い込みのまま探索を続けると、いつの間にか事実と解釈が混ざり、前提が曖昧になり、検証が終わらない状態に陥ってしまい ...
🛠️開発記録#459(2026/2/21)「テールを殺せば戦えるのか ― case_c_v1におけるEXIT構造の再設計と検証」
テールを殺せば、戦えるのか。 これ、実は2段階あります。 段階1 テールが主因だったのか? 段階2 テールを削った後に、残りの分布はエッジを持つのか? ここを履き違えると、「改善=戦える」って錯覚してしまうので、本記事ではそれも踏まえて実例ベースで解説記事をまとめました。(現時点で、段階1はYes寄り。段階2→ まだ未検証です) 直近のcase_c_v1のログを精査すると、平均損益そのものよりも、分布の“端”が問題であることが見えてきました。-94bps、-56bpsという少数の深い被弾が、全体のパフォー ...
🛠️開発記録#457(2026/2/19)「秒で勝てないなら、時間軸を変えろ ― 20秒観測×180秒保持の実行可能性検証」
秒単位の短期アルゴリズムで勝つことを前提に、これまで検証と実装を重ねてきました。しかし、実行遅延3.3秒・taker寄り執行という現実的な前提に立ち戻り、すべてを executable 基準で再評価した結果、明確な事実が浮かび上がりました。 秒スケールでは、構造的に勝ち切れない。 midベースでは方向性が存在しても、実際の約定価格で再計算すると、スプレッドと板厚に吸収され、エッジは消失します。速度優位を持たない環境で、秒単位の初動を取りにいく戦略は、強い先行アルゴの養分になりやすい。これは感覚ではなく、デ ...
🛠️開発記録#456(2026/2/18)「動く」と「取れる」は違う ― 圧縮→拡散を徹底検証した記録
「動く」と「取れる」は違います。 本記事では、暗号資産の短期板データを用いて、圧縮(compression)から拡散(expansion)への遷移が本当にトレードエッジになり得るのかを、統計的・執行的に徹底検証した記録をまとめます。検証は mid ベースの観測指標だけでなく、ToB executable(買いは ask、売りは bid)基準で再計算し、さらに右裾依存を排除するための trim5、中央値(p50)、same_shock baseline 比較、多重検定補正(BH 法)まで含めて行いました。 ...
🛠️開発記録#455(2026/2/18)「“当たる”と“稼げる”の間にある2.6bps」
本日の検証で、ひとつはっきりしたことがあります。私のbitFlyer FX戦略は「方向性」をある程度捉えられていました。しかし、それでもお金は増えませんでした。 ofi_1sは5秒先の価格方向を約70%の精度で示しており、ミッド基準では平均+0.9bpsの優位性が確認できました。数字だけを見れば悪くありません。ですが、実行可能価格(executable)ベースに置き換えた瞬間、その優位性は消えました。平均スプレッド約2.6bpsという現実が、すべてを飲み込んでいたのです。 本記事では、「当たる」ことと「稼 ...
