こんにちは、yodakaです。
- 仮想通貨の「ガス代」って何?
- なぜ、「ガス代」が発生するの?
- ガス代を安くする方法を知りたい
こんな悩みを解決する記事を用意しました。
仮想通貨の「ガス代」とは、「ブロックチェーン上のやりとりをする時に発生する手数料」のことです。
赤枠の部分が「ガス代」です。
ブロックチェーン上で取引を行うときに、手数料として追加でお金を支払う必要があるのです。
例えば、イーサリアムネットワークではETH、BSCネットワークではBNBで支払うといったように、それぞれのチェーン(ネットワーク)に応じた仮想通貨で支払うのが基本です。
様々なチェーン上でガス代が発生するのですが、このガス代が最も注目を浴びるようになったのはイーサリアムがきっかけです。
「ガス代」について理解を深めるには、イーサリアムを学ぶのが最も手っ取り早いため、本記事では、主にイーサリアムネットワークを例に挙げて説明していきます。
本記事を読むと分かること
- 仮想通貨の「ガス代」とは何か?
- どんな時に「ガス代」がかかるのか?
- 「ガス代」が発生する仕組み
- 「ガス代」を安く抑える方法
仮想通貨の「ガス代」とは?
ガス代とは、ブロックチェーン上のやり取りにおいて発生する手数料のこと。
ざっくり言うと、
ブロックチェーンネットワークを介した取引全般
において発生します。
主に
「仮想通貨(トークン)の送金」
「新しいdappやトークン・仮想通貨利用の承認」
「DeFiプロトコルへの仮想通貨の預け入れ・引き出し」
「NFTの発行や売買」
をする時に発生します。
仮想通貨(トークン)の送金
仮想通貨を送金する時に、手数料が必要です。
仮想通貨を移動させるということは、ブロックチェーン上に新たな取引履歴を刻むということ。
つまり、データの更新をする必要があるため、マイナーへの支払いが発生するのです。(この点は、後で詳しく説明します)
別の口座やウォレットアカウントに送金するだけでお金が取られるため、手数料に見合った送金を行うようにしましょう。
むやみに何度も送金をしていると、それだけでどんどんお金が減ってしまいます。
新しいdappやトークン・仮想通貨利用の承認
dapp(Decentralized application)とは「分散型アプリケーション」のこと。
ブロックチェーンテクノロジーに紐づいたデジタルアプリの総称です。
ブロックチェーンを用いているため、データの改竄が困難でセキュリティが高いという特徴があります。
また、複数のPC(ノード)で分散的に情報管理をしているため、データの永続性という点でも従来のアプリより優れています。
これらのdappを初めて使う時には、手数料が必要な場合があります。
例えば、NFTマーケットプレイスであるOpenSeaも、初めて売買を行う時には、ウォレットアドレスの承認許可が求められます。
また、特定のウォレットで新たに仮想通貨を登録して使えるようにする時にも、そのトークンの承認をするために手数料が必要です。
DeFiプロトコル(DEX)への仮想通貨の預け入れ・引き出し
仮想通貨のDeFi運用をする時に、様々なdappを使うことになります。
仮想通貨の取引を無人で行ってくれる取引所をまとめてDEXと呼びます。
これらのDEXに仮想通貨を預けれたり、引き出したりする時にも手数料が発生します。
資金を動かすときに、手数料が足りなくて資金を動かせないという自体が発生しないよう、手元にはガス代分の仮想通貨を残しておくようにしましょう。
NFTの発行や売買
NFT(Non Fungible Token)とは、代替不可能なトークンを意味する言葉であり、唯一無二のデジタルデータを所持できる技術のことです。
ブロックチェーンテクノロジーは、改ざん不可能なデジタルデータを生成することができるため、NFTの開発・拡散の土台となっています。
そして、このNFTの発行や売買をする時にも手数料が発生します。
なぜ、手数料が設定されているのか?
手数料を設ける理由は、主に5つ。
- 取引を実行するエネルギー
- マイナーへの報酬
- ネットワークの管理費用
- ネットワークの快適性維持
- ネットワークの安全性維持
順番に見ていきましょう。
手続きを実行するエネルギー
イーサリアムは、イーサを燃料としてコントラクトを実行する設計になっています。
つまり、イーサが不足するとプログラムは動きません。
なぜ、わざわざそのような設計にしているかというと、「プログラムが永遠に作動し続けることを防ぐため」です。
コンピュータは与えられた指示通りに同じ作業を繰り返します。
プログラムが永遠に動き続ける設計にしておくと、それぞれの命令が思わぬ形で相互に作用してエラーが起こったり、作動しなくなったりする可能性があります。
そのため、「プログラムが永遠に動き続けない」ようにしておく必要があるのです。
マイナーへの報酬
ブロックチェーンは、情報の改竄を防ぐために、連続するデータの塊を鎖のように紐づけていく仕組みです。
そこには、膨大で複雑な計算が必要で、その計算をしてくれる人が求められます。
この人達のことを「マイナー(発掘者)」と言います。
ブロックチェーン上で何らかのやり取りが発生した時に、このマイナー達が計算を解いて、最も早く正解を出した人に報酬として仮想通貨が支払われる仕組みになっているのです。
つまり、ガス代とは、「ブロックチェーンに記録を刻むお仕事をしている人達への成果報酬」という側面があるということです。
ネットワークの管理費用
ブロックチェーンは、データ。
基本的には24時間休むことなく作動していますが、時にはシステムのエラーが発生したり、より快適に使えるように修正が行われたりします。
ブロックチェーン自体は完全に人から独立した動きをしますが、そのシステム自体には管理者がいます。
もちろん、開発者達はブロックチェーンが人の手を離れて自律分散的に動くようになってくれるように、日々改善を続けていますが、ほとんどのブロックチェーンはまだ改善の途中と言って良いでしょう。
開発者達も完全なるボランティアで参加できる人達ばかりではありません。
そこで、「開発者達が研究・開発に使う資金」としてガス代がかかるのです。
これは、「そのブロックチェーンを使用する人たちが、そのネットワークの発展可能性を後押しするための開発援助費である」と捉えることもできます。
ネットワークの快適性維持
ブロックチェーンは、その構造上、膨大な量の通信が飛び交います。
そのため、ネットワークを多くの人が使うと、通信が混み合い取引や送金に時間がかかってしまいます。
そこで、イーサリアムネットワークでは、ガス代を多めに支払った人の通信が優先的に通るようにしています。
これにより、ネットワークが混雑する心配を減らすことができます。
しかし、この方法には欠点もあり、取引が集中するとガス代が高騰するという事態を引き起こすこともあるのです。
イーサリアムのガス代は過去何度も高騰しています。
その時は、取引や送金にかかる代金よりもガス代の方が高くなってしまうという状況にも陥りました。
ネットワークの安全性維持
データがオンライ上にあるということは、常に悪意ある人の攻撃リスクに晒されているということ。
そのため、あらゆる手を尽くして、データを守れるようにしておかなければなりません。
ブロックチェーンと言えどもそれは例外ではなく、システム全体へのハッキングを警戒した設計は、必ず取り入れています。
ガス代は、そのための手段の一つです。
手数料を設けることで、ネットワークへの攻撃リスクを下げることができます。
初めにネットワークの手数料を支払えない人は、そのネットワークを使った送金や取引ができません。
悪意あるユーザーが捨てアカウントを作ってシステム自体を攻撃するという事態を防ぐことで、ネットワークの安全性を高めることにつながります。
悪意あるbot(ボット)攻撃から守る
また、データがオンライン上に存在するということは、人以外にも作業ができる可能性があるということです。
一般的には「bot(ボット)」と呼ばれる自動的に作動するプログラムが例に挙げられます。
bot(ボット)それ自体は、一度プログラムを組んで仕舞えば、自動で動いてくれる便利な技術ですが、これを悪用すると人の作業スピードでは到底追いつけない速度で次々と取引を処理することができます。
しかも、人と違ってbot(ボット)は疲れも感じません。
ガス代は、悪意あるbot(ボット)攻撃からネットワークを守るために応用できます。
例えば、一定時間内にあまりにも多い取引量を送信してくるアカウントを検知すると、そのアカウントをbot(ボット)と認定して、そのアカウントに対してのみ一時的にガス代を引き上げて対応するプログラムを組んでおくなどの対策があります。
技術に善悪はない
bot(ボット)は、正しく使えば大変便利な技術です。人の手をかけなくても良い部分は、どんどん機械に任せていくべきだと思いますし、何より空いた時間で別の価値あることを生み出す作業に集中できるようになります。
上手く作動するbotを組むこと自体、プロトコルへの挑戦という意味合いもあり、個人が大きなものに挑むという楽しみややり甲斐などを感じさせてくれることもあります。(大抵は、地獄を見るようですが)
私にとって重要なのは、「技術は多くの人を不幸にするような使われ方をしてはならない」ということです。
ネットワーク全体にダメージを与えて再起不能にしたり、そこに関わる人達の多くの資産を奪って壊滅的な被害を与えてたりして、そのネットワーク全体の発展可能性を断つようなbot(ボット)の使われ方は、技術の在り方としてふさわしいとは思いません。
そもそも、そのネットワーク自体を不健全なものに変えてしまうという試み自体が、自分自身の過ごす環境を破壊するということにもつながるため、度を越した搾取は、するべきではないのです。
イーサリアムのガス代が発生する仕組み
ここからは、イーサリアムのシステム面からガス代発生の仕組みについて解説していきます。
ガス代の内訳
イーサリアムのガス代は、細かく見ると2種類あります。
1つ目が「マイナーへの支払い」。
これは、先ほど説明した通りです。
そして、2つ目が「スマートコントラクト実行にかかる手数料」。
イーサリアムは、ブロックチェーン上に様々なアプリケーションを構築するプラットフォームです。
そのため、イーサリアム上で何かをする時には、その手続きの承認が必要になります。
例えば、新しいトークンを登録して利用する場合などですね。
補足
手数料は一括して表示されていることも多いですが、実は、内部ではきちんと区別されているのですね。この点は、ガス代の節約において非常に重要なポイントですので、覚えておいてください。イーサリアムのガス代を節約したい時に、ガス代を抑えられるポイントを探る時に非常に役に立ちます。
この点は、ガス代の節約において非常に重要なポイントですので、覚えておいてください。
イーサリアムのガス代を節約したい時に、ガス代を抑えられるポイントを探る時に非常に役に立ちます。
ガス代はどうやって決まるのか?
イーサリアムのガス代は、以下の式で求められます。
ガス代=Gass Price(ガス プライス)×Gass Limit(ガス リミット)
この内、特に重要なのがGass Limit(ガス リミット)です。
Gass Limit(ガス リミット)はユーザーが変更することができるため、上手く設定することができれば、ガス代の節約につながるからです。
Gass Price(ガス プライス)
単位は「Gwai(ギガウェイ)」。
1Gwei=0.000000001ETH。
Gass Limit(ガス リミット)
マイナーが1ブロックを処理するために必要なデータ量と演算量を制限するもの。
トランザクションを送信するユーザーが、自分で設定することができる。
マイナーは、送信されたトランザクションの中から最大報酬を得られるものを選び、マイニングを行う。
「安い手数料で迅速に取引を通して欲しいユーザー」と「できるだけ高い報酬で仕事を引き受けたいマイナー」の需要と供給のバランスでガス代が決まる仕組みになっているのです。
ポイント
Gass Limit(ガス リミット)を高く設定すると、取引を優先的に通すことができるようになる
Gass Limit(ガス リミット)を低く設定することで、手数料を抑えることができるが、取引承認に時間がかかる
Gass Limit(ガス リミット)を極端に低く設定すると、いつまで経っても取引承認が後回しにされ続ける可能性もある
ガス代の確認方法
イーサリアムのガス代を確認する方法は、主に2つあります。
EtherScan(イーサ スキャン)
イーサリアムの取引履歴などを調べることできる便利ツール。
その中にある「gastracker」で、ガス代を算出するためのデータが公開されています。
また、イーサリアムに関連する取引履歴は、ここから全て調べることができます。
現時点でどのdappに取引が集中しているのかがランキングで分かるようになっていたり、 直近1000ブロック分のガス代の推移なども一目で分かったりするので大変便利です。
Eth Gas Station(イーサ ガス ステーション)
現在のガス代と承認時間の目安が3段階で知ることができます。
イーサリアムのガス代とそこにかかる時間をすぐに調べたい時は、とても便利なツールです。
ウォレットに表示されるガス代の目安は時々誤表示されることもあるので、確実に手数料を抑えて取引したい方は、Eth Gas Station(イーサ ガス ステーション)で確認をすることをお勧めします。
イーサリアムのガス代を安く抑える方法
ガス代を低く抑えるために、個人ができることは3つ。
- ガス代が低い時に取引をする
- Gas Limit(ガス リミット)を低く設定する
- レイヤー2(セカンドレイヤー)のネットワークを使う
ガス代が安い時に取引をする
ガス代は曜日や時間帯によって、変動します。
ガス代が高くなる時間を知っておくと、無駄に高い手数料を払わなくて済みます。
基本的には、週末のガス代が低くなる傾向があるようですね。
ガス代の推移を確認するには、Erthereum Gas Priceを活用しましょう。
Gass Limit(ガス リミット)を低く設定する
MetaMaskなどを使う時には、トランザクションを承認する前に「ガス代の確認」が行われます。
このタイミングで、Gas Limit(ガスリミット)の調整が可能です。
「優先度を編集」から、「低・中・高」の3段階を設定することができます。
ここで「低」を選択すれば、ガス代を通常よりも低く抑えることができます。
注意
この手法は、NFTの購入などではデメリットになることもあります。
数に限りがあるNFTを購入する場合、別の誰かがより高いガス代を払うようにトランザクションを送信していた場合、「ガス代だけ払って、NFTは購入できない」ということが起こり得ます。
ガス代は、あくまで「トランザクション送信にかかる手数料」なので、その取引が確実に成立するかどうかとは関係ないのです。
任意のあるNFTは、ガス代を払ってでも購入しておいた方が後々のメリットとなる場合もあります。
「スピードを犠牲にして、ガス代を下げている」ということを覚えておきましょう。
レイヤー2(セカンドレイヤー)のネットワークを使う
ガス代高騰の問題は、イーサリアムネットワークの恒常的な課題でした。
それを解決するために生まれたのが、「レイヤー2(セカンドレイヤー)」という発想です。
これは、本来イーサリアムチェーン上で行っていた承認手続きを一部簡略化してしまうという方法です。
計算量が多くなる部分は、別に開発されたチェーン上で行うことで、取引のスピード上げると共にガス代も低く抑えることができるのです。
このように特定のブロックチェーンの問題を解決するために開発されたブロックチェーンを「レイヤー2・L2・セカンドレイヤー・レイヤー2のチェーン」などと呼びます。
イーサリアムのレイヤー2にあたるのは「Aubitrum」や「Optimism」などです。
それぞれが独自の規格で、イーサリアムのもつ課題を解決しようとしています。
この場合、「Aubitrum」や「Optimism」のレイヤー1にあたるのが「イーサリアム」です。
【参考動画】Rollup!!! 2022年のDeFi主戦場、Ethereum L2を学んで準備しておく会
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
ガス代について正しく理解すると、ブロックチェーン界隈が抱える問題やその解決策として展開されるプロジェクトへの解像度や理解度が格段に高まります。
一つずつ確実に知識を身につけて、クリプト界隈で生き延びる力を高めていきましょう。
本記事が、あなたの知識を増やすきっかけになれば幸いです。
本記事のまとめ
- 仮想通貨の「ガス代」とは、ブロックチェーン上のやり取りをする時に発生する「手数料」のこと
- ブロックチェーンを介した取引全般において発生する
- 手数料は「マイナーへの報酬」「ネットワークの管理・改善・安定性維持」に使われる
- イーサリアムのガス代を低くする方法は「ガス代が安い時に取引をする」「ガスリミットを低く設定する」「レイヤー2のネットワークを使う」