こんにちは、yodakaです。
- Avalanche(アバランチ)って何?
- 特徴や仕組みを知りたい
- 機能や主要なプロジェクトを教えてほしい
- 使うときの注意点やリスクはあるの?
こんな悩みを解決する記事を用意しました。
Avalanche(アバランチ)とは、DeFiに特化したブロックチェーンです。
独自のコンセンサスアルゴリズムを持ち、他のチェーンにはない強みを確立しているAvalanche。
今回は、そんなAvalancheを支える仕組みなどを詳しく紹介します。
本記事を読んで、クリプト界隈で生き延びる知恵を身につけていってください。
本記事を読むと分かること
- Avalancheとは何か?
- Avalancheを使うメリット
- Avalancheの特徴や仕組み
- Avalancheのエコシステム
- Avalanche関連の主要なプロジェクト
- Avalancheを利用する際の注意点やリスク
情報ソース
Twitter公式アカウント(Avalanche)|@avalancheavax
Twitter公式アカウント(Ava Labs)|@avalabsofficial
Avalancheとは何か?
Avalancheとは
DeFiに特化したブロックチェーン
です。
どうしてDeFiに特化する必要があるの?
それは、イーサリアムネットワークを中心にDeFiの経済圏が拡大する中で、様々な問題が発生してきたからです。
ブロックチェーンはその構造上、
- 利用者が増えるほどに通信速度が遅くなる
- ネットワーク利用の手数料が非常に割高になる
- 他のチェーン間でのやり取り(ブリッジなど)をする際にセキュリティリスクが高まる
- ネットワーク自体のセキュリティの堅牢性が疑問視される
- 特定のネットワーク上で作成したアプリを他のネットワーク上で使うことができない
などの課題が指摘されてきました。
これらの課題を解決するために立ち上がったプロジェクトの一つがAvalancheです。
これらの問題の中でも特に
- 効率的かつ安全な通信
- エコシステムの拡大
に力を入れているのがAvalancheです。
Avalancheというプロジェクト理解するためには、その構造を以下の3つに分けて考えると良いです。
- イーサリアムとの互換性でDeFiに特化
- コンセンサスプロトコルの使い分け
- サブネットの開発・構築
本記事では、これら3つについて詳しく解説していきます。
開発・運営チーム
Avalancheの開発・運営を手掛けるのはAva Labs。
ニューヨークとマイアミに拠点を置くウェブサービス開発企業で
世界中の資産をデジタル化すること
を目標に掲げています。
創設者はエミン・ギュン・シラー氏。
So many academics forget that our goal, as a profession, is *not* to publish papers. It's to change the world.
— Emin Gün Sirer🔺 (@el33th4xor) May 23, 2018
Avalancheプロトコルの誕生についてはこちらのインタビュー記事が参考になります。
メンバーは、コンピュータサイエンス・経済・金融・マーケティング・法律の専門家で構成されています。
Andreessen Horowitz、Initialized Capital、Polychain Capitalなどから開発の初期投資を受けたり、Balaji SrinivasanやNaval Ravikantなどの投資家からエンジェル投資を受けたりしています。
Avalancheの他にもCoreというプロダクトを展開しています。
Today marks the first major upgrade to @CoreApp, now supporting Ethereum, all EVM-compatible chains & custom Avalanche Subnets, setting a new standard for multichain user experience on the blockchain.https://t.co/rKCv6xhcZt
— Ava Labs 🔺 (@avalabsofficial) August 8, 2022
Avalancheを使うメリット
Avalancheを利用することによる主なメリットは以下の3つ。
- DeFiに特化したネットワークの活用(イーサリアムとの互換性)
- 高度で堅牢なセキュリティ
- サブネットによる開発・構築のしやすさ
順番に見ていきましょう。
DeFiに特化したネットワークの活用
Avalancheのシステムは1秒間に4,500ものトランザクションを処理します。
これは、Visaのクレジットカードの処理速度(4,000~6,000/秒)とほぼ同等の速度です。
因みに、ビットコインは7/秒、イーサリアムは15/秒。
迅速なトランザクション処理は、ユーザーに快適な利用体験をもたらします。
しかも、Avalancheはイーサリアムの開発言語であるSolidityとの互換性があります。
そのため、双方のネットワーク上に構築されたアプリを連携させて稼働させたり、片方のアプリをもう片方のネットワーク上で稼働させたりすることが容易にできるのです。
DeFiの主戦場であるイーサリアムネットワークを活用して、自身のエコシステムを拡大する
これが、Avalancheの取る戦略の一つです。
様々なDeFiプロトコルが連携してサクサク稼働する点は、非常にありがたいです。
目的に応じた3種類のチェーン
Avalancheネットワークは、プライマリーネットワークを頂点とした3種類の異なるブロックチェーン
- Xチェーン(Exchangeチェーン)
- Pチェーン(Platformチェーン)
- Cチェーン(Contractチェーン)
によって構成されています。
用途別にチェーンを使い分けることで、トランザクションを効率化しています。
高度なセキュリティ
Avalancheは
アバランチコンセンサス
という独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しています。
ビットコインやイーサリアムなどの主要なチェーンがシステムの51%を乗っ取られることがシステム崩壊の臨界点であるのに対し、アバランチコンセンサスでは(理論上)80%のハッキング攻撃まで耐えることができるとされています。
詳しい仕組みは「アバランチの特徴・仕組み」で解説します。
サブネットによる開発・構築のしやすさ
システム開発者はAvalanche goという開発言語を用いて、新たなブロックチェーンを構築することができます。
これによりゼロからブロックチェーン/アプリを構築する手間を省いて、別のネットワークに互換性のあるアプリを組むことができます。
各サブネットは独自のトークンやバリデーターを持っていて、詳細なパラメータ調整なども可能です。
実質的に小さな経済圏を作るようなものですね。
【サブネット開発の詳細はこちらから】
ポイント
- DeFiの流行はイーサリアムネットワークの発展に伴ったものだった。
- 大半のDeFiプロトコルはイーサリアムネットワーク上に存在している。
- ネットワークの利用者が増えるにつれて手数料の高騰や通信の遅延などが問題視されてきた。
- Avalancheは、他のチェーンとは異なる独自の解決策を提案した。
Avalancheの特徴・仕組み
Avalancheはどういう仕組みで稼働しているの?
それでは、Avalancheの特徴的な仕組みである
- アバランチコンセンサス
- 目的に応じた3種類のチェーン
について解説していきます。
アバランチコンセンサス
Avalancheは「アバランチコンセンサス」という独自の仕組みを持っています。
ブロックチェーンは、データを記録していく上でその正当性を検証するための作業が必要です。
Avanlancheがどのようにして
安全性が高く効率の良い検証作業を実装しているのか
を解説します。
ものすごく簡単にいうと
多数決の繰り返し
です。
検証作業の流れは以下の通り。
中央の赤枠の部分「Random Subsampling」が特に重要です。
「Random Subsampling」では
- ひとまとまりのデータをランダムに抽出する
- それらのデータの中で多数決を行う
- データ全体の意見を一番多いものに揃える
- ①〜③を何度も繰り返す
というプロセスが実行されています。
この過程を視覚的に理解したい方はこちらのサイトが役立ちます。
補足
例えば、100人の人間にカレー・ピザ・パスタのどれを食べたいかを聞いたとします。その場合、100人の中からランダムに10人を選んで多数決を取り、その集団の中で最も多い意見がその10人の意見となります。
このプロセスを何度も繰り返すうちに少数派の意見が自然と淘汰されていくことになるため、多数派の意見を簡単に検証できるということになるのです。
目的に応じた3種類のチェーン
Avalancheネットワークの内部は、全体を統括するPrimary Networkを頂点として
- Exchange(X)チェーン
- Platform(P)チェーン
- Contract(C)チェーン
の3種類のチェーンに分かれています。
それぞれの特徴を解説します。
Exchange(X)チェーン
- 資金の送受信に使用されるチェーン
- DeFiでは使用されない
- アバランチコンセンサスプロトコルを実装
- DAG (有向非巡回グラフ)形式でデータを保存する
DAG
Directed Acyclic Graphs。分岐するデータの採用に優先度をつける方法の一つ。最も豊富な情報を正しく提供する上位のブロックを信用するという仕組み。
詳しい解説はDocsを参照。
Platform(P)チェーン
- アバランチのメタデータブロックチェーン
- AVAXをステークしてバリデーターとして機能させる
- バリデーターの調整・アクティブなサブネットの追跡・新たなサブネットの作成を行う
- スノーマンコンセンサスを実装
- 線形のチェーン形態(≒通常のブロックチェーン)を採用
スノーマンコンセンサス
Snowman Consensus Protocol。Avalancheコンセンサスを利用して、チェーンの情報処理に特化したコンセンサスプロトコルです。トランザクションの取りまとめや省略を行うことでより一層効率的なトランザクションを実現しています。
数学的な解説がホワイトペーパーに載っています。
Contract(C)チェーン
- スマートコントラクトとDeFiに使用されるチェーン
- AvalancheのDeFiプラットフォームはほとんどがCチェーン上で動き、メタマスクと互換性がある
- EVM(イーサリアム仮想マシン)に互換性のあるプログラムとして機能(あるいはプログラムを実行)する
- スノーマンコンセンサスを実装
- 線形のチェーン形態(≒通常のブロックチェーン)を採用
目的に応じたチェーンを使い分けることでトランザクションを効率化し、セキュリティも高めています。
【参考:X/P/Cチェーンの違い】
Avalancheのエコシステム
Avalancheネットワーク上には、関連アプリが260種類以上存在します。
カテゴリーも豊富で
- Culture
- DeFi
- EnterPrise
- Exchange
- Gaming
- Infrastructure
- Tools
- Wealth Management
など多岐にわたります。
DeFiのランキングサイトDefiLlamaによると、TVLは17億2千万ドル。
これは、DeFiプロトコル全体におけるTVLのうちの2.96%にあたり、Ethereum ,Tron ,BSCに続いて4番目に大きな数字です。(2022年9月)
Avalancheは、主要なチェーンに名を連ねていると言えます。
ユーザーはAvalancheネットワーク上で
- 仮想通貨のトレード
- 資産運用
- ポートフォリオの管理
- 資金の借入・貸出
- NFTの購入
などを行うことができます。
DeFiにおいて必要なことを充分にカバーしています。
ネイティブトークンAVAX
AVAXはAvalancheが発行しているネイティブトークンです。
その機能は主に以下の3つ。
- 手数料の支払い
- ステーキングによるプロトコルの保護
- ネットワークの基本的なアカウントの単位
また、Avalancheのバリデーターになるためには最低でも2,000AVAXが必要になります。
また、AVAXは発行上限が7億2千万枚(状況によっては変更可能)でトークン自体をバーンする仕組みもあるため、価値を落としにくい設計になっている点も重要です。
Avalanche関連のプロジェクト
Avalanche関連のアプリにはどんなものがあるの?
それでは、Avalanche関連の主要プロジェクトを5つ紹介します。
Trader Joe
Trader Joeは、Avalancheネットワークの中でも特に人気の高いプロジェクトです。
仮想通貨のトレード・流動性提供・ファーミング・レンディング・ステーキングなどいったDeFiにおける基本的なことができます。
Twitterアカウントでは、DeFi関連用語の情報なども発信しています。
Liquidity Book: DeFit Learning 🧵 #3
Impermanent Loss (IL) is something all liquidity providers on constant function AMMs have to deal with in one way or another.
But what exactly is it, and how does Liquidity Book aim to mitigate it through the innovative Surge Pricing? pic.twitter.com/juldJK1zfm
— Trader Joe🔺 | New AMM Soon 🌊📘 (@traderjoe_xyz) September 8, 2022
Trader Joeの詳しい解説はこちらから。
Pangolin
PangolinはUniswapの派生系プロトコルで、AMM(Automated Market Maker)として機能します。
仮想通貨のスワップ・流動性提供・ステーキングなどができます。
トークンの指値注文やスーパーファームなどの独自の機能を備えているのが特徴です。
公式ブログではシステムの開発や進捗状況などが積極的に発信されています。
Yield Yak
Yield YakはAvalancheネットワークでのDeFi利回りを加速させるファーミングプロトコルです。
自動複利運用機能を活用して、効率よく資産を増やすことができます。
2022年5月からは、AVAXのリキッドステーキングにも対応しているので、高効率の利回り獲得も狙うことができます。
Yield Yakの解説はこちらから。
BENQI
BENQIはAvalancheネットワークにおける最大級のレンディングプロトコルの一つです。
イーサリアムネットワークにおけるAaveなどに近い存在で、AvalancheネットワークのTVLランキングでも常に上位に位置しています。
BENQIにもリキッドステーキングの機能があり、Avalancheネットワーク全体に資金の流動性をもたらしている重要なプロジェクトの一つとして注目されています。
BENQIの解説はこちらから。
OpenBlox
OpenBloxはイーサリアムネットワークに構築されたNFTゲームのプラットフォームです。
2022年8月、OpenBloxがAvalancheネットワークで新規タイトルをリリースすることが発表されました。
OpenBoxは、現在、RUNBLOX,RogueBlox,Landoblox,Actionbloxなどのゲーム開発を手掛けています。
RUNBLOXは既にベータ版でローンチされて、Walk to Earn系のアプリとして利用可能です。
NFTゲームはDeFiとの相性が良いので、今後の開発が期待できる分野です。
Avalancheに関連する注意点やリスク
Avalancheネットワークを使う時に気をつけることはあるの?
では、最後にAvalancheネットワークを使うときの注意点やリスクをまとめます。
システムの脆弱性
新規プロトコルには時々あることですが、そのシステムが広く使われるようになると致命的な欠陥が見つかることがあります。
2022年9月当初も、プロトコルの致命的な欠陥を4日間ほどかけて修正するという事態がありました。
【事件の概要はこちらから】
関係機関の連携対応によって被害額は0で収まっていますが、今後も同じようなことが起こるリスクが消えたわけではありません。
多くの場合、バグバウンティプログラムにより匿名のユーザーであっても欠陥の報告・修正によって報酬を得られる仕組みを整えています。
今回の事態は、その制度のおかげで致命的なダメージを負わずに済みました。
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
AvalancheがDeFi特化型のブロックチェーンとしてポジションを確立していることをお伝えしました。
本記事の内容が参考になれば幸いです。
本記事のまとめ
- AvalancheはDeFi特化型のブロックチェーン
- ネイティブトークンはAVAX
- Ava Labsという公式の企業が運営・開発を手掛ける
- イーサリアムネットワークへの高い互換性がある
- Avalancheのシステムを利用してイーサリアムネットワークに対応したアプリ/ネットワークの開発ができる
- アバランチコンセンサスという独自のコンセンサスアルゴリズムを持つ
- ネットワーク内部はXチェーン/Pチェーン/Cチェーンに役割を分担して稼働する
- ネットワーク外部からの攻撃に非常に強い耐性を持つ
情報ソース
Twitter公式アカウント(Avalanche)|@avalancheavax
Twitter公式アカウント(Ava Labs)|@avalabsofficial