今回は、DeFiにおける重要なDEXの一つ、Bancor(バンコール)について解説します。
一言で言うなら、Bancorとは「防御力に特化したDEX」です。
本記事は「Bancor(バンコール)について、詳しく知りたい」という方の助けとなる内容であり、クリプト・仮想通貨・DeFiについて深く理解することにも繋がります。
ぜひ、最後まで読んでみて下さい。
本記事を読むと分かること
- Bancor(バンコール)とは何か?
- Bancor(バンコール)の特徴・仕組み
- Bancor(バンコール)の使い方
- Bancor(バンコール)を使うメリット・デメリット
- リスクとその対策
情報ソース
@Bancor←Twitter公式アカウント
Bancor Governace Forum←Bancorの在り方についての議論を覗くことができます。
Blogmates|A Complete Guide to Bancor 3 Dawn← Bancor以外にも様々なプロジェクトの学習ができます。無料サイトですが、内容は有料級です。
Bancor(バンコール)とは何か?
Bancor(バンコール)とは、DeFiにおけるイーサリアム系のDEX(分散型取引所)の一つです。
主に「仮想通貨のトレード」と「仮想通貨の流動性提供・ステーキング」を行うことができます。
TVLは、2022年5月の時点で約18億ドル。全DEX中、ランキングは9位です。
初めてローンチされたのは、2017年6月。
今でこそ、様々なDEXが有名になっていますが、その出発点を作ったのがBancor(バンコール)です。
つまり、Bancor(バンコール)は、DeFi史上初のAMM(自動マーケットメーカー)なのです。
【AMMの実例】【手順を解説!】Uniswap(ユニスワップ)で始めるDeFi入門【初心者でも安心】
2022年5月初頭に、BancorV3がローンチされました。
今後、2度のアップデートを予定しています。
ETH、DAI、LINK、BNTの運用利回りが高く、これらの仮想通貨を所持している方にとっては、使用を検討するDEXの一つと言えます。
Bancor(バンコール)の特徴・仕組み
Bancor(バンコール)には、他のDEXにはない特徴があります。
そして、それらの設計は「ユーザーに損をさせないこと」に集約されています。
順番に見ていきましょう。
シングル・サイド(片面)ステーキング
バンコールは、単一のトークンで流動性提供を行うことができます。
これは、他のDEXにおけるステーキングだと思ってもらえばOKです。
ものすごく単純に説明すると「それぞれのプールをまとめ上げて機能させる」というシステムを採用しているのです。
通常、流動性提供をするためには、仮想通貨のペアで預入をする必要があるのですが、バンコールではその必要はありません。
そのため、ペアの通貨の価値が変動した時に発生する「インパーマネントロス」のリスクを下げることにつながります。
これを可能にしているのは「オムニプール」というシステム。
BNTというトークンを仲介して、プール全体の流動性を実現しています。
インパーマネントロスからの保護
バンコールは「ユーザーに生じたインパーマネントロスを補填する仕組み」を採用しています。
損失補填は、「プロトコル自体が獲得した手数料等の利益」から支払われ、ユーザーが預け入れていたトークンで対応されます。
しかし、ここで注意しておきたい点は「その利益がユーザーの損失を補填するのに充分でなかった時にどうなるか」です。
その場合は、バンコールが発行するBNTトークンで一部補填されることになります。
補足
DEXが発行するトークンは、一般的には価値が付きにくく「そのDEXから撤退しようというユーザーにとって価値が高いかとどうか」という点は、しっかり検討する必要があります。
バンコール自体に高い価値が認められていれば、BNTも価値が高まりますし、そうでなければBNTの価値も自然と下がる仕組みになっています。
この「BNTをどのように運用するか」という点に注目していく必要があります。
自動複利計算
預けられた資金は、オムニプールの中で自動的に利回りが最適化された状態で運用されます。
バンコールと結びついた複数のサービスで運用されることによって、利回りを得るというシステムです。
また、引き出しの申請を出してから引き出せるようになるまで、7日間かかります。
引き出し手数料は、0.25%かかるので、預け入れの期間との兼ね合いを考えてから利用しましょう。
補足
例えば、10%の年利がある場合、10÷365=0.02739...で、1日あたりの利回りは約0.027%です。
引き出し手数料の0.25%を上回るためには、0.25÷0.027=9.259...で、手数料を支払うためには、約10日間の預け入れが必要ということになります。
これに加えてイーサリアムのガス代などがかかるため、損益計算は各自の資金力に応じてきちんと計算してから運用しなければなりません。
低料金の手数料
トレードや手続きにかかる手数料が,比較的低料金です。
これは、プロトコル内部での手続きを一本化しているからです。
手数料が設定されているので、状況によっては他のDEXよりも割安な手数料で取引ができる場合があります。
トレードの時は、MatchaなどのDEXを使って、取引手数料の比較をすると良いですね。
Bancor(バンコール)のエコシステム
そのDEXが「どんなサービスと結びついているのか」を理解しておくことは、とても重要です。
ざっと確認すると、DeFiプロトコルとの結びつきが目立ちますが、企業も関連しています。
(例えば、BATの発行元であるBrave Softwareは、Webブラウザを開発している企業)
他のサービスとのつながり
Bancor(バンコール)は、クリプト界隈の有力なプロジェクトと強い結びつきを持っています。
yearn(ヤーン)やChainLink(チェーンリンク)などは、DeFiに関わったことのある人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
特に、ChainLink(チェーンリンク)は、様々なDEXに情報提供する役割(オラクル)を担っているので、DEXの作り出すエコシステムの信頼性の指標の一つとなります。
ステーキングの対象としてLINKトークンを扱っていることから、ChainLink(チェーンリンク)とのリスク共有の関係にあると考えられます。
オラクルの説明については、以下の動画が分かりやすいです。
マネーレゴ
BNTはバンコールが発行するトークンです。
そのため、BNTの価値を維持し続けるエコシステムの形成は最重要課題です。
BNT自体に高い価値を持たせるプロトコルが実装されることで、Bancorの更なる発展が期待されます。
今後は、Polygon(MATIC)、BRAVE(BAT)、Synthetix(SNX)などのプロジェクトと関連したサービスが展開されていく予定です。
Bancor(バンコール)の使い方
準備:ウォレットを用意する
一般的な方法としては、メタマスクなどの個人ウォレットを使う方法があります。
メタマスクのアカウント作成方法は、以下の記事を参考にしてください。
また、「仮想通貨の取引所と直接結びついたウォレット」を接続して使うこともできます。
トレード
仮想通貨のトレードができます。
①ウォレットを接続→②「Trade」をクリック。
①「交換元の仮想通貨」と「交換したい量」を入力→②「交換先の仮想通貨」を選択→③「Trade」をクリック。
※「扱うのが初めてのトークン」の場合は、アクセス権限を承認する手続きが必要です。
流動性提供(ステーキング)
流動性の提供の手順も簡単です。
「Earn」の画面から、預け入れる仮想通貨を選択。今回は、ETHを選びます。
①金額を入力→②Deposit ETHをクリック。
ウォレットが立ち上がるので、ガス代などを確認してから「確認」をクリック。
以上で、預け入れは完了です。
Bancor(バンコール)を使うメリット・デメリット
メリット
シンプルで使いやすい
様々なDEXと比較して、操作が単純で使いやすいです。
インターフェースも洗練された作りになっていて、操作に迷いが生じにくいのも嬉しいですね。
安定性が高い
大きな利回りは狙えない代わりに、比較的高い安定性を実現しています。
徹底的に「ユーザーの損を減らす」設計になっているので、長期間の投資をしたい方にとって、この点は非常に魅力的です。
「損失回避」や「引き出し手数料の相殺」などを考慮すると、半年程度保有しておきたいトークンについては、Bancorがその預け入れ先の選択肢になり得ます。
サイト内でポートフォリオを見ることができる
今後は、サイト内にて、ポートフォリオの確認ができるようになる予定です。この記事を執筆している2022年5月中旬は、未実装です。
この機能が実装されると、「利益率」などが一目で分かるようになるようです。
単一のDEX内で、ポートフォリオを確認できると、資産運用がより楽になります。
取引所のウォレットと繋げることができる
特定の取引所のウォレットと直接接続が可能です。(2022年5月現在は、海外の取引所限定)
これは、Bancor以外のDEXには、なかなか見られない特徴です。
ステーキングに指定されている仮想通貨を長期ホールドしている方にとっては、資産運用がよりスムーズになります。
↓「Buy crypto with fiat」から、対応しているサービスを確認することができます。
デメリット
資金をすぐに引き出せない
引き出しの申請をしてから、実際に引き出しができるようになるまで7日間かかります。
これは、取り付け騒動などの対応策にもなっていると考えられます。
急な出費に必要な額をBancorに預け入れるのは、得策ではありません。
イーサリアムのリスクを継承している
Bancorは、イーサリアムチェーン上で動いています。
そのため、イーサリアム自体が倒れたり、勢いを失ったりするとそのリスクを直接被ることになります。
イーサリアム関連の情報は、こまめにチェックしましょう。
リスクとその対策
DeFi特有のリスクについては、以下の記事を参考にしてください。
本項では、「Bancor(バンコール)を利用する際のリスク管理」についてまとめます。
関連するサービスの動向に目を向ける
特に大きなプロジェクトは、yearn(ヤーン)とChainLink(チェーンリンク)。
yearn(ヤーン)は、利用者の多いDEXであり、ChainLink(チェーンリンク)は、様々なDEXに情報を提供するオラクルです。
少なくとも、この2つのプロジェクトの動向やトークン(YFIやLINK)の値動きには、気を配る必要があります。
フォローしたい情報ソース
@chainlink←chainlinkのTwitter公式アカウント
@iearnfinance←yearnのTwitter公式アカウント
イーサリアムの情報を集める
イーサリアムのリスク継承対策は非常にシンプルです。
イーサリアム界隈の動向に注意を向けて情報収集をすれば良いのです。
Twitterや公式サイトでイーサリアムの情報集めから始めましょう。
まとめ
Bancor (バンコール)は、ユーザーの損失回避に徹底的に注力しているプロジェクトであるということをお伝えしました。
有力なDEXやサービスと連携することで、アルトコインに流動性を生み出すことができることも魅力の一つ。
DeFi界隈でも、際立った個性を持っている注目プロジェクト!
今後の動向をしっかりを追いかけていきたいです。
個人的には、アバランチチェーン上で実装されたりしたら、積極的に活用してみたいと思います。
本記事のおさらい
- Bancor (バンコール)は、損失回避に特化したDEX
- イーサリアムチェーン上で動いている
- インパーマネントロスの消失を実現している
- 幅広いエコシステムを形成しており、今後の成長が期待される
- シンプルな使用感で、初心者にも扱いやすい