こんにちは、yodakaです。
- zkSync(ジーケーシンク)って何?
- なぜ、注目されているの?
- 使い方を知りたい
- 注意点やリスクを教えてほしい
こんな悩みを解決する記事を用意しました。
zkSync(ジーケーシンク)とは、イーサリアムネットワークをより便利に使えるようにするためのプロジェクトです。
イーサリアムネットワークは、現在も拡張を続けていますが、ユーザーが増えるにつれて様々な問題が浮き彫りになってきました。
例えば、ガス代(手数料)の高騰や処理性能の低下、セキュリティの確保などです。
これらの問題解決にあたるプロジェクトは、総称して「L2(レイヤーセカンド)」と呼ばれます。
【L2の解説はこちらから】
そのうちの取り組みの一つが「zk-Rollup」であり、「zkSync」はその中で最も注目を集めているプロジェクトの一つです。
その最大の特徴は「ゼロ知識証明」という暗号技術を使っているということ。
Rollup関連のプロジェクトとしてはOptimismやArbitrumが有名ですが、それらとまた違ったアプローチを試みているのが「zk-Rollup」です。
【Rollupの解説はこちらから】
イーサリアムの創設者「ヴィタリク・ブテリン」も自身のブログの中で「zk-Rollupの有用性」についてに言及しています。
【ヴィタリクのブログはこちらから】
zk-Rollupは、再注目の技術の一つです。ゼロ知識証明についての理解を深めることで、仮想通貨界隈で生き残る知恵を磨くことができます。
本記事を読むと分かること
- zkSyncとは何なのか?
- ゼロ知識証明とは?
- zkSyncの関連プロジェクト
- zkSyncを使うメリット
- zkSyncの具体的な使い方
- 使う時の注意点やリスク
情報ソース
zkSyncとは何なのか?
「zkSync」は、zk-Rollupプラットフォームです。
イーサリアムネットワークをより便利に使えるようにする機能があります。
「zkSync」を使うと、イーサリアムネットワークのアプリケーションを高いセキュリティを維持したまま非常に低コストで利用できるようになります。
開発を手掛けるのは「Matter Labs」。
レイヤー2のランキングサイト「L2BEAT」では、第6位に位置しています。(2022年8月)
Rollupという技術
「Rollup」とは、メインのネットワーク上で行うトランザクションの一部を巻き取り、別のネットワーク上で処理した後、その記録だけをメインネットワーク上に送信する仕組みのことです。
Rollupを実行することでメインネットワークにかかる負担を減らすことができるため、手数料の削減や処理速度の高速化ができるのです。
zkSyncは、イーサリアムネットワーク上で行う処理を巻き取り、zkSyncが構築するネットワーク上で行います。
それによって、データ処理にかかるコストを低下させ、ガス代(手数料)を大幅に削減したり、送金にかかる時間を短縮したりすることができます。
zk-Rollupでデータの正当性を証明
zk-Rollupの最大の特徴は、メインネットに送信されたデータの正当性を確認するする必要がないということです。
これを可能にしているのが「ゼロ知識証明(zero-knowlege proof)」という暗号化技術です。
これは、データを送信する段階で、「その情報は正しい」ということを自動的に証明してしまう技術です。
Optimistic
zk-Rollupとは別の方法として、「Optimistic Rollup」という方法があります。
これは、Rollupで送信されたデータの正当性を「バリデーター(検証者)」が検証申請をできる期間を設けています。
rollupを行った時に不正が行われていたことを証明できれば、それを指摘したユーザーに報酬が出され、不正なデータは無効になるというシステムです。
OptimismやArbitrumなどに採用されている方法で、2022年8月現在、主流になっているRollupです。
「一旦、データを提出してから、後でそのデータの正当性を確認できる期間を設ける」というアプローチは、「初めからデータの正当性を保証している」zk-rollupとは対照的です。
ゼロ知識証明とは?
- 「ゼロ知識証明」って何?
- どんな仕組みになっているの?
ここからは、「ゼロ知識証明」の仕組みについて詳しく解説していきます。
ゼロ知識証明とは
明かしたくない情報を隠したまま自分が証明したい情報を相手に証明できる技術
です。
ゼロ知識証明がもたらす具体的なメリットは、以下の2点。
- データの正当性を後から検証する必要がない
- ユーザーのプライバシーが守られる
Optimistic Rollupとの最大の違いはここにあり、zk-Rollupが注目を集める理由でもあります。
データの正当性
ZKとは「Zero Knowlege」の略。
ゼロ知識証明では、圧縮したデータを取りまとめてメインチェーンに送信する過程で「そのデータは間違いなく正しい」ということをあらかじめ織り込んでしまうのです。
その結果、「ユーザーはデータを持っていますが、その中身を見せなくても中身が正しい」ということを証明することができます。
現在は、デジタル署名などで実装されている技術です。
その仕組みを説明していきます。
初めに要旨を伝えておくと
何度も検証作業を繰り返して、確率論的に確からしいことを証明すること
が「ゼロ知識証明」の検証プロセスです。
ジャン・ジャックの洞窟
最もよく使われる例え話が、「ジャン・ジャックの洞窟」です。
これは、ベルギーの暗号学者であるジャン・ジャック・キスケータが提案したものです。
前提
- 証明者P(Prover)は、洞窟の奥にある扉を開く鍵を持っている
- 検証者V(Verifier)は、Pの持っている鍵を見ていない
- PもVも洞窟の奥にある扉が鍵を使わなければ開けられないことを知っている
この前提の下で、「証明者P(Prover)が検証者V(Verifier)に自分が鍵を持っていることを鍵を見せることなく証明したい」と仮定します。
まず、Pは洞窟に入り、AかBのどちらかのルートを選んで奥まで進む。この時、VはPがどちらのルートを選んだのかを知らない。【図1】
次に、Pが完全に奥まで進んだ辺りで、Vは分岐路まで進み、Pが戻る道をAかBのどちらかのルートを指定して呼びかける。【図2】
この時、VはPが鍵を開ける瞬間を見ていないということが重要です。
この場合、Pは鍵を持っているので、扉を開けてAのルートから戻ることで、鍵を持っていることをVに証明できる。【図3】
図1〜3の作業を何度も繰り返し、毎回Vの指定通りにPが戻ってくることができれば、Pは鍵を見せることなくVに鍵を持っていることを事実上証明できるというわけです。
もし、Pが鍵を持っていなければ、Bのルートで戻ることになり、鍵を持っていないことがVにバレてしまいます。
つまり、「ゼロ知識証明」とは
膨大な回数の検証作業の結果、証明者が嘘をついている可能性が限りなくゼロに近いから、その主張が真実である
という証明方法なのです。(実際にはもっと複雑なプロセスがありますが、大枠としてはこんな感じです。)
補足
この方法とは別に「非対話式」という検証プロセスもあります。
【参考:zkSyncを見て学ぶ】
zkSyncの関連プロジェクト
zksyncは新しいプロジェクトです。
興味深いアプリ・関連プロジェクトがいくつかあるため、その中から5つを紹介します。
【zkSync関連のアプリについてさらに詳しく知りたい方はこちらから】
Argent
Argentは、仮想通貨のウォレットアプリです。
MetaMaskなどのように、個人が仮想通貨を管理するために使うことができます。
イーサリアムのレイヤー1では、既に広く使われているアプリです。
主要なDEXであるAaveやYearnなどの機能を一部利用することができます。
BANXA
BANXAは、仮想通貨サービス決済プロバイダーです。
つまり、顧客を様々な仮想通貨サービスと結びつけるプロジェクトです。
BANXAを通して、様々な仮想通貨サービスの見積りを算出することもできます。
本格的に仮想通貨運用をする際に、プロジェクトの実態を知るという目的でも活用できます。
Ramp
Rampは、仮想通貨の購入アプリです。
クレジットカード(Visa、MasterCard)やApplePayで決済を行うことができます。
サポートしている法定通貨は、USD(米ドル)、EUR(ユーロ)、GBP(英ポンド)。
自身の居住地を選んで、これらの法定通貨立ての価格で、仮想通貨の購入ができることが特徴です。(現在、日本は非対応)
扱う暗号通貨は、BTC、ETHなど数十種類に及びます。
ZigZag
ZigZagは、仮想通貨のトレードができるDEXです。
中央集権的な存在を持たずに自動的に板取引が行われる場として機能します。
ユーザーがそれぞれに注文(オーダブック)を出し、それらが処理されていくという点は一般的な取引所の仕組みとよく似ています。
WBTC、ETH、主要なステーブルコイン(USDC、DAI、USDTなど)を取り扱っています。
ZKNFT
ZKNFTは、NFTの取り扱いに特化したアプリです。
NFT同士の交換、NFTの発行(Mint)、所持しているNFTの表示などができます。
また、気に入ったNFTがあれば、ETHで購入希望(Offer)を出すこともできます。
zkSyncを使うメリット
手数料の削減
zkSyncを使うことで、トランザクション手数料を削減することができます。
トランザクションコストは、以下の2つの合計で算出されます。
- オフチェーン部分では、0.001米ドル
- オンチェーン部分では、約0.4Kガス
これは、イーサリアムメインネットで請求されるガス代よりもはるかに低額です。
また、手数料の支払いは転送するトークンで請求されます。
例えば、DAIを送金したい場合はDAIで、USCDを送金したい場合はUSDCで請求されるということです。
イーサリアムメインネットではガス代をイーサで請求されるため、ガス代としてのイーサを常にウォレットに確保しておく必要がありました。
つまり、ガス代が不足しているとトランザクションを送信できないということが起こり得るということ。
しかし、zkSyncはその心配はありません。予備のイーサを確保しておかなくても取引を行うことが可能です。
【参考:トークンと手数料|zkSyncのDocs】
資金の引き出しが早い
zkSyncは、資金の引き出しにかかる時間が10分〜7時間です。
これは、OptimismやArbitrumでの資金の引き出しに7日間かかることと比べると、非常に早いと言えます。
仮想通貨界隈は流れの早い場なので、短期トレードなどで身軽に動きたい方は、素早い資金の移動が可能であるということは大きなメリットとなります。
プライバシーの保護
ブロックチェーンは、その技術特性上、ユーザーの取引履歴や所有している資産などのデータが第三者にも見えてしまいます。
つまり、現実世界以上にプライバシーが希薄化している世界なのです。
この点をカバーするのが「ゼロ知識証明」です。
プライバシーの保護は「ゼロ知識証明」の強みの一つです。
明かしたくない情報を隠したまま自分が証明したい情報を相手に証明できる
ユーザーは、開示したい情報だけを選択して、個人のプライバシーを適度に保つことができます。
クレジットカードが使える
zkSyncは、クレジットカード会社との連携も視野に入れています。
新規ユーザーを呼び込む活動は、新しい領域を作る上で欠かせません。
NFTの購入なども、クレジットカード決済で行えるようになれば、マーケットに新規ユーザーを呼び込むことができます。
中央集権的な金融の在り方から徐々に分散型の金融にシフトしていく架け橋を作ることも同時並行的に行なっているという点で、DeFiの経済圏拡大を狙っていると考えて良いでしょう。
エアドロップの可能性
プロジェクトの初期段階から、アプリを利用していたユーザーには独自トークンが配布される可能性があります。
これは、DeFi界隈では珍しいことではありません。
UniswapやOptimismなども、初期ユーザーには独自トークンを配布しています。
トークン配布が必ずしも行われる保証はありませんが、新規プロトコルを触るということは、自身の経験値を高めるだけでないメリットもあるということを覚えておくと、新しいプロトコルを余剰資金で触ってみるインセンティブにもなります。
資金や時間に余裕があるのなら、期待できそうなプロジェクトを早い段階で触っておくことには大きなメリットがあります。
zkSyncの具体的な使い方・始め方
zkSyncを使い始めるためのステップは以下の通り
- ウォレットアカウントを作る
- ウォレットに仮想通貨を送金する
- zkSyncに接続してブリッジする
ウォレットアカウントを作る
まずは、MetaMaskやArgentなどの仮想通貨ウォレットを作成しましょう。
具体的な手順を以下の記事で解説しているので参考にしてください
参考記事
ウォレットに仮想通貨を送金する
次に、必要な仮想通貨を準備して、ウォレットに送金します。
仮想通貨を準備するにはいくつかの方法がありますが、初心者が最も簡単にできるのは「取引所で購入する」ことです。
すでに何らかの仮想通貨を持っている方は、スワップしたりトレードしたりするのも良いですね。
私が使っている仮想通貨取引所での購入方法を紹介しているので、参考にしてください。
参考記事
zkSyncに接続してブリッジする
zkSyncのサイトに移動し、「Open Wallet」をクリック。
使用するウォレットの種類を選択。今回はMetaMaskを使うのでEthereumWalletを選択します。
MetaMaskを選択。
「+ Top up」をクリック。
Bridge欄から「zkSync」を選択。
金額を入力して、「Top up」をクリック。MetaMaskに承認(aproove)して手続き完了です。
使う時の注意点やリスク
zkSyncは新しいプロジェクトであるため、開発陣やユーザーが予期しないリスクが発見される可能性があります。
そのことを前提に扱うようにしましょう。
中央集権的管理者の存在
zkSyncには、オペレーターが存在します。
これは、ネットワーク自体を成長させるために不可欠なフェーズでもあります。
しかし、システムの管理者は、事実上、任意のタイミングでシステムを停止させることが可能です。
zkSyncのネットワークの管理権限は、今後段階的に分散していく予定ですので、ロードマップやシステム開発の経過を確認することで、ユーザー自身がリスク管理をすることが重要です。
【zkSyncのロードマップ解説はこちらから】
対応アプリの少なさ
ArbitrumやOptimismなどのL2ソリューション(Optimistic Rollup系)と比べると、zk-Rollup対応アプリの数は多くないというのが現状です。(2022年8月)
特に、仮想通貨の運用で大きな利益を出す際には、その経済圏に投入されている資金が流動性を生み出しているかという点が非常に重要です。
zk-Rollup自体は非常に優れた技術であるため、今後の発展可能性には期待が集まっています。
zk-Rollupに対応したアプリの開発や拡散とともに、徐々に運用資金を増やしていくのが堅実な運用方法です。
プログラムのバグ
新しいプロジェクトについて回るリスクです。
充分に多くのユーザーを獲得していない段階では、システムの穴が発見される可能性も低くなります。
プログラムの欠陥をついて、悪意あるハッカーが資金やトークンを盗み出す可能性があるため、巨額の資産を投入しないようにするのが賢明です。
ただし、プログラミングの知識があれば、スマートコントラクトに直接働きかけることで、資金やトークンを動かすことができる場合もあります。
また、バグの発見・報告者には報奨金が出るプログラムも実装されているので、興味のある方は参加してみるのも良いかもしれません。
【参考:Bug Bounty Program】
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
ZkSyncは、「ゼロ知識証明」を利用した技術であることをお伝えしました。
「zk-Rollup」はイーサリアムネットワークの成長可能性をさらに高めていくための有力なプロジェクトとして注目を集めています。
本記事があなたの仮想通貨運用の参考になれば幸いです。
もっと詳しく知りたい方はこちらの動画も参考になります。zkSync ホワイトペーパー読書会
本記事のおさらい
- zkSync(ジーケーシンク)とは、イーサリアムネットワークをより便利に使えるようにするためのプロジェクト
- 今後の開発に注目が集まるプロジェクトの一つ
- 「ゼロ知識証明」という技術をベースにして稼働する
- 特に「プライバシーの保護」という点で強みを発揮できる
- 既に稼働しているアプリケーションもある
- 開発途上であるため、運用にはリスクが伴う
情報ソース