こんにちは、yodakaです。
- Arbirrum(アービトラム)って何?
- なぜ、注目されているの?
- 使い方を知りたい
- 注意点やリスクを教えてほしい
こんな悩みを解決する記事を用意しました。
Arbitrum(アービトラム)とは、イーサリアムネットワークをより便利に使えるようにするためのプロジェクトの総称です。
イーサリアムネットワークは、様々な方法で拡張され続けています。
【イーサリアムの解説はこちらから】
特に、手数料の高さや処理性能の低下などは大きな課題とされていて、それらを解決する様々な取り組みをまとめて「L2(レイヤーセカンド)」と言います。
【L2の解説はこちらから】
Arbitrumは、最も注目されているL2のプロジェクトの1つです。
仮想通貨やDeFiに触れる方なら、知っておいて損はありません。
確かな知識を身につけて、クリプト界隈を生き延びる強さを磨きましょう!
本記事を読むと分かること
- Arbitrumとは何なのか?
- Arbitrumの関連プロジェクト
- ArbitrumのOdyssey(オデッセイ)とは?
- Arbitrumを使うメリット
- Arbitrumの具体的な使い方
- 使う時の注意点やリスク
情報ソース
-
Arbitrum(アービトラム)解説 - イーサリアムのオフチェーンスケーリングソリューション
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Arbitrumとは何なのか?
Arbitrumとは、イーサリアムネットワークの働きをサポートするプロジェクトの総称です。
開発元はOffchain Labs(Twitter公式アカウント→@Offchain Labs)。
2021年にArbirrumとしてベータ版としてローンチ。
現在は「Arbitrum One」としてユーザーに利用されています。
Arbitrumは、ガス代の削減や高速なトランザクションを実現するためにトランザクションの一部を巻き取って処理することから「Rollup(ロールアップ≒巻き取る)」とも呼ばれます。
【Rollupの解説はこちらから】
一般的には、「イーサリアムのレイヤー2スケーリングソリューションの1つ」という位置付けです。
L2関連のプロジェクトのランキングサイト「L2BEAT」にて、第1位の実績を誇ります。
関連プロジェクトは、200種以上。
これは、L2ネットワークの中ではトップクラスの豊富さで、Arbitrumが実用に即したものであることを示しています。
補足
競合として「Optimism」が挙げられます。Arbitrumとの違いを比較しながら、重点的に使うものを検討してください。
【Optimismの解説はこちらから】
機能:Bridge「Arbitrum Bridge」
Arbitrum Bridgeは、仮想通貨を別のネットワーク上に移すブリッジプロトコルとして機能します。
例えば、イーサリアムネトワークでUniswapを使うと手数料が高いので、資金をArbitrumネットワークにブリッジしてからArbitrum上のUniswapを使って、手数料を抑えるといったケースが考えられます。
仮想通貨の賢いDeFi運用を検討している方にとっては、Arbitrumの利用は一つの有力な選択肢です。
Arbitrum Bridgeを使うことで、あなたの持っている仮想通貨をアービトラムネットワーク上にブリッジする(移す)ことができます。
そして、ブリッジした資金は、アービトラムでサポートされている様々なdApps・DEXで運用することができます。
Arbitrumネットワークで利用できるdAppsは大変豊富なので、イーサリアムメインチェーンの手数料の高さやトランザクションの遅延に悩んでいる人にとっては、かなり魅力的なのです。
仕組み①:Optimistic Rollup
Rollupによって、複数のトランザクションを取りまとめて送信することにより、ガス代を分散させることができます。
そのため、一人当たりのガス代を安く抑えることができます。
Rollupという技術には、メインネットのセキュリティシステムを継承できるという強みもあります。
そして、イーサリアムは既に充分な拡散性とセキュリティを獲得しています。
また、メインネットのアップデートにもスムーズに対応できるというメリットもあります。
そのため、Arbitrumのように、メインネットのセキュリティを継承しつつ、機能をサポートするというアプローチは非常に合理的です。
仕組み②:複数回の検証作業
Arbitrumが採用しているのは「Optimistic Rollup」。
このシステムが稼働するには、「取りまとめて送信されたデータが正しいものである」という前提があります。
Optimistic Rollupでは、「誰かが不正を行った」と判断したら、バリデーターと呼ばれる検証権限を持つ人が「不正検証の申請」をArbitrum側に提出して、検証作業を実行させることができます。(この時、一定額の掛け金も必要です)
この一連の流れを「チャレンジ」と呼びます。
- 「L2で処理されたデータに不正がある」と思った人は、そのデータを検証してほしいという申請を一定額の掛け金とともに提出する
- 最長1週間程度の検証作業を行う
- 検証作業の結果、そのデータに不正が見つかれば、トランザクションが削除され、別の提案に書き換えられる
- データに不正が見つからなければ、賭け金は没収され、チェーンの記録はそのまま進行する
②の検証作業は、複数回のやり取りが行われます。
Arbitrumの検証作業の流れは、以下の図のように進行します。
①において、最初の提案がプロトコルに承認されると、検証作業プロセスが開始されます。
そのやり取りの結果、主張の正当性が認めたられた方に掛け金の半分が渡され、残りの半分はバーン(消去)されます。
この仕組みによって、両方の可能性に欠けて資金を掛け金を共謀して回収することも不可能になります。
【参考1:ロールアップの概要|Arbitrum Docs】
【参考2:ロールアッププロトコル|Arbitrum Docs 】
サイドチェーンとの違い
Arbitrum One自体を、明確にサイドチェーンと定義することはできません。
「Rollup」を例えるなら、メインネットとサイドチェーンの中間に位置するようなものです。
メインネットの堅牢なセキュリティを継承しつつ、トランザクション手数料はサイドチェーンよりも割高です。
この点は、セキュリティと手数料コストがトレードオフであることを示しています。
一般的には、メインチェーンとの繋がりが遠ざかる程、セキュリティの堅牢性は低下します。
Arbitrum自体は、サイドチェーンではありませんが、関連プロジェクトの中にはサイドチェーンに分類されるものもあり、それぞれにリスクが異なります。
「メインチェーンとの関係性」は、リスク管理の一視点として、意識しておくと良いでしょう。
Arbitrumの関連プロジェクト
Arbitrum関連のプロジェクトは200種類以上あります
ここでは、DeFi関連のプロジェクトを5つ紹介します。
Uniswap
仮想通貨の交換や流動性提供などが行えるDEX。
DeFiプロジェクトの中では、最も有名なプロジェクトの一つで、現在もバージョンアップを重ねています。
2022年後半には、NFT取引にも対応する予定です。
【Uniswapの解説はこちらから】
Aave
仮想通貨の銀行がAaveです。
Aaveの強みは、仮想通貨のレンディングサービス。
預け入れた資産を担保にして、仮想通貨を借りることができます。
借りたお金をさらに別のDEX で運用して、資産運用の効率を高めるために使うDEXです。
【Aaveの解説はこちらから】
Curve
Curveは、ステーブルコインの交換を低い手数料で行うことができるDEXです。
ステーブルコインの交換をするならCurve一択と言って良いほど、有名なプロジェクトです。
また、流動性提供をしたことによって発行されたトークンをConvexなどのDEXで運用することで、さらに高い利回りを生み出すために利用することもできます。
【Curveの解説はこちらから】
Balancer
Balancerは、ポートフォリオの自動調整をおこなってくれるDEXです。
従来のDEXでは見られなかった、ユーザーの手間を省くという部分に焦点を当てているのが特徴です。
DEXのランキングサイト「DeFi Pulse」でも、常にTOP10入りしているほどの人気を誇ります。
Balancerでは、主要な仮想通貨(ビットコイン・イーサリアム・USDC等)を預け入れることで10%以上の年利を得ることも可能です。
長期的な投資リターンを得ることを狙うなら、利用を検討したいDEXの一つです。
【Balancerの解説はこちらから】
HOP EXCHANGE
HOP EXCHANGEも、Arbitrum Bridgeのようにブリッジプロトコルとして機能します。
Arbitrumネットワーク間でのスワップ(仮想通貨の交換)も可能で、使い勝手の良いDEXです。
何らかの理由でArbitrumネットワークが停止している時の保険としても使うことができます。
Ethereum、Polygon、Gnosis、Optimism等のネットワークに対応しているため、L2ネットワーク同士の橋渡しを可能にするプロトコルとしても便利に使うことができ、多くのユーザーに利用されています。
ArbitrumのOdyssey(オデッセイ)とは?
2022年6月後半から、コミュニティを盛り上げるためのイベントとしてOdysseyが開始されました。
これは例えるなら、「ArbitrumのNFTスタンプラリー」のようなものです。
合計8週間にわたるイベントで、毎週指定されるArbitrumネットワーク内のdAppsを利用することで「限定NFT」がもらえます。
しかし、ネットワークの混雑を受け、現在は停止しています。
8月31日に実施予定のNitro以降はネットワークの高速化が実現するため、それに伴うOdysseyの再開が期待されています。
【参考:ArbitrumのOdyssey】
Arbitrumを使うメリット
セキュリティ
Arbitrumは、Optimistic Rollupを採用しているため、イーサリアムメインネットのセキュリティを活用できるという強みがあります。
イーサリアムメインネット自体は、その利便性から既に多くのユーザーを獲得しており、堅牢なハッキング体制を獲得しています。
Arbirtrumの堅牢性も、それに裏打ちされたものになるため、システム自体へのハッキングリスクは低いと考えられます。
また、Arbitrumのトランザクションを正当化どうか検証するシステムも、虚偽の申請をした者へのインセンティブが生まれないように設計されているため、2重の意味でセキュリティ体制を敷いていると言えるでしょう。
イーサリアムとの互換性と開発の持続性
Arbitrumは、イーサリアムのサポートをするプロジェクトです。
そのシステムの設計は、イーサリアムメインネットの構造に準じたものになっているます。
そのため、今後、イーサリアムが大幅にアップデートを行ったとしても、柔軟に対応することが可能です。
長い目で見た時のシステム開発コストを低下させているという点も、Arbitrumの強みです。
OffChain Labsのサイトやブログでも、開発スタップの理念や開発の経過報告・新規開発者の募集などを行っていて、システム開発の持続性も期待できます。
補足
また、2022年7月には、運営であるOffchain Labsから「Arbitrum Nova」が発表されました。
これは、新しいアイテムや通貨を頻繁に発行するゲームやNFTを頻繁に発行するプロジェクト利用に特化したチェーンです。
低コスト&高速トランザクション
アービトラムを使うことで、ガスコストを大幅に削減することができます。
状況にもよりますが、10分の1以下のトランザクション手数料で済ませられることがほとんどです。
【参考:ガスと料金「ArbGasを選ぶ理由」】
エコシステムの拡張性
Arbitrumがサポート可能なdAppsは、200種類以上。
これは、イーサリアムのL2の中ではトップクラスの豊富さです。
そのため、主要なDeFiプロトコルを組み合わせて資産運用しやすいという強みがあります。
イーサリアムの強みを活かしつつ、利回りの良い仮想通貨運用をしたい場合は、Arbitrumは最適解の一つとなり得ます。
NFTのエアドロップ
Arbitrumは、独自トークンの発行をしていません。
しかし、Odysseyのように、ネットワークの利用者にNFTのエアドロップを予定しています。
今後もネットワークの利用者が、何らかのインセンティブを得られるようなイベントを展開していく可能性があります。
Arbitrumの具体的な使い方:DeFi編
ここでは、Arbitrum Bridgeを利用してDeFiプロトコルを使用するまでの流れを解説します。
大まかな流れは、以下の通り。
- 有望なプロジェクトを探す
- 仮想通貨を用意する
- 個人のウォレットに送金する
- ArbitrumにBridgeする
- DEXで運用する
有望なプロジェクトを探す
まずは、DeFiLlamaを使い、優良なプロジェクトにアタリをつけましょう。
Optimism関連のDEX等を効率良く探すことができます。
アタリをつけたプロジェクトは、DeFi Safetyでリスク調査。
期待できそうなプロジェクトが見つかったら、必要な仮想通貨を準備します。
仮想通貨を用意する
仮想通貨を準備するにはいくつかの方法がありますが、初心者が最も簡単にできるのは「取引所で購入する」ことです。
すでに何らかの仮想通貨を持っている方は、スワップしたりトレードしたりするのも良いですね。
私が使っている仮想通貨取引所での購入方法を紹介しているので、参考にしてください。
参考記事
個人のウォレットに送金する
用意した仮想通貨を個人のウォレットに送金しましょう。
使い勝手が良いウォレットとしては、MetaMaskなどがあります。
以下の記事を参考に、個人の仮想通貨ウォレットを作成してみてください。
参考記事
ネットワークの追加
MetaMaskなどのウェブウォレットを使う場合は、ネットワークを追加する必要があります。
メタマスクを起動し、「ネットワークの追加」を選択。
赤枠の部分を入力。
ネットワーク名 | Arbitrum One |
新しいRPC URL | https://arb1.arbitrum.io/rpc |
チェーンID | 42161 |
通貨記号 | ETH |
ブロックエクスプローラーのURL | https://arbiscan.io/ |
ネットワークが追加されていれば、登録成功です。
Arbitrumにブリッジする
Arbitrum Bridgeで仮想通貨をブリッジします。
初めてブリッジをする時は、メタマスクへの承認(aproove)で、追加費用がかかるので注意してください。
費用には余裕を持って臨みましょう。
DEXで運用する
ブリッジが完了したら、後はDEXで運用を開始するだけ。
ここで重要なのは
損切りのラインを決めておく
ことです。
ここで言う損切りとは
- 金銭:この金額を下回ったら資金を引き上げる
- 思想・哲学:運営の主張が自分自身の信念と決定的に違う=「運営元を信頼できなくなるのはどんな時か?」
の2軸で決めておくと良いです。
私は、短期なら「金銭」重視、長期なら「思想・哲学」重視で損切りのラインを決めています。
仮想通貨界隈は、進歩のスピードが非常に速いので、次々に新しい技術が生まれてきます。
新たな情報を闇雲に追いかけても疲弊するだけです。
頻繁に更新される情報や人の意見に振り回されないようにするためにも、自分の判断軸をもつようにしましょう。
できる限り一次情報(公式サイト・Docs・公式ブログ・Discord等)に触れることがポイントです。
使う時の注意点やリスク
最後に、Arbitrumを利用するときの注意点やリスクをまとめます。
イーサリアムのリスクを継承する
Arbitrumは、イーサリアムとの互換性を重要視しています。
つまり、イーサリアムが潰れればArbitrumもその役割を終えることを意味します。
そのため、イーサリアム自体の動向に気を配っておく必要があるでしょう。
イーサリアムのリスクはArbitrumのリスクでもあるということを覚えておきましょう。
バリデーターが限定されている
Arbitrumのセキュリティは、参加者が限られています。
不正なトランザクションの検証申請をする段階で、中央管理者が悪意を持って行動した場合、検証申請を拒否し続けることも(技術上は)可能です。
もっとも、その行動が露呈すれば、Arbitrum自体の信頼性を失墜させてユーザーの離脱を招くため、開発陣がそのようなことを行うメリットはありません。
局所的な処理作業の集中でシステムがダウンする
2022年1月10日、Arbitrumは一時的なシステムダウンを経験しています。
原因は、メインのシーケンサーノードのハードウェア障害。
ソフトウェアのアップデートが進行中であったため、バックアップシーケンサーの処理が停止したことが原因でした。
現在は、完全に解決されていて、その後同じようなトラブルは発生していません。
しかし、局所的に処理作業が集中することによって、運営が予期しないシステムトラブルが生じる可能性はゼロではありません。
ネットワークが停止しても資金が引き出せるようにシステム面のことを学んだり、そもそもの資産を分散管理したりすることを心がけましょう。
【参考:アービトラムシーケンサーのダウンタイム】
中央集権的な運営体制
Arbitrumは誰にでも開かれていますが、運営チームはトランザクションバッチの送信と優先順位づけをする権限をもちます。
ガバナンストークンを発行して、その運営主体を手放していこうとしているOptimismと異なり、Arbitrumはあくまでプロトコルの運営主体を拡散させていくつもりはないようです。
長期的な目で見て開発陣がその収益性を分散させていくような動きは、多くの人の信頼を獲得しやすいエコシステムを作り出すことにつながります。
しかし、ブロックチェーンへの理解が充分でない新規ユーザーも増えてしまうため、エコシステムの拡張には慎重であるという見方もできます。
大事なのは、ユーザー自身が運営の示す方針に共感できるかどうかということです。
DeFi特有のリスクについては、以下の記事を参考にしてください。
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まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
Arbitrumは、現在実用化されているL2プロジェクトの中でも特に人気を集めています。
実際に使いやすいdAppsも多いため、仮想通貨のDeFi運用では有力な選択肢の一つになります。
競合であるOptimismやzk-Rollupなどとの開発競争でおいて、どのようにスケーリングしていくかも楽しみです。
本記事のおさらい
- Arbitrum(アービトラム)とは、イーサリアムネットワークをより便利に使えるようにするためのプロジェクトの総称
- Arbitrumに資金をブリッジすることで、高速処理と手数料の削減が可能になる
- イーサリアムのセキュリティの高さをそのまま継承できる
- 実装されているプロジェクトの中では、対応しているdAppsが最も多い(200種類以上)
- 競合であるOptimismと比較すると、運営方針がやや中央集権的
より詳細な内容を知りたい方は、以下の記事もあわせて読むことをおすすめします。