今日は、yodakaです。
- Angle(アングル)って何?
- 特徴や仕組みを教えてほしい
- 機能や使い方を知りたい
- 使う時の注意点やリスクはあるの?
こんな悩みを解決する記事を用意しました。
「Angle」は、LayerZeroで展開されているステーブルコイン発行・運用のためのプロジェクトです。
Angleのアプリでできるのは
- ステーブルコイン「agToken(アングルトークン)」の発行
- それを活用した資産運用
です。
Angleの大きな特徴は2点。
- LayerZero技術を利用していること
- 現在、EUR (ユーロ)ペッグのステーブルコインを発行できること(2022年8月)
これらは他のプロジェクトには見られない特徴です。
Angleについて詳しく知ると、仮想通貨のDeFi運用のに関する知恵が身につきます。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
本記事を読むと分かること
- Angleとは何か?
- agEURとは何か?
- Angleの機能
- Angleの始め方・使い方
- 使う時の注意点やリスク
情報ソース
Angleとは何か?
Angleのアプリを使うと
ステーブルコイン「agToken(agEUR)」を使った仮想通貨の資産運用
ができます。
Angleの強みは
LayerZero技術を活用しているため、異なるチェーン間でのやり取りを安全かつスムーズに行うことができる
ことです。
【LayerZeroについての解説はこちらから】
運営元
Angleのアプリ開発は、Angle LabsというDAO(自律分散型の組織)で行われています。
企業や会社のような形での運営母体を持たないという点も、現代の開発環境にあったものであると言えるでしょう。
【ガバナンスフォーラムはこちらから】
開発のサポートには、a16zなどの様々な企業が出資しています。2021年9月にはこれらの企業から500万ドルを調達しています。
- ホワイトペーパーの公開は、2021年7月7日。
- ブログの1記事目が公開されたのが、2021年7月16日。
- イーサリアムメインネットでのローンチは、2021年11月。
- そして、LayerZeroとの統合が発表されたのが、2022年8月。
最新技術を活用し、「他のステーブルコイン系のプロジェクトに先立って開発を進めていこう」という活発な動きが見られます。
【Angleの開発の歩みをもっと詳しく知りたい方は公式ブログへ】
【参考:Docs|Angle DAO】
ANGLEのトークン価格
Angleは独自トークンである「ANGLE」を発行しています。
リリース当初は価格の高騰や乱高下が見られましたが、現在は落ち着いた価格帯で推移しています。
詳しくは、「Angleのトークノミクス」にて解説します。
agTokenとは何か?
現段階では、agTokenとは「agEUR」のことを指します。
「agEUR」は
EUR(ユーロ)と同等の価値を持つように設計されているステーブルコイン
です。【ステーブルコインの解説はこちらから】
- agEURはどうやって価格を保っているの?
- agEURの担保の仕組みについて知りたい
ここからは、agEURが価格を保つ仕組みについて解説していきます。Angleのシステムの根幹に関わる部分でもあるので、一つずつ理解していきましょう。
agEURが価値を保つ仕組み
agEURの担保を保つ仕組みとして、Angleは「過剰担保型」を採用しています。
過剰担保型
担保となる資産を発行したトークン価格の分よりも多く保つことで、ユーザーが引き出せる資産をいつでも保証するシステムのこと。通常、預かった資産を別の運用先に回して利益を上げることで、担保を増やすような運営を目指す。Maker DAOがDAIを発行する時にも採用されている。ほどんどのDEXは過剰担保システムを採用することで、ユーザーによる取り付け騒ぎの予防を図っている。
しかし、従来の過剰担保型には
- 担保率100%で貸出ができない
- 発行したステーブルコインは実質的には貸出であり、返済には利子が発生するため、運用の資本効率が落ちる
などといった課題がありました。【引用:Angleのホワイトペーパー】
Angleの過剰担保型は従来のものとは異なります。
Angleの特徴は、
担保資産のボラティリティの部分だけを抽出して担保を過剰に保つ戦略
を採用していることです。
Angleは過剰担保型を維持するために、以下の3つの役割を取り入れています。
- HA(ヘッジ・エージェント)
- SLP(標準流動性プロバイダー)
- キーパー
それぞれの役割を見ていきましょう。
HA(ヘッジ・エージェント)
HAは、担保のボラティリティを永久先物として処理します。
HAには担保のボラティリティ分が転送され、資産運用を代行します。
HAが運用した資産は、元本のみがプロトコルに返済され、元本に満たない分はHAの資産分から精算されます。
つまり、HAが利益を上げた分がHAの儲けとなる仕組みです。
SLP(標準流動性プロバイダー)
SLPは、HAの保険です。
SLPは、HAで保証されない分の流動性を提供します。
「標準」とある通り、SLPはシンプルにAngleプロトコルに資金を預け入れます。
SLPは大きく稼げない代わりに負うリスクも小さいです。
SLPが負うリスクとしては、資金を引き上げる時にスリッページが膨らんで元本割れすることです。
キーパー
キーパーの役割は「システム全体の調整役」。プロトコルが実行するアクションを取りまとめて行うことで、ガス代の送料を削減します。
具体的には以下の5つの役割があります。
- ①HAの監視:HAのポジションをチェックし、必要があれば見直し・調整を行う。
- ②手数料の最適化:SLPのスリッページなどが過剰にならないように、定期的にプロトコル内のパラメータ調整を行う。
- ③戦略の最適化:プロトコルとのやり取りを通じて、運用戦略の最適化を行う。
- ④ステーキング:ガバナンスによって設定されたパラメータに基づいて、ガバナンストークの配布を行う。
- ⑤アービトラージ:アービトラージによってステーブルコインの価格を安定させる。
ポイント
Angleの担保補償は、メインの「HA」とそれをカバーする「SLP」の2段構えになっている
「キーパー」が、システムの全体調整をしている
これらのシステムがうまく回らなかった際の緊急モジュールとしては
- 新規HA導入に対する手数料減額
- HA・SLPへのガバナンストークン配布
- SLP終了防止のスリッページ
- ユーザーのミント&バーンの手数料変更
などが行われます。
Angleのトークノミクス
なぜ「ANGLEトークン」が価値を持つの?
「ANGLEトークン」は、コミュニティAngle DAOの議決権を得るために必要だからです。
しかし、コミュニティに参加していなくてもLPステーキング用に利用する等、所有者に様々なメリットをもたらします。
ANGLEトークンの役割は以下の通り。
- ANGLEトークンをプロトコルにロックすることで、ガバナンストークンであるveANGLEを獲得できる
- veANGELは、AngleDAOの様々な提案を通す際に、議決権として利用できる
ANGLEトークンの価値を理解するためには、「Angleのトークノミクス」について知る必要があります。
トークノミクス
「トークン」と「エコノミー」を組み合わせた言葉。「トークンが作り出す経済圏」のこと。ブロックチェーンの内部及びそれに関わる外部要因も指す。
「トークンの分配」・「供給スケジュール」・「所有と利用のインセンティブ」などの要素から分析される。(トケノミクス、トーケノミクスとも)
こちらの記事が詳しく解説してくれています。
ANGLEの総供給量は10億で、配布の内訳は以下の図の様になっています。
①40%:流動性マイニング(Liquidity Mining)
②20%:DAOの財務部(DAO Treasury)
③18%:コアチーム(Core Team)
④12%:助成金とパートナーシップ(Strategic Partners)
⑤10%:早期支援者(Early Backers)
この中で特に注目したいのは「流動性マイニング(Liquidity Mining)」の部分です。
ANGLEトークンの40%(4億)は「流動性マイニング報酬」として「残り供給量の5%ずつを毎週配布される仕組み」になってます。
流動性マイニング報酬の対象は
・agToken保有者
・HA
・SLP
・他の外部プールやプロトコルのLP
などです。
ホワイトペーパーでは、マイニング対象者は「ゲージ」と呼ばれています。
【ゲージの対象はこちらを参照】
重要なのは
veANGLEの保有者が、このゲージの重みを調整する権限を持っている
という点です。
つまり、veAngleの保有者は
ガバナンス投票でANGLEトークンをどこにどれだけ分配するかを決めることができる
のです。
また、供給量は時間の経過とともに減少していくため、早期参入者ほど長期的なリターンを得やすいという設計になっています。
長期的にメリットを与え続ける設計は、トークンの所有者に長期保有のインセンティブも与えます。
現時点で、トークンの配布がどの様に行われているかも公開されています。
【参考:毎週のANGLE排出量】
ANGLEトークンの保有者は、Angleのコミュニティの発展に貢献するほど、長期的に大きなメリットを得られる設計になっているのです。
ポイント
- ANGLEトークンは、DAOの議決権を得るために必要
- ANGLEトークンの40%は「流動性マイニング報酬」として段階的に配布される
- 流動性マイニング報酬の対象は「agToken保有者」「HA」「SLP」「他の外部プールやプロトコルのLP」
- ANGLEトークンをプロトコルにロックすると、ガバナンストークンであるveANGLEを獲得できる
- veANGLEを多く持っていると、DAOで提案を通す時に有利になる
Angleの機能
ユーザーは、Angleのアプリを使うとどんなことができるの?
ここからは、Angleのアプリの主な機能を紹介します。
swap:agEURの購入
Angleでは、agEURの購入ができます。
以下の2種類の方法で購入できます。
- アプリ内で仮想通貨を使って購入する
- Angleをサポートしている別のサービスを経由してクレジットカードまたは銀行振込で購入する【提携サービスの概要はこちらから】
①アプリ内で購入する場合は、ETH・DAI・USDC・FEI・FRAXのいずれかの仮想通貨が必要です。
Borrow:仮想通貨を借りる
仮想通貨を担保にして、 agEURを借りることができます。
借りられる量は、担保にする仮想通貨によって異なります。
「借入」という性質上、返済にあたって「金利」が発生します。
現在、最低借入額は10,000agEURからとなっています。これは、返済されない少額の不良債権リスクを予防するための措置です。
【詳しい機能解説はこちらから】
Leverage:レバレッジ
預け入れた担保資産にレバレッジをかけた運用を行うことができます。
生産のリスクが高まるので、上級者向けの機能です。
「agEURを借りて、担保として最初に預け入れられたトークンを預け入れることによってレバレッジをかける」という仕組みです。
精算を避けるためには、精算のしきい値とトークンの価格に注意する必要があります。
【詳しい解説はこちらから】
Deposit / SLP:流動性の提供
Angleのプールに仮想通貨を預け入れて、利回りを得ることができます。
具体的には
①仮想通貨を預け入れた証明としてsanTokensを獲得する
②sanTokensをAngleプロトコルにステーキングすることで利回りを得る
という仕組みになっています。
Angleプロトコルでは、①②の手順を一まとめにして行う機能もあります。
【詳しい解説はこちらから】
Trade Perpetuals:ロングポジションを開く
ロングポジションを開いてレバレッジをかけて資産運用することができます。
価格が上昇した場合には大きな利益を得ることができますが、担保価格が下落した場合には大きな損失を被ることもあります。
ポジションを開く時と閉じる時に取引手数料(通常時は0.3%)が発生します。
【詳しい解説はこちらから】
Angleの始め方・使い方
【Angleのユースケースについて詳しく知りたい方はこちらから】
準備
MetaMaskでウォレットアカウントを作る
MetaMaskのウォレットアカウントの作り方は、以下の記事を参考にして下さい。
①Angleのアプリのトップページに移動。
②「Connect Walllet」をクリック。
③利用するWalletを選択。
④ウォレットアドレスが反映されていれば、準備完了です。
agEURの購入
①「Swap」を選択。
②「Select Token」をクリック。
③交換元となる仮想通貨を選択。(今回はETHを選択しています)
④購入に使う数量(または購入したい数量)を入力。
⑤「Swap」をクリック。
agEURの借入
①「Borrow / Leverage」を選択。
②「Create」をクリック。
③作成したいValutのタイプを選択。
④「Add/Borrow」か「Leverage」を選択。
⑤預け入れる担保の金額を入力。
⑥「Add step」をクリック。
⑦トランザクションの内容を確認して「Send」をクリック。
流動性の提供
①「Deposit / SLP」を選択。
②預け入れたいプールを選択。
③預け入れる数量を入力。
④「Approve」をクリック。
ロングポジションを開く
①「Trade Perpetuals」を選択。
②「Select Collateral」をクリック。
③担保にする仮想通貨を選択。
④預け入れる数量を入力。
⑤レバレッジを設定。(最大9倍まで設定可能)
⑤「Open Perpetual」をクリック。
使う時の注意点やリスク
DeFi特有のリスクについては、以下の記事を参考にして下さい。
あわせて読みたい
ここでは、「Angle」を使う時に注意したいことをまとめます。
ユーロの動向に気を配る
Angleは「ユーロペッグのステーブルコイン」を基軸にしたプロジェクトです。
そのため、ユーロの価値が落ちればプロトコル自体の信頼性も低下することになります。
ユーロの価値を確認するための方法として、世界の基軸通貨である米ドルや自国の通貨との為替レートやユーロ経済圏の動向を定期的に確認したりする必要があります。
一方で、ユーロ経済圏の動向を日頃から確認する習慣がある方にとっては、Angleの利用は選択肢の一つとなるでしょう。
また、ユーロ経済圏の発展を長い目で見て確信できる方は、Angle関連の資産を長期保有を検討することもできます。
ステーブルコインの歴史を学ぶ
agEURは「デリバティブ依存のステーブルコイン」です。
これは、ステーブルコインの中では極めて挑戦的なものです。
Angleというプロジェクト自体が、既存のステーブルコインの問題点を解決するというアプローチを試みています。
そのため、従来型の担保形式とは異なる形式で過剰担保の保証をしてるのです。
ステーブルコインは、その歴史の中で多くのコインが何度もペグが外れて、暴落の危機に直面してきた歴史があります。
Angleから提案されているシステムだけでなく、これまでのステーブルコイン開発の変遷を学び、ステーブルコインへの信頼性をどう判断するのかという自分自身の判断基準を保つことが大切です。
まずは、Angleのブログでステーブルコイン関連の記事をしっかりと読むことをお勧めします。
サポートされているチェーンと仮想通貨を確認する
Angleでは、全てにチェーンや仮想通貨が使えるわけではありません。
現在、利用できるチェーン(ネットワーク)は、イーサリアム、ポリゴン、オプティミズム、アービトラムの4種類。
サポートされている仮想通貨は、ETH、DAI、FAI、FRAX、UNI、USDC、USDT、WBTCの8種類です。(2022年8月)
利用できるネットワークとトークンをあらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
Angleは、ユーロペッグのステーブルコインを活用するDEXであり、また、LayerZero技術を利用するDEXとして、今後の成長が期待されるプロジェクトの一つです。
ユーロ経済圏の成長に期待できる考える方・ユーロ経済圏の動向に詳しい方は、利用を検討する価値のあるプロジェクトです。
本記事の内容が参考になれば幸いです。
本記事のまとめ
- 「Angle」は、ステーブルコイン発行・運用のためのプロジェクト
- LayerZeroでの展開が発表されている
- ユーロペッグのステーブルコイン「agEUR」がプロジェクトのベース
- 「agEUR」は、デリバティブ担保型のステーブルコイン
- ANGLEトークンの価値を維持するために「HA」「SLP」「キーパー」という3つの役割がある
- Angleプロトコルでは、「agEURの発行」「仮想通貨の借入」「レバレッジをかけた取引」ができる
- 利用の際に、ユーロ経済圏の動向に注目しておくとリスク管理になる
情報ソース