こんにちは、yodaka(よだか)です。
- Yearn Finance(ヤーン ファイナンス)って何?
- 特徴や仕組みを知りたい
- 機能や使い方を教えてほしい
- 使うときの注意点やリスクはあるの?
こんな悩みを解決する記事を用意しました。
Yearn Financeとは、DeFiでの資産運用の最適化をしてくれるプロジェクトの一つです。
本記事を読んで、クリプト界隈で生き延びる知恵を身につけていってください。
本記事を読むと分かること
- Yearn Financeとは何か?
- Yearn Financeの特徴や仕組み
- Yearn Financeの機能
- Yearn Financeの始め方・使い方
- 使うときの注意点やリスク
情報ソース
Yearn Financeとは何か?
Yearn Financeとは
ユーザーの資金を一括管理してDeFiの運用利回りを最適化することを狙うプロジェクト
です。
このようなプロジェクトを一般的に「イールドアグリゲーター(利回り収集)・イールドオプティマイザー(利回り最適化)」と言ったりもします。
この辺りは定義が色々あるのでこちらの記事なども参考にしてみてください。
ざっくり言うと、Yearnのユーザーは
Yearnに資金を預け入れることで資産運用を代行してもらい、その報酬の一部を受け取る
ことができます。
Yearnのローンチは2020年1月26日。
現在まで、DeFi界隈で使われ続けている主要プロジェクトの一つです。
Yearnが主要プロジェクトの一つとして台頭したのには理由があります。
イーサリアムネットワークの成長以降、DeFiの利用価値が広く知られることとなり、様々なDeFiプロジェクトが次々に開発されてきました。
それらの中には、本当に価値のあるプロジェクトと詐欺まがいのプロジェクトが混ざっている上、本当に信頼できるものを見つけ出すのは大変な労力がかかります。
さらに、各プロhジェクトにおける利回りはどれが最も高いだろうかということも調べなくてなりません。
DeFiのユーザー達は、どのプロジェクトに資産を入れたらより多くの利回りを安全に獲得できるのかということに頭を悩ませていました。
また、マネーレゴと呼ばれる複数のDeFiプロトコルの掛け合わせて資産運用の利回りを高めることの複雑さとリスクを回避したいを考えるユーザーも一定数存在しました。
そんな中で提案されたのが、Yearn Financeによる
DeFiプロトコルの精選と運用利回りの最適化
だったのです。
開発・運営チーム
Yearnの創設者はAndre Cronje氏だとされています。
Andre氏本人は、自身のブログで「can’t really say I’m the founder(私は、創設者とは言えない)」と書いていますが、開発初期から関わっているプロジェクトの中心人物であることは事実でしょう。
彼はクリプト界隈のトップインフルエンサーの一人でもあります。
また、主要なブロックチェーンの一つであるFantomの開発にも関わっています。
現在は、Yearnの運営からは退いていますが、トップインフルエンサーとしての影響力は今なお健在です。
彼が開発に携わるプロジェクトは革新的なものが多く、界隈でもその動向が注目される人物の一人です。
Andre氏のブログはこちらから。
Yearnの公式ブログの1記事目では、Andre氏がYearnのシステムや理念について紹介する内容となっています。
2021年にAndre氏が開発の第一陣から退いた後も、残った開発スタッフによってYearnの開発やアップデートが続けられています。
現在プロトコルはVersion.2であり、2022年中にはVersion.3がローンチされる予定です。
開発のロードマップはこちらから。
Yearn Financeの特徴
Yearn Financeはどんな特徴があるの?
Yearn Financeの特徴は主に5つ。
- 資産運用の代行をする
- 複数のネットワークに対応している
- 入金&出金が無料
- パフォーマンス手数料を管理手数料が発生する
- 別のアプリでリスク管理ができる
順番に解説していきます。
資産運用の代行をする
Yearn Financeは、別のDeFiプロトコルでの資産運用を前提としたプロジェクトです。
CurveやUniswap,Aaveなどの強力な地位を確立しているDeFiプロジェクトから利回りが発生するということがそもそもの前提条件です。
一般的にこれらの巨大なプロジェクトにおいては、個人が持つ少ない額で資産運用するよりも大企業や大手ファンドが運用する規模の額で運用をした方が利回りを増やすことができます。
Yearnの基本戦略は
ユーザー個人の資産を一括管理して、最適な戦略で運用することで得た利回りを再分配すること
です。
現在、Yearnの主な収益源はCurveから発生するものです。
Yearnを安全に使うためには、Yearnが利回りを発生させる大元のプロジェクトについて理解しておく必要があります。
Yearnの基本戦略についてのさらに詳しい解説はこちらから。
複数のネットワークに対応している
Yearn Financeは4つのネットワークに対応しています。
対応ネットワークは以下の通り。
これらはDeFiにおける主要なネットワークです。
特にイーサリアムを中心として展開されていることが分かります。
各ネットワークの解説は以下の記事を参考にしてください。
参考
入金&出金が無料
Yearn Finenceは
プロトコルへの入金や出金を無料で行う
ことができます。
そのため、不必要に手数料が嵩むことが少ないと言えます。
Yearnを使う時に発生するのは「トランザクションを通す時に必要はガス代」です。
ガス代とは、ブロックチェーンネットワーク上で手続きを承認させるために必要な手数料のことです。
ガス代の詳しい解説はこちらから。
パフォーマンス手数料を管理手数料が発生する
Yearn Financeを利用すると
- 20%のパフォーマンス手数料()
- 2%の管理手数料
が発生します。
これらは収益の中から自動的に回収される仕組みになっています。
また、これらの手数料は、主に
Yearnのシステム開発や改善に携わるメンバー達への報酬
として再分配されます。
詳しい仕組みは後ほど解説します。
別のアプリでリスク管理ができる
Yearn Financeは別のアプリと併用することで、資金の追跡を行なったり、プロトコル自体の動向をチェックすることができます。
例えば
- Zapparで資金追跡
- Yearn Watchで安全管理
などが可能です。
外部アプリの併用はリスク管理につながります。
Yearn Financeが稼働する仕組み
Yearn Financeはどんな仕組みで稼働しているの?
Yearn Financeが稼働する仕組みを理解するには
- 基本戦略( Yearn Vaults)
- ネイティブトークンYFI
- ストラテジスト
- Curveとのシナジー
について知ることが重要です。
順番に解説していきましょう。
基本戦略(Yearn Vaults)
現在、Yearnの利回り収集の土台となっているのはCurve Financeです。
ユーザーがYearnを利用して利回りを得る流れは
- 仮想通貨を預ける
- YearnのVaults(金庫)で一括管理する
- 外部のプロトコル(主にCurveなど)で運用して利回りを得る
- 利回りの一部はプロトコルに回収される(パフォーマンス手数料・管理手数料)
- 獲得した利回りが各ユーザーに再分配される
となります。
重要なのは、
Curveで得られる収益を最大化するように戦略が練られている
という点です。
Curveはステーブルコイン同士を交換するためのDeFiプロトコルとして圧倒的に強いポジションを獲得していることに加えて、Convexなどの関連プロトコルを巻き込んでCurve自体が発行するトークンにも価値が生まれる仕組みを持っています。
この仕組みは「Curve Boost」と呼ばれます。
Yearn Vaultsはこの「Curve Boost」での利回りが最大化するように設計されています。
Curve Boostの詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。
参考
ネイティブトークンYFI
YFIはYearnが発行するネイティブトークンです。
YFIはYearnを利用するユーザーに発行され、資金の預かり証として機能します。
また、ガバナンストークンとしての機能があり、システムの開発や運営方針などを決定する際の投票権にもなります。
発行上限は3万6,000。
一時期は極端な高騰も記録していて、今後もYearnが多くのユーザーに利用されたり、多くの資金が預け入れられたりしてプロジェクト自体の価値が高まれば、YFIの価値も高まっていく可能性があります。
参考
ストラテジスト
Yearn Vaultsにて設定する戦略を具体的に提案するの役割はストラテジストと呼ばれます。
ストラテジストはYearnを経由して外部プロトコルで資産を運用する最適な戦略を展開します。
keeperを利用することで誰でもYearnのストラテジストとしてYearnの運営に参加することが可能です。
ストラテジストには20%のパフォーマンス手数料の半分が入るため、ストラテジストとしてYearnのDAOに貢献するメリットはかなり大きなものであると言えます。
(手数料の残り半分はYearnのDAOに支払われ、プロトコルの開発費などに利用されます)
Curveとのシナジー
Yearnの土台となるのはCurveです。
Yearnの戦略は、Yearnを経由したCurveでの資産運用がより有利になるように展開することも狙っています。
Curveにもガバナンストークンが存在します。
そして、Curveにおけるガバナンス投票では、獲得した利回りを再分配する割合(ゲージの重み)を調整することができます。
つまり大量の資産を持っていれば
- Curveにて発行されるveCurveトークンを用いてCurveのガバナンストークンを集める
- Curveにおける運用利回りがYearn側に有利になるように投票する
ということが可能なのです。
その仕組みを生み出すための戦略が、以下に紹介するyCRVトークンを使ったものです。
yCRVトークン
yCRVトークンは3種類のトークンに派生する特殊なトークンです。
派生先と役割は以下の通り。
st-yCRV:CRVトークンのステーキング報酬を獲得することとガバナンスの投票に優位性を持たせることをねらう。
lp-yCRV:Curveにおいて「 CRVとyCRVのプール」を作成して流動性提供を行い、そこからの手数料を獲得する。ガバナンスの投票に優位性を持たせることも併せて行う。
vl-yCRV:現在開発中の機能。ガバナンスの投票が優勢になることをねらう。
Curveでの運用が有利になるように同時進行的に働きかけているのですね。
Yearn Financeの機能
Yearn Financeにはどんな機能があるの?
Yearnの主な機能は6つ。
- ポートフォリオ(Portfolio)
- ボールト(Vaults)
- 研究所(Labs)
- yCVR
- Iron Bank
- 設定(settings)
順番に紹介していきます。
ポートフォリオ(Portfolio)
ポートフォリオはYearn内でユーザーの資産がどのように管理されているのかを確認する機能です。
総資産・収益・年間利回りの推定などが表示されます。
各Vaultsでの数値も表示されるので、まずはここの情報を元にして資金の預け入れ先の見直しなどを行うと良いでしょう。
ボールト(Vaults)
ボールトでは預け入れられる仮想通貨や利回り、預け入れられている総量などを確認することができます。
また、この画面から
仮想通貨の預け入れ
を行うことができます。
預け入れる際には、トークンの利回りだけでなく、そのトークンに恒久的な価値が期待されるかどうかや預け入れられている量が多くて流動性を生み出すことができているかどうかなどを確認するようにしましょう。
研究所(Labs)
研究所(Labs)は新しい戦略が表示・運用される場です。
2022年11月現在、表示されているストラテジーはありません。
研究所(Labs)については、情報が集まり次第更新していきます。
yCVR
公式サイトのトップページから「yCRV」を選択することで、yCRVトークンの運用ページへ移動します。
ここでは、様々な派生系が存在するyCRVトークンをスワップすることができます。
また、すでにサポートされなくなったトークン(yvBOOSTとyveCRV)をサポート可能なトークン(yCRV/st-CRV/lp-CRV)にスワップすることもできます。
Yearnで本格的に資産運用する場合は、yCRVの利用も見据えて検討してみても良いでしょう。
Iron Bank
公式サイトのトップページから「Iron Bank」を選択することで、Iron Bankへ移動します。
Iron Bankはレンディングプロトコルの一つです。
2022年現在、預け入れられている資産額は非常に少ないため、あえてここを利用する必要はありません。
DeFi初心者のうちは安定性の高い別のプロジェクトを利用する方が良いです。
参考
設定(settings)
Yearnを使うときの設定を操作することができます。
サイトに表示される言語を日本語に変換することもできます。
特に、以下の2つについては理解を深めておくとリスク対策につながります。
- Enable Singed Approvals:トランザクションの内容に関わる項目
- スリッページ許容範囲:トランザクションを出した時と承認された時に生じる価格差の許容範囲に関する項目
Yearn Financeの始め方・使い方
Yearn Financeを実際に使ってみたい。
それでは、Yearnの始め方・使い方を説明していきます。
準備
まずはウェブウォレットと仮想通貨(ETHなど)を準備します。
以下の記事で具体的な方法を解説しています。参考にしてください。
ウェブウォレット作成
仮想通貨の買い方
ウォレットを接続する
①公式サイトのトップページから「ウォレットに接続」を選択。
②使用するウォレットを選択。
③利用するネットワークに切り替える
これにて準備完了です!
Vaultsへの預け入れ
①「Vaults」の一覧からAssetを選択。
②入金額を入力して「承認」を」クリック。
資金を引き出す際も同様の手続きで行うことができます。
vCRVトークンの利用
こちらの機能については公式のDocsに利用手順がスライド付きで紹介されています。
使うときの注意点やリスク
Yearn Financeを使う時に気をつけることはあるの?
では、最後にYearn Financeを使うときの注意点やリスクをまとめます。
DeFiプロトコルの安全性を評価するDeFiSafetyというサイトでは「93%」というスコアを獲得しています。
この数値はそれなりに高いものとして判断できますが、絶対の基準ではありません。
Yearnのリスクとその対策を見ていきましょう。
ネットワークのリスク
Yearn Financeが稼働するネットワークは4種類。
Ethereum 、Fantom 、Arbitrum、Optimismです。
これらのネットワークはDeFiでは主要な地位を占めていますが、それでも絶対に安全であるとは言えません。
仮想通貨の時価総額で2位につけているETHですら2倍以上の値動きが起こり得るのです。
各ネットワークの特徴を掴み、長所・短所・リスク管理をした上で利用するネットワークを選ぶようにしましょう。
参考
Curveのリスクを継承する
現在、Yearnの主な収益源はCurveに依存しています。
これは、Curveの価値が保たれている限りはある程度安定してYearnでの資産運用ができることを示しています。
しかし、Curveに変わるプロジェクトが出てきたり、ステーブルコイン自体の優位性が揺らぐことがあるとYearnの価値も低下します。
Curveの動向やステーブルコインに関する情報は日頃から探るように心がけましょう。
参考
流動性の低いVaultsは長期運用に向かない
Curveに関連して重要なことは
流動性の低いVaultsでの運用は長期戦略には向かない
ということです。
預け入れられている資産が少ないVaultsでは通貨の交換回数が少なくなり(流動性が低い)、取引手数料がほとんど入ってきません。
ユーザーが短期で利益を得たいのか、長期的に運用してコツコツと利益を得たいのかで取るべき戦略が変わります。
長期運用を考えてVaultsを選択するときは、利回りの高さだけでなく
預け入れられている資産の総額も入念にチェック
しましょう。
安定して長く運用できるVaultsの方が結果的に高い収益をもたらすことにつながりやすいです。
ストラテジストも絶対ではない
Yearn FinanceのVaultsはストラテジストによって提案された戦略がDAOの監査を受けて採用されるため、素人の考えた戦略よりも遥かに信頼性があると考えられます。
しかし、その戦略も絶対に成功する保証があるわけではないのです。
各Vaultsの戦略を自分でも確かめて、信頼できると思ったらそこで初めて入金しましょう。
vCRVトークンのボラティリティ
vCRVトークンはYearn独自のコンセプトとして大変興味深い取り組みの一つです。
Curveでの優位性を発揮するために大勢のユーザーが資産をYearnに集めるためのシステム
として機能するように設計されています。
しかし、このトークンはYearn経由でCurveでの優位性を発揮できて初めて価値を持つのです。
一定数以上のトークンを保持できなければ、vCRVを用いるインセンティブは薄れます。
Curveを用いて高利回りを出すことを狙うという意味で最大級のライバルはConvexなどが挙げられます。
これらのプロジェクトの優位性も確認しておくと良いでしょう。
DeFi特有のリスクについては、以下の記事も参考にして下さい。
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まとめ
最後まで読んでくださってありがとうございます。
イールドアグリゲーター(オプティマイザー)であるYearn Financeについて解説しました。
本記事の内容が参考になれば幸いです。
本記事のまとめ
- Yearn Financeは、イールドアグリゲーター・イールドオプティマイザー。
- ユーザーから預かった仮想通貨を一括管理して、他のDeFiプロトコルでの資産運用を代行している。
- 対応するネットワークはEthereum ,Fantom ,Arbitrum,Optimism。
- 入出金は無料。
- パフォーマンス手数料(20%)と管理手数料(2%)がかかる。
- 主な収益源はCurve Finance。
- ネイティブトークンはYFI。
- yCRVトークンを用いてCurveでの優位性を確立させよとする仕組みも併せ持つ。
情報ソース